見出し画像

【雑記】純粋な読者として小説を読む時のことを考えてみた(11)

閑話休題。
キャラクターが一番重要と言ったが、当然ストーリーも重要だと思う。
ストーリーが面白くて、ガンガン惹き込まれる小説も多い。
「リング(鈴木光司)」もそうだったし、「クリムゾンの迷宮(貴志祐介)」も面白かった(貴志祐介は大好き)。
私個人的には、小説の場合、ストーリー重視派だ。
横溝正史シリーズは昭和初期の田舎の雰囲気も、ストーリーも面白かった。
子供の頃は、「八つ墓村」の田治見要蔵の大量殺人事件に恐れおののいたが、「津山三十人殺し」の津山事件が元になっているのを知ったのは、ずっと後になってだった。

それでもなぜキャラクターと言ったのかというと、作り手からすると、どうしてもストーリー重視になるため、キャラクターにはストーリーと同じくらい気を配ったほうがいいという、自分への戒めもある。
小説を書く方は、どうしてもストーリー重視になってしまうのではないかと思うのだが。

さて、ここまで、冒頭部、ストーリー、オチについて述べてきたが、書籍が書店に並ぶ前提で考えたら、やはり一番重要視すべきは、冒頭部なのだろうと思う。

新人賞に応募していたときは、「冒頭部が一番重要」という観点で、小説を書いていなかった気がする。
下読みの方は必ず最後まで読んでくれるものだから、最後まで読んで、内容が面白ければよい、といった考えを持っていた。

実際に下読みの方は全部読んでくださるのではあるが、「最後まで読んでもらえる」という前提で書くのと、「いつ放り出されるかわからない」と危機感を持って書くのとでは、だいぶ違うなあと、いまにして思うのである。

最後に。
編集者が新人賞応募の原稿を見た場合に、重要視するところを、下記にまとめた。新人賞に応募する方はご参考までに。

・単純に面白いかどうか。
・オリジナリティを持った作品か。
・小説のテーマ性はあるか。
・その著者ならではのオリジナリティ・視点のユニークさがあるか?
 (文体やキャラクターやストーリー展開など)
・キャラクターに魅力があるか。
・読者の共感は得られているか。
・市場性はあるか。
・文章力はあるか。
・読みやすさはあるか(リズミカルな文章など)。
・読者に対する「目」を持っているか。
 (読者を楽しませてやろうとしているか)
・読んでいる最中に心を揺り動かされるか。
・読後感はよいか。
・作家としての資質・将来性はあるか。

(了)

小説が面白いと思ったら、スキしてもらえれば嬉しいです。 講談社から「虫とりのうた」、「赤い蟷螂」、「幼虫旅館」が出版されているので、もしよろしければ! (怖い話です)