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【中学受験】国語の文章

息子の国語の成績があまりにもひどいので、朝の計算のあと、テキストの音読を10分だけさせることにした。聞くのは私。そのあと、要約を書かせる。

昨日今日と息子氏が読んだのは、説明文だか論説文だか随筆だかは知らないが、2つとも「今どきの若い者(日本の風潮)は」とか「日本の将来が嘆かわしい」みたいな内容だった。

まず筆者が体験したことを書く(具体例)。そしてその体験で「常識のない人間」に出会い、驚くと同時に、昔は〇〇。ところが現代では××。実に嘆かわしい。これは教育がまずいのではないか、みたいな結び方をする(作者の主張)。

こういう文章は私が中学高校のときもよく見かけた。
まず筆者は昭和初期生まれの文系学者。そして文章は達者、語彙も豊富で、文章に品格がある。そして男性であることが多い。

こういう文章を読んでいつも思うのだが、この人たちは達者な文章の割には、ずいぶんと乱暴な論理展開をしているなあ、と。
例えば、若者に常識のない態度を取られて憤慨するのはわかる。ただ、そんな若者なんてどの時代にもいるし、単なるDQNじゃんと思う。

それを自分の少ない経験をもとに、こんな若者が出てくるのは教育のせいではないかと、一気に話が大きくなるのだ。
そんな非常識な態度を取る若者が全体の85%とかいうデータでもあればまだ理解できるが、筆者の単なる一体験である。
残りの若者は全員礼儀正しいかもしれない可能性もある。
おい、おっさん、狭い世界での経験だけで、教育論にまで話を膨らましているんじゃねえよ。と突っ込みたくなる。

とまあ、毒づいているが、こういうおっさん(じいさん?)、結構文章が面白い。なにより、心の中で突っ込みながら読み始めるので、どういう論理展開になるのかと、ワクワクする。
ツッコミどころは満載なんだけど、次を知りたい。次はどんな謎理論(ほぼ暴論)を持ち出してくるか、楽しみなのである。
わざとガードを下げて懐に呼び込むのは、――ツッコミどころを残して読者を惹きつけるのは――もしかしたら狙いなのだろうかと思うくらい。

一度ラ・サールの過去問題で江國滋先生が敬老の日にクレームをつけている文章を読んだが、こじれにこじれていて、本当に面白かった。
ここまで頑固ジジイの主張をすれば、もう感服するしかない。
趣旨としては「敬老の日」なんて作って年寄りに媚びを売るな、みたいな話だったと思う。
そんな中にも、「なるほど」と思うことがあるので、やはり江國先生はすごい。

今こういう問題が出てきて「筆者の考えを説明した後に、あなたの考えを述べなさい」みたいな問題が出たら、腕まくりしそうな気がする。
「さあ、このジジイ、どうやってディスってやろうかな」と。
うーん、でも受験問題だったら、ディスるにしてもやんわりとになるんだろうな。(≧▽≦)

社会の公開模試で、議員の数を男女同数に決めることに賛成ですか、反対ですか、という問題があったらしい。
「僕、言いたいことを書いてやったよ」
と息子氏が鼻息を荒くしていたので、親子なんだろうなと思う。(*´ω`*)


小説が面白いと思ったら、スキしてもらえれば嬉しいです。 講談社から「虫とりのうた」、「赤い蟷螂」、「幼虫旅館」が出版されているので、もしよろしければ! (怖い話です)