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【中学受験ネタ】オセロゲーム

実家に弟が帰省した。
息子は弟が大好きで、実家にいるときはずっと弟にくっついている。
弟もそんな息子が可愛いらしく、甘やかすので、息子は図に乗って、弟にあれで遊ぼう、これで遊ぼう、と甘える。
寝るときも「叔父さんと寝る」と宣言して、実家にいるときは弟と寝ていた。

そんな二人がよくやっているのがオセロゲームだ。
弟はそこそこ強いみたいで、以前息子にはほとんど負けていなかった。
ところが今回は息子がオセロゲームの上達法の本を読んで強くなったらしい。
まったく勝てなかった弟に、互角の戦いをするようになった。
勝率も五分五分のようで、「強くなったな」と言われて、「本気になればこんなもんだよ」と得意そうに小鼻を膨らましていた。

弟が、「そんなにオセロができるのなら、将棋もやればいいじゃん」
と言うと、
「将棋は相手がいないんだよ」と言う。
「君が将棋の定跡とか手筋とか覚えて9級くらいになったら、お父さんが相手してやるよ。いまは君が雑魚過ぎてお父さんのモチベーションが上がらないからやらないだけだよ」
と息子に言うと、「そうだよねえ」と。
「いまは歩3つでも勝てそうだからね」とさらに言ってやると、
「そんな馬鹿なことがあるわけないじゃん。いくらお父さんでも無理だよ」と。
「じゃあ、やってみるか。お父さんは歩3つの持ち駒でいいよ」
しばらく黙っていた息子。
「……やっぱり、怖いからしない」と。

翌日、さっぱり勉強をせず、マインクラフトばかりしている息子に
「ゲームばっかりしてないで、叔父さんとオセロでもしたら?」
と提案したら、
「それがね。自分が強くなったら、負けるのが怖くなって、出来なくなったんだよ」
と謎理論をぶちかましてきた。

なんか息子のチキンぶりと怠けぶりがすごい正月だった。


(追記)
昨日勇気を出して弟に挑んだところ、2勝2敗の五分の成績で気分を良くしたようで、弟に「今度は将棋を指そうか」と言われて、
「いいよ」
「じゃあ歩3つで(弟は将棋もまあまあ強い)」
「ボクが勝つに決まってんじゃん。いいよ」
という流れで将棋勝負に。
初手△8六歩打に、まんまと▲同歩と取ってしまい、 △8七歩打と角頭に歩を打たれ、虎の子の角を取られて接戦に追い込まれ、きっちり詰まされていました。
アホ丸出し。


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