見出し画像

【中学受験ネタ】塾の偏差値を言って、中受しない親から完全にマウントを取られる話(1)

息子が中学受験して、一番戸惑ったこと。

「自分たちの時代の偏差値と、中学受験の偏差値は、全然違う」

母数集団の質が違うのだから当然なのだが、直感的に理解しづらい。
例えば、日能研で偏差値50といえば、一般的な小学生から見たら、かなり優秀の部類に入る。ところが中学受験しない人に、その偏差値を言うと、「ああ、そう」みたいな顔を絶対にされると思う。
相手の顔に「頑張って詰め込んで、偏差値たった50か」みたいな、憐憫に似た侮蔑の表情を読み取って、激怒する中受親の皆さんは多いと思う。
「詰め込んで」とか「たった50」とか、ツッコミどころが多すぎて、想像しただけで、イラっとするくらい。
これがサピ偏差値50で侮られた日には、「じゃあおまえが取ってみろよ」と言いたくなる。

以下に、日能研偏差値別に中学受験する親御さんが、中学受験しない親に、なぜか完璧にマウントされる流れを九州バージョンで記す。

・偏差値45
中受の親「もう少し頑張れば、国立附属中(地方)を目指せるんだけど」
しない親(塾に通ってそれ? バ○なのね)

中受しない親に、陰でこんなことを言われる。
「ねえねえ、Aさんのお子さん、早くから日能研に通って勉強してるのに、偏差値50すらいかないらしいわよ」
「えー、小学校で塾? それで50以下なんて……」
「あまり頭はよくないのね」
「そうみたいね。でもさあ、だったら小学生に無理やり勉強させる必要なんてないんじゃない」
「Aさんのところのお母さん、教育ママだから」
「でも教育ママで、お金つぎ込んで、45?」
「コスパ最悪よね」
「もう残念な親子としか……」
「やっぱり小学生のうちは、のびのび育てないとね」
※ちなみに、偏差値45でも平均的小学生よりずいぶん上である。

・偏差値50
中受の親「国立附属中(地方)を目指そう」
しない親(うわっ、塾に通って平均なんて、残念過ぎる)

「ねえねえ、Aさんのお子さん、日能研に通って勉強してるのに偏差値50しかないらしいわよ」
「えー、塾に行って詰め込んだのに、偏差値50なんて、かわいそう」
「だよねえ。50って平均ってことでしょ? 勉強して平均って……」
「残念だよね」
「やっぱり塾通いさせても、駄目なものは駄目ね」
「そこまで言っちゃ可哀想よ。A君のお母さん嬉しそうに話してたから。附属中受けるって」
「えー? 偏差値50で? 無理に決まってるじゃない」
「だよねえ」
「A君お母さんって、変な人なのかしら?」
「変じゃないにしても、少なくとも思い込みは激しいよね」
「言えてる」
※国立附属中学、十分狙えますけど。

・偏差値55
中受の親「青雲中学(難関私立中学)を目指せるかも」
しない親(55って、たいしたことないよね。うちの子と同じくらい?)

「ねえねえ、日能研に通ってるAさんのお子さん、偏差値が55らしいわよ」
「1年から塾に行ってそれだけ? 偏差値55って言ったら、高校なら偏差値53の△△高校なら行けそうだけど」
「でしょ。それなのに青雲中学目指すって言ってるのよ」
「えー? 九州御三家の? なに考えてるのかしら」
「無理に決まってるよね。A君のお母さん、嬉しそうに言うから、憐れで見てられなかったわよ」
「少しイタイよね」
「ほら、1年から塾にお金をつぎ込んでるじゃない。そうでもしなきゃ、やってられないかもしれないわよ」
「でもさあ、さすがに現実は見なきゃね」
「ほら、自分のことになると、まったく見えなくなる人っているから」
※高校の偏差値と一緒にしないでください。

ちなみに、かなりいい偏差値でも、違ったバージョンでマウントを取られるのだが、それは次回。

(続く)



小説が面白いと思ったら、スキしてもらえれば嬉しいです。 講談社から「虫とりのうた」、「赤い蟷螂」、「幼虫旅館」が出版されているので、もしよろしければ! (怖い話です)