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第21話 親父を少し知った頃の話

少年院を仮退院(刑務所で言うところの仮出所)後、新しい父親のアドバイスにのっとり板前見習いとして就職を試みた私は、「魚介類を食えない」を理由に高級寿司割烹料理店を辞め、祖父母の家に転がり込んだ。
祖母から「爺ちゃんの所で働いてみなさい」と言われ塗装工にチャレンジしたが、16歳では入れる現場に制限があったため休みが続き、あまる時間で悪友との再会を果たした頃、妹から「中1で離婚した父親は私の父親で兄ちゃんの父親じゃない」と知らされた。
祖父母の家を漁って自分の父親の痕跡を追った私は、知らない男性の名前が書かれた母子手帳と、その男の立派な名刺を見つけた。

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