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8の巻『初デート②』

たくやくんの家はジャスコからそう遠くはなかった。

たくやくんの家の玄関が近づく…
なんだか緊張した。

遂に玄関がドアが開いた。
私は一瞬にして緊張がとけた。

"くっそ、汚かった"

玄関から既に。

"興ざめ"ってやつ。

でもここまで来てしまった私に入らないという
選択肢は無かった。や、言えなかった。

たくやくんの部屋は多分六畳ぐらいはあっただろう…
でも、足の踏み場は一畳も無かったと思う。
ゲーム、漫画、服、食べかけのお菓子で溢れていた。

たくやくんがリビングに飲み物を取りに行く。
私はたくやくんが戻ってくるまでの僅かな時間で
周りの物を足で蹴り飛ばして、自分のスペースを
確保した。

戻ったたくやくんは、
定位置であろう場所に着席し、
プレステの電源をつけた。

"太鼓の達人"

どうだ!と言わんばかりに難しいステージの曲を
クリアしていく。
自分のホームでがんがんマウントをとってくる。
もう拷問だ。

時間が刻一刻と過ぎていく。

"ドン、ドン"

"カッ、カッ"

"10コンボー"

限界。

どうにかしてこの時間から脱出したい…
あ!そうだ、プレゼント!
プレゼントをまだ渡していない。物で気をひこう。

もう、タイミングなんてどうでもいい。
渡し方すらどうでもいい。
ゲームに熱中しているたくやくんめがけて
プレゼントを投げつけた。

びっくりした表情でこっちを見た。
投げやりの"ハッピーバースデイ"
ゲームをする手が止まる。

"よっしゃ‼︎作戦成功"

予想外の出来事に驚いていたが
プレゼント見て素直に喜んでくれた。
2つ入りのリストバンドを1つ腕にはめる。
もう1つは私の腕にはめられた。

"お揃いだね"

そーきたか。
数分前までとてつもなくイライラしていた私だったが
思わず"きゅん"とさせられてしまった。

見慣れているはずなのに"きゅん"のパワーは凄かった

たくやくんの私に向けられた笑顔は
とてもイケメンに見えた。
たくやくんの手が私の手を握っていた。
数秒経って、恥ずかしそうに手を離した。

私的には、もう少し繋いでいてもいいと思った。
恋とはこういう衝動の積み重ねなのか?

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