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無自覚の罪から逃れるには

皆さんは人をいじめたことはあるだろうか。
彼女は、私はきっとあるんだろうと思っている。そういう言い方をする。

彼女は、いじめられた人が書く恨み節を見る度に胸を痛める。

皆さんは人をいじめたことはあるだろうか、
多くの人はないと答えるし、実際記憶のどこを探してもいじめた経験なんてないだろう。
だがそれに「いじめたヤツは覚えてないんだ」と一言付け加えられただけで身動きが取れなくなる、それが彼女だ。

彼女は、「君は繊細過ぎるんだよ」という一言に「そうかな」と流すことも出来ず、「私は繊細過ぎるのかな」と考えてしまう程の繊細さの持ち主で、
閑散とした交差点でも青になるまで待って、すれ違う人々や追い越す車にまで気を遣う彼女だからこそ傷ついてしまう。
電車の二人掛け、誰も乗らないと分かっていてもギュッと身をすくめて6:4の4に座る。

人を想うあまり、人の辛さをわかるどころかその原因を自分に課してしまう。

母のため息と、父の咳払いに身をすくめる。

彼女は、優しい人になりたかったんだ。

僕らは常に誰かを傷付けている。
心の弱い人、アンテナが敏感な人達を犯している。
僕らのほとんどはそれに目もくれないが、
繊細すぎる彼女は自分の犯した罪の重さに耐えきれなくなる。


だから死んだんだ。
解放されるために。

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