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マツキヨの化粧品売上はデパート全体の40%以上 -化粧品業界におけるドラッグストアの台頭-

前回は化粧品ブランドと化粧品メーカーについてかんたんに触れた程度でしたが、今回は販路についてです。タイトルの通りドラッグストアがハンパじゃない販路になっています。私のnoteでは再三化粧品ECの普及率の低さについては触れてきましたが、現状日本の化粧品のEC化率は5.8%です。これはつまり、化粧品は94.2%がオフライン(=実際のフィジカルな店頭)で購入されているということです。

化粧品の4つの販路

化粧品の購入というとどこで買うことを想像しますか?男性が考える化粧品は大体デパートの1階の化粧品売り場ではないでしょうか?化粧品の購入経路は主に4つに分類されます。

①デパート
②バラエティストア
③化粧品専門店
④ドラッグストア
がリアルな店頭での主な購入経路です。これは女性なら普通に納得する話かと思います。そしてこの中でドラッグストアがハンパじゃないシェアを持っているというのは本稿タイトルの通りです。

めちゃ伸びてるドラッグストア

実はドラッグストアは今も伸びている業態で店舗数も売上も伸びています。何で伸びているかと言うと本来の「ドラッグ(=医薬品等)」ではなく「食品」や「化粧品」の売上で大きく伸びています。もはやドラッグストアの競合はスーパーであり、コンビニであり、デパートです。男性はこう言われてもあまりピンと来ない人が多いですが、ドラッグストアで売り場面積のどの程度を化粧品が占めているか見てみてください。意識してみると1/3以上のスペースを化粧品が占めているお店はかなりあります。

販路の壁 ≒ ブランドの「格」

また、バラエティストア、例えばLOFTやPLAZA、東急ハンズ等でもかなりの場所を化粧品が占めます。雑貨屋のイメージが強かったこれらも今や化粧品は超重要な商材です。販路は様々ありますが、ここに並ぶ商品にはいわゆる「格」があります。

格はわかりやすく高い方から

デパート≫バラエティ≧ドラッグ

です。

ブランドは販路のtierを越えない

つまりどういうことかというとデパートで販売されているブランドはドラッグストアでは買えないし、その逆もまた然りです。デパートでしか買えないというのはデパコスの高級であるというブランド価値ですし、ドラッグには並べないというのはバラエティを中心に販売するコスメの中くらいの高級さでもあり、安っぽすぎないというブランド価値です。実際の機能性での差異ではなくこれこそがブランドというものだと私は理解しています。機能性でいったらこれはひっくり返るものも当然ありますが、それは電子機器や家電ではないのでここでは問題ではありません。

ユーザーは平気でtierを越える

しかし、一般消費者にとってそんなブランド自身が自らを規定する「格」なんてものを都合よく守ってはくれません。一般の女子は化粧ポーチの中身を見ればすぐに分かりますが、デパコスもプチプラも上手に組み合わせて実に様々な価格帯の化粧品を使ってメイクを楽しんでいます。

ここがファッションとコスメが大きく異るところです。ファッションも最近でこそtierを超える事例は出てきましたが基本的には超えません。Diorの服を着る人がしまむらの服と合わせる(もしくは所有することすら)ことは基本的にはないですが、Diorのファンデーションとキャンメイクのリップを合わせる人はザラにいるという感じです。(Diorとキャンメイクのリップ両方を持ってるなんていうのは普通)

ドラッグストアの動向

ドラッグストアの直近の動向を経済産業省の経済産業省生産動態統計から見てみましょう。

店舗数はいまも右肩上がりで伸びています。2014年比で125%になっています。

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一方で売上はというと、なんと2014年比で138%です。

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そのなかで何が伸びているのかカテゴリ別で見てみましょう。

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食品と調剤医薬品がめちゃくちゃ伸びてるわけですが、実はそのつぎに伸びているのが化粧品なのです。ドラッグストアなのに食品かいと思うけど、実際めっちゃ食品置いてます。生鮮食品はそんなにないですが、冷凍食品やインスタント食品はめちゃくちゃあります。

ドラッグストアの特徴

そんなドラッグストアにも各ドラッグチェーンで特徴があります。どの商材に注力しているかというのはかなり違うようです。この中でマツキヨは化粧品にかなり力を入れています。マツモトキヨシHGの決算発表によると全体売上は5,856億円、なんとそのうち38.6%が化粧品です。つまり2,260億円分の化粧品をマツキヨは販売しています。

日本のデパートの化粧品販売合計は5,600億円なので、これは日本中のデパート全体が販売する化粧品の40%以上をマツキヨ一社で販売しているということです。マツキヨやべえ。

ちなみにマツキヨは化粧品に特に力を入れている形ですが、ドラッグストア各社特徴が色々ありまして、食品に超強いところやマツキヨの様に化粧品注力などもはや"ドラッグ"やないやないかいというのがドラッグストアの今の姿です。

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出典:図解!調剤&ドラッグストアチェーン売上高ランキング 2019

あんまり長くても読むのも疲れちゃうと思うので次回は販路百貨店として書いてみます。


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