【思考訓練】茂木ちゃんのお笑い論に真剣に向き合ってみよう
茂木健一郎は、色んな人から厄介者扱いされている人だ。まあ、僕も度々面倒臭ぇなコイツと思うのだが、その一番のきっかけは、「日本のお笑いはオワコン」とツイッターで発言したことだ。
その後も度々、茂木氏は同様の発言をSNSで展開している。
彼の主張の要点は、以下の二つに分類される。
確かに、アメリカのスタンダップコメディは、度々トランプを皮肉っている。他にも社会風刺を取り扱ったもがたくさんある。サウスパークはその代表であろう。
あとは、業界内での忖度が激しすぎるとある。厳密に言えば、これはお笑い界と言うよりテレビ界全体の話だと思う。例を挙げると松本人志や和田アキ子が挙げられる。以下の動画では”すべらない話”を例に挙げている。
業界内のパワーバランスに忖度しすぎなのは、中田敦彦の提言の通りで、実際にあると思う。最近テレビに出てきた芸人が、松本さん松本さんって言う場面は、正直いい加減にしてほしいと思う。
僕がなぜこのおっさんの主張に耳を貸すのかというと、彼の主張はお笑い界での一つの定説に真っ向から反するものだからだ。
日本のお笑いは世界一レベルが高い?
以下の動画で、トマホーク坂井は、「日本のお笑いは世界で一番高いと思ってるんだけど、それって松本さんが上げてきたもの」と言っている。
僕の記憶だと、確かオール巨人が、M1の審査の途中に「日本のお笑いは世界一レベルが高い」と発言していた記憶がある。果たして、日本のお笑いはレベルが高いのか低いのか?
まず、茂木氏の要点二つを僕なりに一言にまとめると、日本のお笑いは、”セコイ”が適切だと思う。
日本のお笑いは、”セコイ”が故に、偏狭な世界で奇形的変化をし、その狭い範囲に置いてのみ異常にレベルが高くなったと言うのが僕の仮説だ。
茂木のツイートはなぜ炎上したか
ただ、個人的には、茂木の主張には二つの違和感があるので、そこは言語化しておこう。
1.大学の教員が芸人を馬鹿にしているという状況
茂木のツイートが炎上した理由の最大の要因はこれだろう。茂木が大学教員として一体どのレベルなのかはわからないが(調べたが肩書きがよくわからない。所謂大学教授ではないらしい)、世間一般的に見て、学者と芸人は学者の方が地位は上である。海外ではコメディアンが国から表彰されることがあるので状況は違うのだろうが、日本の場合は学者の方が上だ。
勿論、茂木は学者であっても芸人であっても、一人の表現者として対等にモノを言っているつもりなんだと思う。ただ、世間はそうは捉えない。何も知らない一般人にとっては、茂木の芸人批判はただの悪口にしか見えないのだ。
2.批判するべきは芸人ではなく、日本人全体
茂木の芸人批判は、読んでイラッとするだけでなく、シンプルに意味がよくわからないと思った人が多いのではないだろうか?
芸人が政治ネタを扱わないのは、芸人がビビっていると言うより、単純にそういう文化がないからである。芸人がテレビに出るようになって忖度して政治ネタをやらなくなったのならわからなくもないが、それ以前の芸人が社会風刺をしていて、テレビ出現、あるいは戦後それをしなくなったと言う話は、私見では聞かない。
政治でもそう。日本人とアメリカ、ヨーロッパでは、政治に対する姿勢が根本的に違う。日本はピューリタン革命もフランス革命も経験していない。ただ先進国に合わせてその制度のみを輸入したに留まる。日本の笑いが政治を扱わないのも、そこに起因するのではないか?
だとしたら、責められるべきは芸人ではなく、日本人の政治に対する姿勢そのものである。ただ、その姿勢を持っていたとして、政治が良くなるかと言うと、疑問に感じる。アメリカを見ている限りでは、混乱と対立が激しくなる一方のように思う。