反田恭平さん「終止符のない人生」/きっと芽吹く時が・・・

 数年前、音楽番組でショパンの「雨だれ」を演奏する反田さんの姿が印象的でした。

 曲調として、雨音が強くなる前は鍵盤に顔を近づけ静かに、雨が強くなった時は険しい表情で鍵盤を叩いて押し込むように、雨が少しやわらいだ時は晴れ間を見上げるように演奏する姿。
 演奏だけでなく、見せ方もうまいなと思った記憶があります。

 この本は、反田さんの幼少期から2021年10月のショパンコンクールで2位になるまでの過程やその後を見据えた内容が語られます。

 コンクールの曲目や苦悩のほか、身近な天才2人(小林愛美さんや務川慧悟さん)への感謝が綴られるなどリアルな「蜜蜂と遠雷」といった感じです。

 最後の言葉が印象的です。
「音楽家になろうが、何の職業に就こうが、生きることに対しての強い信念をもって歩むべきです。・・・こういう人になるんだという信念をもっていれば、きっと芽吹く時がきます。」

「終止符のない人生」反田恭平/幻冬舎/2022.7.1刷

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