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小川糸さん「椿ノ恋文」/自筆の手紙の魅力

「ふーっとたんぽぽの綿毛を飛ばすように、これからも私は、希望の種をこの世界にまき続けたい。」

「椿ノ恋文」小川糸/幻冬舎

 鎌倉が舞台の「ツバキ文具店」。
 シリーズ3作目となる「椿ノ恋文」は「キラキラ共和国」に続く作品で、相変わらずクオリティを維持したいい作品でした。

 主人公の雨宮鳩子(ポッポちゃん)は代書屋を先代から引き継いだという設定で、「代わりに手紙を書いてほしい」という依頼に応える形で様々な人間模様が描かれます。

 ポッポちゃんに家族が増えたり、先代の秘密の手紙も驚きの内容で印象的でしたが、義理の娘QPちゃんとの手紙のやり取りを通じて互いの心の距離を縮めていく部分が最も印象に残りました。

 「ツバキ文具店」シリーズは、書き手の心と相手の心を丁寧につなぐ「希望の種」とも言える自筆の手紙が何と言っても一番の魅力だと感じました。

P.S.
①ポッポちゃんはもしかするとあの人の・・・
②QPちゃんの字が美しく、もしかすると・・

「椿ノ恋文」小川糸/幻冬舎/2023.10.1刷

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