見出し画像

Japan IT Week 春 『シリコンバレー発MODEのIoTプラットフォームが変えるビジネスと現場DX』 セミナーレポート

2023年4月7日(金)、東京ビッグサイトで開催された「第32回 Japan IT Week 春」にて、CEO上田とCTOイーサン・カンによる特別セミナー『シリコンバレー発 MODEのIoTプラットフォームが変える!ビジネスと現場DX』を開催いたしました。

セミナーでは、シリコンバレー流のIoTデータ活用や、データを活用してビジネスを成功させるポイントなどを紹介しました。 おかげさまでたくさんの方にご参加いただき、定員100名の会場は満席となったため、立ったままでご覧になる方も多くいらっしゃいました。

自己紹介

石井:本日はご多忙の中、MODEが開催するセミナー「シリコンバレー発MODEのIoTプラットフォームが変えるビジネスと現場DX」にご参加いただきまして、誠にありがとうございます。本日、モデレーターを務めますMODEのセールスマネージャー石井と申します。

そして、本日のメインスピーカーは、弊社Co-Founder兼CEOの上田学、Co-Founder兼CTOのEthan Kanです。

上田:皆さん、こんにちは。私、シリコンバレーから来ました、MODEの上田と申します。隣におりますEthan Kanとは20年来の友人で、最初はシリコンバレーのYahoo!で、一緒のチームで働いていました。その後、Ethanとは別の道に進みます。私はGoogleとTwitterに転職して、エンジニアリングマネージャーを勤めました。

Ethanはスタンフォード大学を卒業後、Yahoo!、サン・マイクロシステムズに行き、いろいろスタートアップを経験しました。その後、MODEで再集結をした形となります。

アメリカの最新デジタル化事情

石井:Ethanは、普段はサンフランシスコに住んでいますので、最近のアメリカのデジタル化事情について教えてください。

Ethan:最近では、無人運転のタクシーに乗ったのが面白かったです。

以前から、こういう車が走り回ってテストしてたのですが、最近は、タクシーサービスとしての実用化がすごく近づいてきたと実感しています。

運転手さんがいないのに、サンフランシスコの街中を走りますし、路上駐車している車が多い場所も走ります。普通のタクシーではできないような、例えば音楽視聴がサービスになったり、「シートベルトをお締めください」というアナウンスも、乗車時に適切なタイミングで行われたり、そういったところまでテストしています。

石井:自動運転タクシーは、非常に新しい事例だと思います。一方、既存のビジネスや事業におけるデジタル化にも、取り組まなければならないと思います。そういう観点で、アメリカでの事例を教えていただけますか。

既存ビジネスにおけるデジタル化事情

上田:自動運転タクシーは、シリコンバレーならではの、未来っぽい感じがあり、非常に目立ちます。

一方で、アメリカが全部そうということもないんです。例えば石油や石炭のような重厚長大な産業など、従来型の事業を扱う企業は、以前としてアメリカ企業の7〜8割を占めています。

この二つを分けるのって、何だと思いますか?

シリコンバレーの新興企業は、全て自前でやるために、ソフトウェアからハードウェアまで、垂直統合でサービス全体を作ると思うんです。でも一点だけ弱いところがあります。まだビジネスがないので、ゼロから作る必要があります。そうすると、時間がかかりますし、そこに辿り着けずに消滅してしまう会社もたくさんあります。

次に、従来型の事業を扱う企業を見てみましょう。彼らがデジタル化をやってないかっていうと、やってます。

ただ、ソフトウェアエンジニアは、そうした企業にはなかなか入社しないですね。これはアメリカでも同じで、強いビジネスを持っているけれども、デジタル化は自社だけではできない。それでもデジタル化を進めているというのが現状です。

今年のCESで見てきた最新の例を見てみましょう。

一つ目はキャタピラー社が作る、タイヤが2メートルくらいあるダンプカー。これを今、自動運転化しています。

もう一つは、ジョンディアという農機具の超大手メーカーで、アメリカの広大な畑を動き回る農業用の機械を、いかに早く、余すところなく収穫するかをデジタル化しています。こうした取り組みがどんどん進んでいます。

デジタル化に必要なこととは?

石井:これらを実現するために、各企業はどういったことが必要でしょうか?

上田:新興企業は、開発に使う部品さえあれば、自前で製品を作れる会社です。例えば、流行りの「ChatGPT」は、それ自体は「部品」なんです。だから、先ほどの新興企業は、エンジニアをたくさん集めて「ChatGPTで何か面白いもの考えて!」と指示して、今、それを作っているという状況です。

一方、従来型のアメリカ企業は、そういう部品だけ渡されても困ります。それを実現できる、パッケージ化されたサービスが必要になるんですね。

例えばキャタピラーさんとかが、ChatGPTを自社のビジネスにどう取り込むかは、なかなか分からないですよね。なので、必要なものはChatGPTをビジネスに使える状態にしたサービスです。

石井:日本企業のビジネスにおいては、今のような例は、どんな風に当てはまっていきますか。

上田:アメリカの企業と日本の企業の違いという点に尽きると思います。
実際に、AIのような新しい技術が出てくると、すぐに、といっても数年ほどかかりますが、すぐに取り込まれる世界が到来します。

MODEはIoTのサービスを展開しているので、IoTの世界で、ChatGPTをどう使えるか考えてみましょう。ぱっと思いつくのは、レポート作成ですね。

例えば、建設現場を全国各地にたくさん持っている会社があったとします。そこで、昨日の工事状況についてレポートを出してくださいとお願いしてみる。そうすると『富士第1トンネルの工事現場では、排水ポンプに異常がありました。トラブルが続いてるので対策しましょう』と、自動でレポートしてもらえるようになります。

でも、これをどう実現するかを考えなければいけないですよね。ビジネスとAIを繋ぎ、やりたいことを実現する何かが必要です。

IoTに関して言えば「MODE BizStack」というソリューションが、ビジネスとIoTを繋ぐ役割を担います。

MODE BizStackについて

簡単にお話をさせていただくと「MODE BizStack」は3つのフェーズでご活用いただけます。
1. 現場のデータをインターネットにつないで集める「コネクト」
2. 現場のデータを見守る「モニター」
3. データを活用し業務変革を起こす「レバレッジ」

重要なポイントは、どんなに本社の人が欲しいと思っても、現場の人に役立たないものは導入されません。導入されて、現場の人に役に立った後には、必ずデータが貯まります。そこでようやく、データ活用ができるようになります。

MODE BizStackの事例

石井:実際に「MODE BizStack」を使った事例のご紹介をお願いします。

上田:

まず「コネクト」の例として、リコーさんの例をご紹介させてください。センサーを購入したい方は、環境計測をしたい、あるいは環境の見守りをしたいというニーズがあります。昨年、リコーさんの環境センサーをデータ計測ソリューションにすることで、こうしたニーズに対応できるようにしました。だいたい3ヶ月でソリューション化できましたね。

二つ目は「モニタリング」です。

西松建設さんが、トンネル採掘工事に必要不可欠なポンプの見守りをされています。元々は人間が見てたんですけど、これを自動で継続的に見守ったり、異常があったらチャットツールで通知されるようにしました。

他にも現場の自動モニタリングをしたいことがたくさんあるので、そちらも一緒にやらせていただいております。

最後はニチレイロジスティクスエンジニアリングさんの例をご紹介します。

ニチレイさんは冷蔵倉庫を全国各地にお持ちです。それら倉庫のクラウド化を行い、稼働データの常時モニタリングをしました。2年ほど前から開始していて、打ち合わせと実装は半年くらいでできています。すでに2年間分のデータ資産が貯まっているので、それらを使い、さらなるデータ活用のフェーズに踏み込んでいます。そちらもお手伝いさせていただいております。

MODE BizStackができること

石井:皆様が今後、IoTを使った現場DXを推進するにあたり、BizStackを使った具体的な実現方法を知りたいと思うので、ぜひ教えてください。

Ethan:「MODE BizStack」は、データの収集・蓄積・活用を可能にする技術がオールインワンで備わっているIoTプラットフォームですが、今回、新たな機能が追加されたので、ご紹介します。

1つめはデータ分析画面です。蓄積したデータをさまざまな角度から見るための分析画面が追加されました。通常だと、BIツールなどと組み合わせる必要がありますが、それが簡単に手に入るようになりました。

2つめは、屋内外の位置測位機能が連携しました。すでに6種類くらいの位置測位ソリューションと連携しているので、お客様が技術の実証などをすることなく、すぐに利用することができます。位置測位機能の使い方としては、作業員や車両などの現場把握やトラッキングをすることで、現場データの活用につなげられます。

3つめは、富士通さんの行動分析技術「Actlyzer」との連携です。Actlyzerは、人間の基本動作を組み合わせることで、その人が何をしているを判別できるAI技術です。こちらとも連携されたので、すぐにご活用いただけます。

4つめは生産現場の設備総合効率(OEE)が可視化できるようになりました。OEEの指標がぱっと出たり、それに合わせたグラフのコンポーネントなどが用意されているので、既存の機器やラインなどに、すぐにお使いいただけます。

MODE BizStackの良いところ

上田:最後に「MODE BizStack」の良いところを3つご紹介したいと思います。

まず、ベンダー中立性が高いこと。どんなセンサーも、既存機器も、新規開発の製品もインターネットに繋げます。半導体の実装機などもパパッと繋ぐことができるので、データを取りたいものがあれば、アナログメーターなども対応していますので、ぜひご相談ください。

2つめは、クラウドの設計をしなくて良い点です。

データをインターネットに繋いだ後、クラウドシステムにどうやって入れるかは、どうやって取り出すかによって設計をしなければいけないんですね。

MODEでは、お客様がシステム設計しなくて済むように、「エンティティ・システム」というものを編み出しました。どういうものかというと、実際のビジネスの構成をご説明いただければ、それをデータベースの形にパッと置き換えることができる。そうすると、テーブル設計やデータベース設計をせずに、必要な画面まで自動的に生成できるのです。

最後は、データ収集から活用まで、開発がほとんど不要な点です。

定型化された型を決めているので、データ収集から活用までの、基本的なステップに従って進めていかれるのでしたら、すぐに使うことができます。PoCのプロジェクトなど、すぐに始めて、すぐに結果を出すことができます。

質疑応答

石井:ここで質疑応答に入らせていただきます。ご質問はありますでしょうか?

MODEを導入していただくのが早い理由

質問者:いろいろなお話ありがとうございます。日本の大企業など、たくさんの企業様に使っていただけた理由はありますか?そんなに早く動いてくれない業界も多いと思いますが、御社のサービスをそんなにも早く入れていただいたのはなぜでしょうか?

上田:「MODE BizStack」はパッケージ化されたソリューションです。事例はすごくたくさんありますが、基本のスタイルは同じなんですね。

そこに、どんなデータを入れるか、どう整理をするか、どう見せるかという3つを考慮して、お客様と関わる部分だけカスタマイズをすると、大体のものができます。

もちろん、機能が欠けているものもあることもありますが、そうでなければ、1ヶ月以内で稼働が開始できます。大きなシステムでも、大体6〜9ヶ月ぐらいで本番稼動まで持っていけるイメージです。

異なる業界に合わせた開発が可能な理由

質問者:重ねての質問で恐縮ですが、とはいえ、例えば製造業だと、非常に古い機械があったり、古いプロトコルで動いたり…というのがたくさんあるなど、業界ごとに作り込むのは非常に大変だと理解しています。皆さん、そこに苦労されてると思うんですけども、なぜ御社のシステムだと、それがパッとできるのかを教えてください。

上田:私ども、クラウドと、ゲートウェイと呼ばれる現場に置くコンピュータのソフトウェアを作ってるんですけども、実は開発のリソースの半分がゲートウェイにかかっています。例えばWindowsだと、新しいプリンターを買ってきて、そのドライバーを入れれば動きますよね。あんな形で、小さなドライバーをそれぞれの機器について作ってあげれば、残りの部分は全部協調して動くと。

例えば、センサー100台ぐらいあるところなら、1台のゲートウェイでデータを集めることができるんですけど、その辺はもう担保されています。かなり投資をしてますので。それぞれ作る部分も、もうかれこれ50〜100種類ぐらいやってるんで『開発虎の巻』みたいなのがあります。これに従えば早いものでは数日、長くても1ヶ月足らずでできます。

生成AIがIoT業界に与える影響

質問者:最後に質問させてください。ChatGPTなどの生成AIの技術が、今後、IoTの業界をどのように変えていくと見ていますか?

上田:今までAIというと、画像認識や故障予測のように、限られた分野で使われてたんです。それが、日々生成される大量のデータをまとめるような部分に、ChatGPTのようなAIがまず入り込めます。

イメージとしては、たとえば新入社員の社員がいて、その方は賢いですが、業界の知識はあまりない感じです。その方に資料をさっと渡して「この中から面白いことが分かったかどうか、今日の終わりまでに教えてください」と指示するとします。こうした作業が、AIに置き換えられるというイメージを持っていただければいいかと思います。

石井:それでは本日のセミナーはここで終了とさせていただきます。みなさま、本日はご参加いただきまして、誠にありがとうございました。

上田:ありがとうございました!