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[カンボジア] 小さな師匠

知識を教えてくれる人を ‘先生’と言うなら、                 知恵を教えてくれる人は ‘師匠’と言えないだろうか?

僕には 4人の ‘小さな師匠’がいる。

僕は暗闇の中を走っていた。カンボジア最大の観光地 ‘アンコールワット’で朝日が見たかったからだ。ゲストハウスからアンコールワットまでは約10km。僕は節約するために走ることにした。

1時間ほど走ったかな... 

無事到着。流石はアンコールワット! 日が昇る前だったにも関わらず数千人の観光客が朝日を見るために待っていた。

30分後... 太陽が姿を現し始めた。言葉にできない美しさ。僕はこの景色を静かに見たかったので誰もいない場所を探し1人で座っていた。すると 4人の子供たちが僕の方に向かってきた。そして、僕の前で止まり一言...

“Give me money”

ゲストハウスに財布を置き、手元にお金がなかったので以下のように言った。

”ごめん。今お金ないんだ。代わりに写真撮ってあげようか?”

ポーズを撮ったので写真を撮り彼らに見せてあげた。子供たちは満面の笑みで喜び、お礼を言い、またどこかに向かい歩いて行った。

僕は彼らの後ろ姿を見ながら罪悪感に苛まれた。実を言うと財布はなかったが、携帯とケースの間に ‘5ドル’ あったからだ。この ‘5ドル’は、ゲストハウスに戻るための交通費だった。

5秒ほど悩んだが、このお金を彼らのために使わなかったら後々後悔すると思ったので、思い切って彼らのために使うことにした。

僕は彼らを呼び止め缶ジュースを買うことにした。1缶1ドル自分の分も含め5つ買った。そして、みんなで飲もうとしたその時... 4人の内 1番大きい子が、店の主人にストローをもらい、まず初めに僕に渡し、その後で弟たちに、自分の分は最後に受け取った。

非常に些細な行動かもしれませんが、自分よりも相手を優先する彼の姿を見て、相手よりも自分のことを優先的に考え、生きてきた自分の姿が非常に恥ずかしくなった。

子供たちと一緒にジュースを飲みゲストハウスに戻ろうとした瞬間... 子供たちが手を合わせて “オークン(有難う)”と言ってくれた。言葉に出来ない喜び。目頭が熱くなり思わず涙が溢れ出た。

僕は交通費がなかったのでゲストハウスまで ‘約2時間’ 歩く羽目になりましたが、最高に幸せな ‘2時間’でした。

僕は ‘缶ジュース’という小さなプレゼントをしたのに、彼らは ‘幸せ’という大きなプレゼントをしてくれた。

世界には分け与えることの出来ないほど貧しい人はいません。些細なことだとしても自分に出来る小さいものから分け与えてみましょう。自分のものを惜しまずに分け与える時、それとは比べ物にならない位、大きなプレゼントが返ってくるはずです。

“人生最後に残るものは                                                  集めたものではなく与えたものである” 

 -ジェラール シャンドル-

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