ティモシー ポップ

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『四季』より『夏』〜ひと夏のアバンチュール〜

第1楽章  6月上旬。僕は家を飛び出した。21歳実家暮らしの僕は、もうこんな生活はうんざりだって家出した。 もっと言えば抗鬱薬のクエチアピンが親にみつかり、鬱は甘えだの、言い訳だの言われたのが、引き金だった。 東京都から出よう。僕は自転車で走った。走って走って、パンクしたから自転車を捨てて歩いてどこまでも歩いた。 もう夕方になってしまった。 もう緑しか見てない。いや、これが順調なのかもしれない。 田舎のあぜ道を鉛のような足で歩く。井戸ポンプのレバーを最初に押すように。ずっと

    • 『彼女がコンカフェ嬢だったら』

      「お帰りなさいませ、ご主人様。本日もお待ちしておりました。」 とても上品とは言えないメイド服を着た女の子が、小太りなおじさんを出迎える。 「ルミちゃん、いる?」 ________________________________________ 「コーヒーか紅茶、何飲まれ…」 「ルミちゃん、シーバスハイボール。」 「マエシマさん、お酒はダメだって、お医者さんに止められたんじゃないの?」 「いいからさぁ。作ってよ。ボトル入れてるのに、なんでコーヒー紅茶なんだよ。」 「かしこまり

      • 犬のすべらない話

        初めてのnote投稿で『犬系彼女』という短いフィクションの物語を投稿させていただきましたが、今回それに関連して、ワンちゃんに関するすべらない話でもしようかなと思いました。 今回は2回目のnote投稿になります。 ところでいきなり別の話にはなりますが、なぜnoteを始めたかというと、僕はよく文章を書くのですが、それは構文を維持するためです。 構文っていうのは、総じて似たりよったりではあると思いますが、人それぞれその人自身の構文を有しており、話し言葉・書き言葉ともに、それを使わ

        • 『犬系彼女』

          「お待たせワン🐶」 「お。おつかれー。」 「4限ちょっと長引いたワン。じゃあ今日はどこ行くワン?🐶」 「んー。どうしよっかな。」 「決めてなかったワン?🐶」 「うん。まぁ、とりあえずいつもの喫茶店行こう。橋本珈琲。その後どうするかは、そこで考えよう。」 「分かったワン!🐶」 僕の彼女は犬系彼女だ。犬系彼女といっても、俗に言う犬系彼女ではない。某SNSで少し前にバズった、かの有名な犬系彼女を遥かに凌駕する犬系彼女だ。というのも、彼女は犬を自認しており、人間ではないと言うのだ。

        『四季』より『夏』〜ひと夏のアバンチュール〜