片づけは手段。目的をもとう
依頼主の家にいってまずすること
個人宅に伺って、片付けの仕事をするようになって約1年。
1回3時間という枠を設定している。3時間めいっぱい手を動かして片づけをしたほうが、たくさん片づけることができると思っている人もいるかもしれない。
でも、私が、依頼主の家に伺って、一番にすることは、実際の部屋を見ながら、話を聞くことだ。具体的には、現状の問題点。たとえば、
・どんなところが使いにくいか?
・イライラするところはどこか?
・ここがいやだというポイントはあるか?
などである。
いきなり作業に入らず、なぜこんな話をするかといえば、片付けの目的を決めるためだ。
片づけは、それ自体が目的ではなく、あくまでも手段である。だから、目的が必要だ。目指すべき方向が定まってなければ、効果は限定的になってしまう。
目的を決めるために、現状の問題点を把握する必要がある。そのため、依頼主に会うと、まずはそれについての話を聞く。その後、「こんなふうにしたい」という理想のイメージを聞いていく。
それらをふまえて、今回の3時間でできること、できないことを相談し、お互い、3時間での(あるいは継続であれば、長期的な)ゴールを共有してから作業を始める。
たとえば、子供のおもちゃが片付かなくて困っている人がいるとする。おもちゃで遊んだあと、子供自身に片づけてほしいのか、親が片付けるのか、によってもどこに、なにを、どれくらいの量、収納するのかは変わってくる。単に、収納ボックスを用意して、棚に並べても、維持できない。こうしたいという理想のイメージが必要だ。
目的を決めるのは難しい
しかし、目的を決めるのは難しい。
そもそも「こうしたい」というイメージを持っていないこともあるが、それとは別に難しいのは、家族と住んでいる場合だ。
いくら自分が「こうしたい」というものがあっても、家族と住んでいる以上、どこかで妥協点を見出す必要がある。たまたま家族それぞれが持つイメージが重なりあう部分が多ければ、それほど苦労もなく、共通の目的を見つけることができるが、そうでない場合は、まず、家族で、どんな空間にしたいかと話し合う場が必要だ。
でも、この話し合いがなかなか難しい。今回の外出自粛で、家族であるがゆえの距離の近さからくる難しさを実感した人は多いのではないだろうか。
家族で、片付けのイメージを持つことの大変さについては、長くなるので、また次の機会にしようと思う。
とりあえず、片づけたいと思うなら、まずは、どんな空間にしたいか、目的を考えてみよう。肩ひじ張らずに、ざっくばらんに。ぼんやりとでも。それが分かれば、逆算して、どう片づければいいかが見えてくる。
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