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どこまでが現実なのか/『魔女を忘れてる』小林めぐみ

すっかり魔女めいているここ最近。

今日、読んでいたのは『魔女を忘れてる』という物語だ。

あらすじには幻想ミステリーと書いてあった。

ミステリーなら大好物である。

でも読み進めていくうちに「おや…」と気付き、中盤に差し掛かる頃には「おやおや…」と思いながら読んでいた。

これはミステリーというよりもホラーよりではなかろうか。

どんなにえげつなく血が出ようが、わけも分からぬ殺人が起きようが、わたしはミステリーなら楽しく読むことができる。

だからこの作品もミステリーなr、読みたいけど、でもホラーだったら嫌だな、どうしようかな、、と悩みながら迷いながら結局読み通してしまった。

怖さもある。

だけど、それは幽霊のものだけではなく、人間の歪んだ愛情やエゴや、そういったものが、たくさん。

本当にたくさん描かれていて読み終わったあとは「ううん…」と考えてしまった。

「魔女が帰ってきた」という言葉を残して消えてしまった幼い頃の友達。

「あいつが帰ってきたんだ。ぼくたちは行動を起こさなくちゃならない」

それがきっかけで、今町で起きている殺人事件と、記憶の隅に追いやったはずの過去がリンクし始める。

「忘れたのかい。魔女だよ。魔女が帰ってきたんだ」

それは現実なのか、それとも非現実なのか。

「ぼくはこの時を待っていた。君たちが忘れてしまったときも、ずっと覚えていた」

読み終わった人と感想を話し合いたくなる物語だった。

夏の暑い暑い日中に、どうかエアコンもかけずに読みきってほしい一冊。


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