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夢日記 2024/2/13

数ヶ月前に見てなんとなく記録に残しておいたほうがいいなと思って、書きとめていたものです。

芝公園・増上寺付近の夜景

それは夜が明ける頃だった。
マイスリーが効かなくて、皇居から見てちょうど南に位置するホテルで景色を眺めていると、突如ビル街から煙が立ちのぼる。大きな火事だ。
隣の客室に宿泊していた同年代くらいでさっぱりとした短髪のAちゃんが扉を開けてやってきて笑いながら飄々と話す。普段見ない出来事に興奮しながらも平静を装っているようだった。

いやあ これはまったく酷いことになったね
しかし焦るべからず うちらは一旦見物してますか

言い終わった途端、ふかふかのまっさらなベッドにダイブした。いくつかの羽根がはらりと舞う。
私はしばらく落ち着かなかったが、数分間だけと決め込んで街の一角から奇妙なほどに揺らめき立つ赤をじっと見ていた。すると、後ろでAちゃんがごくりと唾を飲み込む音が緊張の糸を張り巡らす空気を振動させて伝わってきた。
あまりにもデカい!さては今、死を覚悟した?
いつの日か映画館で見た沈没する豪華客船タイタニック号で最期を遂げる高潔な貴族みたいに。

次第に炎が燃え広がり、私たちは避難を試みる。
Aちゃんは、この期に及んでいつまでも渋っていた。窓からパラパラと飛び降りる人々を横目に私も思い切って窓の枠を乗り越え大ジャンプした。もうどうなってもかまわない、焼け死ぬよりかはマシ。一世一代の命懸け、地上17階。

ヒューズが飛んだように、意識が消滅する。
一瞬の間、曖昧に溶けだした記憶の境界を縫うようにして脳が息を吹き返す。やがて、地上に投げ捨てられた自らの肉体を背負い有象無象のいる方向に私は逃げた。辺り一面にノイズ音が響き渡る。拡声器越しに女の勇ましい声が聴こえた。
日本解体チャンネルを先導した椎名林檎だ。
馬鹿デカいトラックの上から演説を始める。

私の声を良く聞いて、あなたたちは大丈夫!

そんなこと言ったって、彼女らのトラックが邪魔で燃え盛る火の手から逃げられない。漆黒で塗りたくられた右翼の街宣車に追われるようにハイブランドに身を包んだ無数の富裕層が顔を真っ赤にして一目散に走っていた。結局のところ、人間はみなパニックに陥ってしまえば地位も何も関係なく平等に死を待つしかないのだろうか。私たちはここで終わってしまうのだろうか。

あっという間に東京タワー周辺は赤黒く火の粉を散らす激しい噴煙で覆われた。さっきまで空中を突き刺すように高くそびえ立っていたホテルは崩れ落ち、黒く焼け爛れた残骸から虚しい音が響く。密集したビルが次々に連鎖して燃え移り、辺り一面が鼻を刺す焦げくさい異臭を放ち続ける。

テレビ局のヘリがやってきて、関東一帯の朝のニュースに生中継しているようだ。しばらくして地上の状況報告を一通り終えると遥か西の空へ遠ざかっていった。所詮メディアは他人事だよ!
クレッシェンドの単調、不協和音フェルマータ。

ずいぶんとお気楽だな、虫唾が走る

はっ、Aちゃん!?この声は確かにあの子だ。
でも姿は見えなくて耳元の囁きは幻聴だった。
向こうから威勢のいいエンジン音を轟々と鳴らしながら退廃した街の隙間を傲慢な権力を振りかざすようにしてスピードを上げ近づいてくる黒光りしたトラック。もうやめてほしい正直、邪魔で苛立ちが募る。一体全体何がしたいんだ。
その真上で拡声器片手に椎名林檎は叫ぶ。

今からヒントを言います!
これに正解したあなたの命は助かることでしょう…

周囲はざわめく 必死な命乞いが聞こえる。
無神論者さえも神の存在に祈り始めた。
そういえばあの子とはぐれてしまったな。
さっきの声は幽霊だったのか!?うう、悲しい。
今頃、部屋の中で燃えカスになっているんじゃないか。でも、仕方ないことだ 何もかも。

光速の2倍速であの頃を追い越してた。タキオン
全てがここで終わる 現実に遡っていく。

ハッと目が覚めた。
急いで時計に目を向けると朝の8時50分。
2月13日、今日は火曜日。みんな今頃学校だ。
私には Aちゃんという友達はいない。
でもちょっとだけ似てたな。入学式の日に話しかけてくれたあの子。もう全然会えてないけど。

最近あの辺を燃やし尽くすような火事は、私の知る限り起きていない。ならばこれはぜんぶゆめで、逃げ惑っていた人々も椎名林檎も普段と変わらぬ日々を送っているんだろうか。でも私には確かにハッキリと見えた。夢と現実が混ざってる?引きこもっておかしくなっちゃったかな。
日本解体チャンネル 心臓のあたりを締め付ける。どこかで蠢いているような嫌な汗が背中を伝った。

寝起きに急いでまとめた文章なので引っかかる点は多くありますがとりあえず聞いてください。
神聖かまってちゃんで、マイスリーぜんぶゆめ

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