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コロナ禍のような不条理な時代に読みたくなるレミゼ

ミュージカル「レ・ミゼラブル」をご覧になったことはありますか?コロナのような不条理が起きると不条理だらけのレミゼが読みたくなり、再びヴィクトル・ユゴーの原作を読み進めています。

劇中、司教が銀食器を盗んだジャン・ヴァルジャンを許すシーン。司教の言葉には絶望の淵にいる彼に一筋の光と大きな愛をもたらし、心が揺さぶられます。

N'oubliez pas, n'oubliez jamais que vous m'avez promis d'employer cet argent à devenir honnête homme.
決して忘れないでください。この銀の道具を使って、立派な人間になると私に約束してくれたことをね

司教は頑なに心を閉ざしていたジャン・ヴァルジャンから消え失せようとしていた善の心を引き出し、彼はやがて産業を興し人々の大きな尊敬を得て市長となり、町を建て直し、激動の7月革命を迎えます。

大変興味深いのは、登場人物たちがフランス革命で起きた悲劇やナポレオンとの会話をついこのあいだの出来事のように世間話の中で語られていること。レミゼのワーテルローの戦いシーンはとにかく細かく、ナポレオンの息遣いが聞こえてきそうなほどの臨場感。フランスは自由を求めて革命が起き、反革命派のヨーロッパ連合軍がワーテルローで勝利し、結局ルイ18世を戻し、王政復古しました。


**"自由という未来とナポレオンという過去に夢中になった" **

人々は王室主導の政治が嫌で革命を起こして倒したはずなのになぜ昔の体制に戻るのだろう。ナポレオンは混沌とした革命期を確実に押さえ込み、統率できた唯一の絶対的リーダーなのに、革命を恐れたヨーロッパ諸国によってわずか18年で失脚し、結局また昔の体制に戻った。まるで長年一党独裁だった何処かの国で期待を込めて野党に与党を譲った国のように、結局一党独裁に戻る。コロナで大きく世の中が何かが変わると期待したのに、通勤風景の満員電車は変わらないまま。コロナに便乗して助成金を搾取しようとする詐欺集団はまるで戦場で盗みを働いたテナルディエを思い起こします。世界各地で法律に反対するデモ、人種差別に反対するデモ、コロナ対策への不平不満が高まる今、人々が求める自由って何だろう。自分が考える自由とは?歴史を紐解きヒントを探りたくなります。

レ・ミゼラブルは、いろんな職業の人々がフランス革命後の不条理な混沌期をそれぞれの立場でどんな風に感じて生き抜いたか、生きるヒントを教えてくれる哲学書のようです。

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▼ レ・ミゼラブルとフランスの歴史
https://note.com/timetravelparis/n/n341fd44c327e

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