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フランスを芸術の国に高めた国王・フランソワ1世とレオナルド・ダ・ヴィンチ

フランスを芸術の国と呼ばれるまでにした立役者がフランス国王フランソワ1世(1494-1547年)であることはご存知でしょうか。イタリアに侵攻したフランソワ1世はイタリア・ルネサンスのきらびやかさ、華やかさに魅了されフランスを芸術の力で盛り立てようと決意します。1516年、レオナルド・ダ・ヴィンチがフランソワ1世に招かれフランスへやってきました。その手にはのちに500年ものフランスの宝となる「モナ・リザ」を携えて。

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《フランス国王フランソワ1世(1494-1547年)の肖像》ルーヴル美術館蔵

自由奔放な愛され末っ子キャラだったフランソワ1世

1494年、フランソワ1世はブランデーで有名なコニャックに生まれました。彼が1歳3か月の時に父シャルルが亡くなったため、母のルイーズ=ドゥ=サヴォワは末っ子のフランソワを国王にするべく大事にのびのび育てたうえ、母ルイーズ自身がルネサンス好きで教育にも影響したようです。数学、地理学、文法、歴史や綴り方を教わり、哲学、神学、芸術、文学、詩、科学、語学はヘブライ語やラテン語からイタリア語、スペイン語までみっちりと帝王学を叩き込みます。

1514年、クロード王女と結婚、1515年に20歳で王位を継承しました。クロード王妃は7人の子供をもうけましたが、1524年、わずか26歳で亡くなりました。その後、女好きのフランソワ1世は次から次へと愛妾を抱え、中には政治に口出しをする強い愛妾もいたり、愛妾同士で争ったりでそれはもう宮廷ならでは愛憎渦巻くドロドロの世界に・・。フランスの国王の歴史にはいつだって女性の存在が欠かせません。

イタリア・ルネサンスに衝撃を受け、レオナルド・ダ・ヴィンチをフランスへ

1515年よりたびたびイタリア侵攻を繰り返したフランソワ1世はイタリア・ルネッサンスの華やかさに衝撃を受け、ルネサンス芸術を積極的に保護しました。フランスを芸術の力で盛り立てようと決意したのです。イタリアで機械仕掛けの時計に感動したフランソワ1世はレオナルド・ダ・ヴィンチをフランスへ招き入れました。

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「ここで考えるのも、夢想するのも、働くのもあなたの自由だ」と言われたレオナルドはまだ未完成だったモナリザに筆を入れつつ、世にない新しい技術の発明に力を注ぎました。フランソワ1世はロワール地方のロモランタンを理想的なフランスの首都にするために、ダ・ヴィンチに運河や王宮、庭園、水車小屋、灌漑農地、下水道、近郊都市の建設を含んだ壮大な設計を依頼しました。しかし、ダヴィンチは1519年に亡くなったため幻となりました。国王の持ち城であるシャンボール城にはレオナルドが設計したといわれる二重螺旋階段がまだ残っています。上る人とくだる人がすれ違わないような設計になっていてシャンボール城の見どころの一つです。

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いまでもつづくフランスの最高教育機関の礎を築いたフランス芸術文化の立役者

当時、ルネサンス期、ギリシア・ローマの古典や聖書原典の研究を元に、普遍的な教養や神と人間の本質を考察した知識人を人文主義者と呼びました。フランソワ1世は人文主義者の影響を受け、のちにコレージュ・ド・フランスの礎となる「王立教授団」をパリに設置しました。王立教授団はラテン語、ヘブライ語、ギリシア語の学者6名が構成されました。

現在、コレージュ・ド・フランスは、フランスにおける学問・教育の頂点に位置する国立の特別高等教育機関で、「数学・物理・自然科学」、「哲学・社会学」、「歴史・文献学・考古学」、「医学・生物学」が学べます。

教授に選任されることはフランスのその担当領域における最高権威として位置づけられることを意味しました。日本からは美術史分野で高階秀爾教授が就任した実績があります。高階教授の西洋美術の解説本は本当に面白いのでご興味ある方は是非読んでみてください。

ロワール渓谷にあるシャンボール城

ダヴィンチの死後、フランソワ1世は1519年から1547年にかけてロワール渓谷にシャンボール城を建設しました。城は128mにもわたるファサード、800以上もの柱、440もの部屋を擁し、あまりにも巨大な城は見るものを圧倒します。フランス中世様式でありながらも、イタリアルネサンス様式の影響を強く受け、鋭利で精巧な屋根が特徴です。これだけ巨大な城にもかかわらず、目的は狩猟の滞在用とのこと。なんと贅沢な!!クレーンや機械がない時代に、一つ一つ石を積み上げて造られたかと思うと、とても感動しました。2000年、シャンボール城を含むロワール渓谷一帯の地域が世界遺産に指定されました。芸術の国フランスを育てたフランソワ1世の足跡をたどるなら、ぜひシャンボール城に遊びに行ってみてください。

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■シャンボール城の行き方
ロワール城めぐりはバスツアーが便利です。
パリ・ヴィジョン

車 :
・西東D103/南北D112,D120 各方面から入場可能
・パリから:A10→出口 N16 MER(メール)→D112
・トゥールから:N152→D33 (約70km)
・城内 駐車場9箇所有り

電車: パリから:Austerlitz(オーステルリッツ)駅からBlois(ブロワ)駅で下車、約1時間40分

バス: BLOIS(ブロワ)-CHAMBORD(シャンボール)-CHEVERNY(シュヴェルニー)間のバス有り。

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参考文献

▼フランソワ1世(wikipedia)

▼レオナルドダヴィンチとフランソワ1世の会話(France.fr)

▼フランス国王フランソワ1世の肖像(ルーヴル美術館)

▼シャンボール城(wikipedia)

▼シャンボール城公式サイト

▼フランス絵画史(講談社学術文庫・高階 秀爾著)

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