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佐原チハル@趣味小説置き場
2014年12月9日 17:10
「あいつと仲良くなりたいんだろ?」頷いた彼の素直さを利用した。「手ぇ繋いだこともねぇの?」「気持ちよくさせてやる方法は?」近づくための言葉たち。友人すらも餌にして。「ごめん、僕もうこういうの止めたいんだ」謝罪の言葉も告白の機会も、俺はまだ取り戻せずにいる。 #記念日BL #小説 #短編小説 #超短編小説
2014年12月12日 18:13
君が好き、いつも好き、ずっと好き…。言葉にするのが苦手な僕。君を冠に僕を脚に。そうして君への気持ちを、ひとつの漢字にできたらいいのに。「そういうのは頭ん中で言え。気持ちは怠けずちゃんと言え」「ううう好きです」僕の好意が3文字溢れる。拾ってくれる君が好きです。 #記念日BL #小説 #短編小説 #超短編小説
2014年12月13日 17:43
一卵性の双子だからって、似ているとは限らない。同じ顔でも顔つきが違う。同じ形でも雰囲気が。共通点は少ないはずだったのに。「もう仕方ないよね」「向こうも選べないつってるし。まぁシェアするしかないよねぇ」同じ顔が彼を抱き、同じ顔が彼に抱かれる。鏡写しの三角関係。 #記念日BL #小説 #短編小説 #超短編小説
2014年12月14日 17:35
金はいい。渡すだけでもいいが、一緒に過ごしてその場で出すのはもっといい。感謝の気持ちも好きの気持ちも、わかりやすく数値化できる手段。君は俺を抱きしめる。ハグだけで伝わってくる君の気持ち。「いつもごめんなさい」なんて、そんな言葉が聴きたいわけではないのだけれど。 #記念日BL #小説 #短編小説 #超短編小説
2014年12月15日 18:03
「デートつったらさぁ、もっといろいろあるじゃん」「そうなのか?」「そりゃね、前回の市役所見学ツアーよりはいいけど」「観光バスは駄目か?」「平均年齢が気になるっていうか」「すまない…やはり僕とのデートは不満か」「うううそういうとこも好きなんだけどねー?!」 #記念日BL #小説 #短編小説 #超短編小説
2014年12月16日 17:22
【お前の気持ちはどうなの】と書かれた。【どうって…セッ もしたし、わかるだろ】【ハッキリ書けよ。もしくは言え】筆を止める。くそ。「…きだよ」【あ?】「好きだよ!」気持ちを言葉にするのは苦手なんだ。照れ隠しも許さない筆談なんて、素晴らしすぎて大嫌いだ。 #記念日BL #小説 #短編小説 #超短編小説
2014年12月17日 17:07
海を越え時間も越えて、明日こそ会いに行きます。土産も持ったよ。 空を飛ぶ直前に来た「ひよこ」の写メ。時差は9時間。日も越える距離。 明日の朝目覚めたらまた、続きをしよう。夢見心地で昇りつめるまで。 来る時と帰る時では一致しません。かかる時間も感じる長さも。 #記念日BL #小説 #短編小説 #超短編小説
2014年12月18日 17:22
ダンジョンのような東京駅で待ち合わせ。デートの場所がいつも東京なのは、デートスポットが多いからでも、芸能人に会ってみたいからでもなく、あくまで中間地点だからだ。北に住む僕、西に住む君。ラブホが多いから、でもないよ?東京駅を攻略したら、次は渋谷に挑もうよでへへ。 #記念日BL #小説 #短編小説 #超短編小説
2014年12月19日 20:24
あなたの趣味も、好きな食べ物も、得意な科目も苦手なスポーツも知らない。恋愛関係というにはあまりにも発展途上な、偶然お互いに一目惚れしただけ、みたいな状態。奇跡的に運が良かっただけの。だからまず、手をつなごう。途上同士の僕たちだから、協力しあってきっと進める。 #記念日BL #小説 #短編小説 #超短編小説
2014年12月20日 15:43
少しずつ身の削られていく視界の中で、聞こえるものは君の声だけ。波にもまれ左右もわからず、このまま沈んでいけるなら、きっと楽になれるだろう。「***」僕を呼ぶ声。億劫さに息が詰まる。それでも声が聞こえたから。僕も空気を吸い込んで、もう一度喉を震わせ君を呼ぶ。***※霧笛は、視界が悪い時などに危険を回避するため、大きな音を出して船に灯台の位置を知らせるもの。 #記念日BL
2014年12月21日 18:29
ゴチャゴチャと考えてガチャガチャと当て嵌めて、入れては出して、ハメては外して。適した形に変わっていく。正しい形を探っていく。次はイで始まってウで終わる8文字。なぜならキで始まってスで終わる7文字だから。ヒントはカギだ。「きみがすきです」「いっしょにくらそう」 #記念日BL #小説 #短編小説 #超短編小説
2014年12月22日 17:32
「おれたち組合作ったから」月曜の僕から金曜の彼まで。土日は適宜。「5股はねーよなー」「でも誰とも別れないって言うから」「自分らで不平等を解消しようかと」わーすごいねーと笑顔で拍手する君。唯一の人にはなれなくても、団結し交渉し行動し、僕たちは君を諦めない。 #記念日BL #小説 #短編小説 #超短編小説
2014年12月23日 19:05
「昔は携帯なんてなかった」のに「家の電話じゃ家族に話を聞かれてしまう」から、どうにか集めたという多量のテレホンカード。あなたの過去の恋愛の残滓。「君にあげるよ」って。やめてよそんなのいらないよ。使い古しのバイブを渡されてる気分。過去に嫉妬なんてしたくないのに。 #記念日BL #小説 #短編小説 #超短編小説
2014年12月24日 17:09
「こんばんは、Mr.クリスマス」扉を開けるなり、深いキスの嵐を落とされた。「イヴ、会いたかったよ」「今年もご指名ありがとう、ミスター」上着の下にはボタンのないタイプの服。脱がせやすさが重視されている。決められた逢瀬。限られた時間。白い夜のはじまり。 #記念日BL #小説 #短編小説 #超短編小説