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佐原チハル@趣味小説置き場
2015年1月1日 18:15
股の間で動く頭を撫でながら、随分と保守的な男だったのだなぁと考えた。セフレたち一人ひとりに、年始挨拶で口を開きにまわっているらしい。出させた後は、嗽・手洗いをして次の家へ。よろしくしたい相手への誠意。何だかむず痒くなって、俺は急遽、彼氏への年賀メールを作成する。 #記念日BL #小説 #短編小説 #超短編小説
2015年1月3日 18:02
「やっちゃう?」「いっちゃう?」全てを曖昧にしたままで、持てるだけのお金を持って家を出た。どこか遠くのここでない場所、知り合いなんていない環境なら、誰に遠慮することも傷つけることもなく、僕らも一緒にいられるかもしれない。そんなありえない場所、先の夢を見ながら。 #記念日BL #小説 #短編小説 #超短編小説
2015年1月4日 17:31
風呂場でキスを一つ。「おぉ、ガッチガチだね! すごい、地蔵みたい」「なんでお前、そんな撫で方するんですか」「オレの裸見てそんなんにしてると思うと何か…ありがたや、ありがたやー」「お前のも触りたいです」「おっ、撫でたら早速ご利益が!」深いキスを、もう一つ。*願いの込められた石を撫でると願いが叶うとかなんとか。 #記念日BL #小説 #短編小説 #超短編小説
2015年1月5日 18:09
「自信持ちな、お前運いいし」高校受験を間近にひかえた僕を励ましてくれた、お隣の大学生のお兄さん。家の都合で退学していたと聞いたのは、彼の家が夜逃げしてしまったかなり後の話だ。「まぁ何とかなったけどねー」そう語る彼の肌を今、隣で感じられる僕は、本当に運がいい。***「いちご世代」は15歳世代のこと。高校受験を間近にひかえた15歳世代にエールを送る日、だそうです。 #記念日B
2015年1月5日 18:11
「バイバイ、ルーニク」僕の最愛の彼は今日、彼方に見るばかりの愛おしの存在に向けて旅に出る。誰も辿り着いたことのない未踏の地。たとえ尽きるまで軌道を周回することになっても、きっと後悔はしないから。「バイバイ、元気で」見送るこの遠くの地から、君の無事を祈るよ。 #記念日BL #小説 #短編小説 #超短編小説
2015年1月6日 17:31
高校受験間近のこの季節、俺は毎年思い出すだろう。「自信持ちな、お前運いいし」そう言って彼の元を去ったこと。前祝いに予約して、結局取りに行けなかったケーキのことを。「まぁ何とかなったけどねー」緊張を隠し、余裕を装って彼に告げながら思う、まだ遠くはない過去の話。 #記念日BL #小説 #短編小説 #超短編小説
2015年1月7日 17:27
だらしのない彼との些細な喧嘩。「お前など弟の爪の垢でも煎じて飲めばいい」と出来のいい双子の話を出せば、徐に俺の手を取り握り撫でられた。「お前のなら飲んでもいいよ?」そしてぬるりと含まれる。(くそ…くそ…っ!)そうすれば俺がもう怒れなくなるのをわかっていて。 #記念日BL #小説 #短編小説 #超短編小説
2015年1月8日 17:27
今日を逃すと卒業式まで会えないかもとか、希望はあるとか、なくても言わないよりマシだとか。湧き出す言い訳が止まらなくて、僕は今日、勝負に出る。呼び出した時間まであと僅か。「おっ、早いな」「…!」こんな時にまで5分前行動の真面目な彼に、想いが伝わりますように。 #記念日BL #小説 #短編小説 #超短編小説
2015年1月9日 18:16
100均で土鍋を買った。レトルトのお粥、卵、梅干しと、一番小さいサイズの味噌。りんごは好きじゃないって言ってたからフルーツは桃缶で、飲み物はポカリだ。合鍵があるから。寝ているところを起こさなくてもすむ。風邪をひいた彼の部屋に向かう道。楽しさを隠せなくてごめんね! #記念日BL #小説 #短編小説 #超短編小説
2015年1月10日 17:49
キスをした後。もしくは今の様に、彼のモノが口内で爆ぜた後。僕と彼との間に伝う、粘り気のある脆い透明。落ちて消える糸は、繋がっていたかった最後の名残りだ。「間に合わなかった、吐き出せ」出したい。出したくない。飲み干すことも躊躇われ、僕はどうにも動けずにいる。 #記念日BL #小説 #短編小説 #超短編小説
2015年1月11日 18:44
「間に合わなかった、吐き出せ」昨日の自分と同じセリフを、今日は別の男に言われている。苦笑しながら飲み込んだ。あ、と見せつける様に口を開けたが、一瞥されて終わった。美味いわけもない体液だが、どこか涙と似ている気がした。俺はこの男の塩臭さを、取り零したくないのだ。 #記念日BL #小説 #短編小説 #超短編小説
2015年1月12日 17:29
「真冬の恋、絶好調だな!」「そうすね」「ゲレンデが溶けるほどの恋にしたいな!」「えーと」「お前もこのスピードに乗れよ!」「あー、んー?」俺がこの人に惚れてることは間違い無いのだけれど、今ひとつついていけない。ゲレンデと同じくらい、白くて眩しすぎるのだ。 #記念日BL #小説 #短編小説 #超短編小説
2015年1月13日 17:29
「生徒指導に喫煙疑われた」「へー?」「あんたのせいだつってんだよ、おっさん。もうやめちまえ」煙草なんて害なだけだ。「あー、やめるか。俺たち付き合うの」「そっちじゃねえ!」寿命換算で確実に10年は先に死ぬおっさんが心配なだけなのに、上手くいかねぇむかつく。*今日の記念日の「ピース」は、タバコのピースのこと。高級タバコで、当時はいろいろ制限があったらしいです。 #記念日BL #小
2015年1月14日 17:43
今日こそ別れを告げるんだ。「あとは勇気だけ」と僕の中の僕が言う。「でも妻とは別れるって言ってたし、希望を持ってもう少し待てば?」と、別の僕。「彼を本当に愛してるのは僕。今すぐ妻と別れさせよう」とまた別の僕。勇気と希望と愛とが戦って、決着はまた今日もつかない。 #記念日BL #小説 #短編小説 #超短編小説