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詩-キミタチミンナ私スキ-

キミタチミンナ私スキ

引っ掛ける街の音
遠い記憶に促す感情
起伏の匂いは雨の色
紫色の宵越し峠
聴こえる灯り酔いしれる光と
人から生まれた言葉のバベル
逢える事のない未来の私

どんな形の木霊をしている?

啄木鳥突っつくいつかの倒木
虚空に流れる視線はリズムで

小気味良く

スッ
とまたたき交差する

ねぇ足音、なぁドアノブ
インドア論者が部屋の外に思う
どうしようもない妄想脳の能
狂言じみた箱庭
キミタチミンナ私スキ

伝わらなかった山田のおろし
明くる日観ていたさよなる為の片思い
伴におあいそ、そしてさよなら

だからそうだね口笛ふこうか
あっというまの心を宥めて
またねと軽口それがよし
正解の一粒のかけらもないけど

-だから生きたという証は自分勝手自分の中に持っているんだ-


遠くの空も真上の空もおんなじ空さ
海も水もおんなじイロだ
毒薬飲んだ老人と
地雷を踏んだ若者の
違いも何もなんもなくって
しられないまま息絶えるけど
かがやくピカピカそれがひどい冗談だ
そこには私の望むものはない
けれど愛した世界はあるよ
タスマニアデビルの赤子が諭した
言葉も持たない種族は誰ぞ

架空写詩集『キミタチミンナ私スキ』より

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