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その豪雨に包まれろ

優しい世界で生きていけるように頑張れって言われてる気がしてやっぱりそんなふうに生きていけないんだと俺は俺に言いいたいけど、それすらも自分に言えなくて1人で自分に寄り添うことなくもやついていたりしている時に限って

日々は平穏だし、久しぶりに晴れた気がする
春目前のまだ冬の祝日の夕暮れ前の空も
とても朗らかで駅前の屋根付きのロータリーも人気はまばらで気持ちの良い空気が身体に纏わりつく。

スキップなんてしないけれど、そういうことをしたいような気候天候日付なんだね。
そう自分に語りかけるも、歩いてそんな気分のはずなのに
駅に入って改札に行く時に何故だか豪雨に打たれだしたような気がしたんだ。

『その豪雨に包まれろ』

俺は俺に言われた。
降りしきるものはなにも雨ばかりではなくて、
それは言葉だったり
情景だったりお金だったり
雨という名の心情の景色だ。

俺はその中でざぁざぁと降りしきる言葉や
文の豪雨に包まれようとする感覚だった。

-俺は俺は俺は-
雨 雨 雨

-こころ こころ 心-

『その静かな轟音に打たれ続けろ』

『お前を素通りする刃のない逆刃の言葉たちに包まれてやり過ごせ』

『隣にずっといた寫眞。お前の隣は寫眞で満ちていた。
その前はなんだ?絵も描かない運動もしない金も稼がないお前の隣には何がいた?』

『言葉だろう。いざっていうフリースタイルの時には全然出てこないのに
ノートとボールペンがあると浮かび続けたあの言葉たちだろう』

『豪雨に包まれろ
その世界に』

『寫眞からまた遠ざかれ。文字に跨がれ。濡れてびしょびしょになって吐き潰してしまったお気に入りのエンジニアブーツの中にお前の言葉の水たまりが侵入していく』

『浸水していく。言葉の縁に淵にあんなに心を沸かせ続けた文学にいちもつを落とし込め』

-そしてまたナニカをすればいい-

改札に時計をあて、ピッと鳴って俺は駅のホームへ降りる。

俺は俺にもうなにも言わなくなっていた。



2/24 16:46

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