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「海外インターンシップ」という実践教育機会を提供する中で見えてきた「越境学習」の価値

はじめましての方も、そうでない方もこんにちは。
タイガーモブでCOOをやっております中村寛大(通称:かんだい)です。

今現在、とある企業の内定者研修でインドネシア・バリでSDGsの中でも6番目の目標である「すべての人へ水と衛生へのアクセスを」をテーマにして実施しています。
バリは冬でもとっても暖かく、今日は晴れていて過ごしやすい気候です。

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まず、タイモブCOO・寛大について

本題に入る前に、僕自身について。
これまでの主なキャリアとしては、こんなかんじです。

・人材系ベンチャー(ジョブウェブ)で新卒採用・就職活動の支援を5年くらい
・ECでドロップシッピングサービスを提供するベンチャーで人事総務役員・財務・経理・商品企画を2年くらい
・タイガーモブCOO(今ココ)

タイガーモブ代表の菊地とは、ジョブウェブ時代の唯一の同期でして、一回別々の道を行って再合流というなんともドラマティックな(思い込み?)展開で、一緒に会社をやっております。

菊地は、もう誰もが認めるパーーーーっと明るい太陽みたいな人間ですが、僕は違っていて、下から支えるタイプですので、割となんでも楽しんでやります。ただ、やっていく中で、「なんのためにやるのか」、「どうしてこの意思決定をするのか」というところには結構こだわってやっています。

そんな中で、嬉しいことにタイガーモブが社会に提供する価値は、大きく「越境学習」という文脈の中で語られたり、捉えていただく人が増えてきました。

直近でも、ゼロ高等学院様との提携などを通じて、我々が提供する越境学習(実践的な教育機会)をより広く提供し、タイガーモブのミッションでもある「次世代リーダーの創出」をさらにスピード感を持ってやっていこうとしているところです。

タイガーモブ ロゴ

事業を通じて社会に価値提供していく中で、「越境学習」という文脈の中での僕らの価値はなんなのかを、今回はつらつらと書いていきたいと思っています。

ちなみに、まさに私も今「越境学習」中で、これからバリのゴミ山と浄化施設を見学しにいくところです。笑

目次

1.越境学習って何?
2.なぜ越境学習が注目されるのか?
3.越境学習に期待される、イノベーションの創出
4.越境学習が個人にもたらす3つの価値
5.越境学習が企業にもたらす3つの価値
6.「海外インターンシップ」が、越境学習機会として貢献できること

1.越境学習って何?

まず「越境学習」ってなんやねん!というところ。
僕もアカデミック的な解釈が完璧という訳ではないですが、認識している範囲で書かせていただくと、「越境学習」とは、1995年にエンゲストロムという学者が提唱した概念と言われています。

本当にざっくり概念について解釈すると、自分が普段携わっている領域とは異なる人々や機会と出会い、協働体験を通して、ものの見方、捉え方、ひいては自分自身のあり方(being)が変わっていくプロセスでの学びだと理解しています。
(参考)ユーリア・エンゲストロムの本

「越境学習」については、以前法政大学大学院・政策創造研究科の石山恒貴教授にもお話を伺った記事がありますので、関心がある方はぜひ一読ください。
【前編】皆さん、「越境学習」という言葉をご存知ですか?
【後編】皆さん、「越境学習」という言葉をご存知ですか?

<代表的な越境学習機会>
代表的な越境学習の機会としては、私たちが提供している海外インターンシップをはじめ、留学・プロボノ活動・社会貢献活動・異業種交流会・趣味・サークル活動・ワークショップ・副業・兼業・社会人大学院などなど。
要は普段関わっている領域以外の活動であれば、なんでも良いのだろうなと解釈してます。

例えば、Tonashibaも越境学習の機会としては非常に優れていると感じています。
>Tonashiba(トナシバ)│社員シェアリングネットワーク

2.なぜ越境学習が注目されるのか?

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ここからは少し私自身の考えも入れながら文字に落としておきたいと思います。

問題を解決していく中で、特定のスペシャリストチームの中で問題を扱うと解決しないことが、違う視点を持ったチームが協働したところ、解決できたというケースの中での発見を昇華した概念が「越境学習」。(エンゲストロムの書籍の中での意味合いとしては、木を見て森を見ずという意味合いに近い。)

普段の仕事のやり方といえば、全社ミッションから、中期計画に落とし込まれたものを各部門が細分化された形で取り組み、自身の仕事の熟練度を上げていくアプローチをとります。
ここには日本が得意な仮説検証サイクルが組み込まれており、MBOや、職務分掌などもこの範囲で形成されることが多いのですが、故に縦割りの組織構造になりがちです。

しかしながら、違った視点を持った人が加わること(越境すること)で、今までになかった仮説検証の流れや、予想外の反応(イノベーションの源泉)が起こることがあります。

世界は単純論理では紐解けず、複雑に全体が絡まっている複雑な編み物のようなもの。だからこそ、多面的な視点、変化や変革をうまく取り入れていくことが大切なのです。

これまでの企業の中における垂直的学習(例えば、ブレーキ屋はずっとブレーキの性能を高めていくことに注力する!)に対し、異なる領域の他者・他社との出会いを出発点に自分にはなかった新たな視点や、ものの見方、考え方を獲得し、既存の前提、組織の常識を疑い、問題を見つめ直すことによる学びを強調したものを水平的学習と言います。

越境学習は、まさしくこの水平学習に当たります。


経営者としては、競争優位を確固たるものとしていくには、他社に真似できない圧倒的な技術の獲得や、ケイパビリティを高めていくことが必要だし、垂直的学習(熟達化)ももちろん必要だと感じています。

一方で、新たなインサイトやイノベーションの機会を得るためには、水平的学習も必要です。

3.越境学習に期待される、イノベーションの創出

「越境学習」の世界では、以下のように主張されています。

・自分がいつもとは違う当たり前に触れ、他者と出会いや関わりあいを通じて、自分の中で内省をする
・その結果、自分の価値観が相対化され、会社や自分の所属している組織の関係者との関わりからだけでは得にくい新たな視点や気づきを獲得
・そうした新たな視点や気づきが、創造的(イノベーティブな)発想を行うための素地形成につながる

つまり、「越境学習」は、イノベーションを起こす素地形成につながるのです。

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日本にはイノベーションが起きないと言われることが多いです。
しかし、VUCAという言葉にも代表されるように、AI や IoT 等に代表される、デジタルテクノロジーの進展がもたらす構造の大変化や、変化スピードが従来にも増して大きく、速くなっているような時代です。

新産業革命がもたらす新たな社会構造の方向性 として、4つのパラダイムシフトが起きるとしています。

① 格差拡大、高齢化、気候変動等社会課題は危機的な状況に向かっており、複雑に絡み合った「社会課題」の解決には多様な知恵と人材が共創することが必要となる
② デジタル技術の高度化により、時間や場所の制約がない多様な働き方が可能になり、また、AI の進展によって言語の障壁が取り払われると、国籍・人種を問わず働くことが容易になり、起業や雇用を前提としない働き方(フリ ーランス等)を指向する多様な働き方が一層深まる
③ AI がヒトの労働を奪うとの議論があるが、Thomas H. Davenport氏は「デジタル化時代だからこそヒトの役割はよりいっそう重要になる」と述べていて、コミュニケーション能力である EQ(心の知能指数)がより重要となる
④ 消費者が「物質的な豊かさ」よりも「心の豊かさ」を重視する傾向にあり、ライフスタイルの変化が起き始めていて、モノからコトへパラダイムがシフトする

上記のような環境変化を踏まえて、日本の目指す姿として、「未来志向の足るを知る、サスティナブルな成長社会」というモットーを掲げてます。

また世界では、シェアリングエコノミーやサブスクリプションといった、消費者が重視する価値観の変化、ライフスタイルの変化がもたらす新しいビジネスモデルの登場しています。

そうした環境の下、日本の強み・良さを踏まえた「日本らしい勝ち方」はど のようなものであり、それにより実現される姿はどのようなものであるべきかなのでしょう。

それを考える必要性の中で、「越境学習」は価値ある学習体型だと感じています。
では、「越境学習」はもたらす価値はいったい何なのか、次の見出しから、個人・企業に分けて紹介していきます。

4.越境学習が個人にもたらす3つの価値

「越境学習」をすることで、越境した個人にはどんな価値があるのでしょうか。

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①新しい挑戦ができる
経験したい活動があれば、転職という大きなリスクをとらずとも、越境学習であれば、比較的小さいリスクで新しい挑戦をすることができます。

②普段の業務を客観的にみることができる
越境学習を経験することは、普段所属している組織の当たり前を客観的に見る機会になります。
例えば、普段エンジニアをしている人が、越境先で小さなプロジェクトのリーダーを務めたり、直接”エンドユーザーのお客さん”と接触したりすることで、普段の業務の意味や組織の在り方についても深く考えるきっかけになります。

③「やりたいこと」「成長したい方向性」 を主体的に見つけることができる
越境学習で主体的に行動することにより、普段の業務のほかに自分の関心があること、子どもの頃にやってみたいと思っていたけどやらずにいることに出会ったり、全く新しい取り組みの中で成長したい方向性を見つけたりすることができます。

5.越境学習が企業にもたらす3つの価値

では、企業にとってはどうでしょうか?

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①イノベーション/新しい事業やビジネスに挑戦できるリーダーシップを身に着けた人材を育成できる
これまでも行われてきた、同じ企業の中のジョブローテーションによる”新しい環境へ適用する”というリーダーシップは受け身です。
さきほど言ったような、環境変化が激しい時代に、ビジネスをリードする人材を育成する方法の一つとして、チャレンジブルな環境へ飛び込むといったリーダーシップを身に着けることができる機会が越境学習。経験したい活動があれば、転職と大きなリスクをとらずとも、新しい挑戦をすることがでできます。

②新しい知識・情報を企業に持ち込んでくれる
自組織、自業界では到底知りえない知識・情報を、企業に持ち込んでくれる、いわゆる他花受粉のような役割を果たしてくれます。これは、イノベーションの創出につながる活動といえます。

③従業員の離職を防ぐ
働き方やキャリア観が多様になると、これまでのように目の前の仕事に徹するだけが、”働きがい"や"やりがい”を感じるわけではないということが言えるのではないでしょうか。
今の自分のいる組織・コミュニティではない場所で、自分の役割や働きがい・やりがいを見つけて、仕事も生活も両立するといった考え方が注目されつつありますが、越境学習はそういう選択肢の1つとしてとらえることができます。

6.「海外インターンシップ」が、越境学習機会として貢献できること

仕事をしていく中で、海外から戻ってきたインターン生と話をする機会も多いのですが、その中でとても嬉しいのが、「人生が変わった」、「これからやりたいこと、やってみたいことが具体的になってきた」という前向きな言葉と明るい表情にたくさん出会えること。
インターン生への帰国後インタビュー

帰国してからも個人的に面談したり、人生の相談に乗ったりすることも結構あり、常に前を向いて進んでいく彼らが成長し、年々力を身につけていっていることを実感しています。

企業の採用担当の方とお話ししていると、海外インターンシップを経験した人は、「きつい環境でやりきる力がありますよね」という話をよくいただきます。僕はその力を、「課題設定力」、「情報収集力」、「レジリエンス」、「受容性」の4つに分解できると思っています。(4つの力は後日またnoteで記載します!)


ここまで長々とお話ししましたが、もし、海外インターンシップや越境学習にご興味がある方はぜひ、参加していただきたいと思いますし、一度お話しできれば嬉しいです。

それでは〜!

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