調査担当者が嫌がる4つの無茶ぶり

私は、精密機器メーカーの企画部内で市場調査の仕事をしていました。自分自身で市場に行くだけではなく、調査会社に依頼するなどして調査をしてきました。また自身が抱えるテーマだけではなく、社内の開発者の要望を聞いて調査プロジェクトのマネージメントを行うなども行ってきました。

そのような経験を踏まえて、今回はこれまで受けた調査要望の中でやっかいだった要望、無茶ぶりについて代表的な4つを記載したいと思います。調査経験がなく、これから調査をやってみようとする人や、調査の依頼を内外に依頼したいと思っている人は、ぜひここで書かれた無茶ぶりをしないように取り組んでいただければ幸いです。また、無茶ぶりされた場合についての対応策も記載しますので、調査担当者の方も参考にしてください。
(ここでいう調査とは市場調査全般を指しています。調査種別によって無茶ぶりの内容は変わるのですが、ここではどんな調査にも共通する無茶ぶりを記載しています)

無茶ぶりその1 先行調査の結果分析
(迷惑度★★★★)

無茶ぶりの最初は「とりあえず自分たちでアンケートしてみてこんな結果になったんだけど、分析できない?」という頼み事。本格的な調査をする前に自分たちで調査する姿勢や、結果を見直す姿勢は正しいのですが、調査の専門家だから調査結果から何かわかるでしょ?というのはやめてほしいです。正直言って難しい依頼です。こういう時は私は、本音でこう言います。
「何故調査を始める前に声をかけてくれなかったのですか?調査というのは質問を作るところから始まり、事前の調査設計・準備で成功するかどうかは8割決まります。どうしてこのような質問を設定したのですか?調査は目的を達成するために設計をすべきもので、そもそも結果が出ているのに何も読み取れないということは設計不足です。だから結果が出てもわからないものは、分析のしようがありません」と。これが調査実施者の本音です。
(断る側はこんなストレートな言い方は角がたつので、表現を柔らかくしたほうがいいかもしれませんが、後々同じことをされないように強めに言うようにしています)
アンケートなどで何気なく質問している年齢も、あとで年齢別に質問の回答傾向を分析して、最もアイデアに適する年代を見つけ出す、というような目的があり質問に組み込まれているのです。過去の結果は新しく調査を始める上では、貴重な情報ですが、分析で新たな答えを見つけることはかなり難しいという前提で考えてください。

無茶ぶりその2 調査方法からの調査依頼
(迷惑度★)

次に挙げる無茶ぶりは「今回インタビューしたいんだけど」「アンケートをしたいんだけど」というような相談。調査方法が確定したうえでの調査相談はできればやめてほしいと思っています。調査をする場合、調査方法を決めるところから相談したいので、調査目的をまず相談してほしいと思っています。なので頼む場合は目的から伝えましょう。迷惑度が低めなのは、「わかりました、まずは調査目的は何ですか?」と一言いうだけですっと相手から目的を聞き出せることが多いためです。無理に、素人は手段から入ろうとするから困る、というような説教をせずに目的にたどり着けるためです。調査を受ける側の人も安易に方法を固定せず、調査を依頼されたら、忘れずに目的を確認して、最適な調査方法がそもそも選択されているか確認しましょう。

無茶ぶりその3 調査期間
(迷惑度★★★★★)

次に紹介するのは最も嫌な無茶ぶり、調査期間です。調査の設計を始めると、納期が話題になりますが、調査を知らない人と一番ギャップが大きいのは外部の調査会社を使った場合の調査結果を得るまでの期間です。
外部の調査会社に依頼する場合、調査にもよりますが3か月が基本的な目安だと思ってください。まず見積および相見積に1か月、調査準備に1か月半、調査実施から結果・分析取得まで半月、といったところです。(調査会社を選ばなければ2か月)
特に調査会社に依頼する場合、アンケートにしろインタビューにしろ調査対象者を集めるリクルーティングの作業は3週間前後(発注されてから)かかるのが一般的なので、トータルではどうしても1か月はかかってしまうものです。私は過去にFGI(グループインタビュー、複数人に対して同時にインタビューする調査),6人組×2G分の調査を、調査会社に会ってから議事録の納品まで最短1か月で(しかも2テーマ並列)を行ったことはありますが、グループインタビューだとこのくらいが限界でしょう。
調査実施者は、期間についてのギャップを感じたら、調査会社からの見積もりなど事実を見せてきっちり説明しましょう。

無茶ぶりその4 調査費用
(迷惑度★★★)

相手によりますが、外部調査費用についても誤解が多いので困るところです。「予算が15万円程あまったんだけど、インタビュー調査してくれない?」というようなことを言われると困ることは多々あります。費用に対しても、きっちり調査会社に見積を依頼し、それをベースにお互い話し合うようにしましょう。ちなみに参考までに、あくまで私のここ数年の経験ですが、見積を取るのが面倒な方向けに、調査会社に依頼した場合の大まかな費用とその条件の目安についても記載したいと思います。今回以下の表の区分ごとに大手調査会社に依頼したときの目安を記載したいと思います。

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条件やテーマなどの詳細な設計で値段は変わるのですが、上記の表に値段を加えたものが次の表になります。

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