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“愉快なオトナたちのリアル講義”〜Koei〜後編

高校生によるオトナたちへのインタビュー第15講
日中は僧侶、夜はOi Punkな”僧侶兼ミュージシャン”Koeiさんによるリアル講義
ソウルこもったANTiFADのヴォーカルで覇気のある歌声を震わすKoeiさんの思考を聴き解く今回のインタビューは〜Koei〜。
無常観を説くありがたいお話と共に、プロフェッショナルの思考法をここに書き留める。








5,Again


5,Again



もう1回イイっすか?


こりゃいかんって、なんでかそん時に大声で怒鳴りながら歌っちゃろうって。
ここで諦めたら、このまま一生バンドすることもない、髪も切らないかん。いやでも、それはイヤやって。

ウァァァ!って大声で歌って。それが正規の音階で、自分の声もちゃんと聞こえたんよ。
ちゃんと聞こえると歌えるし。あっ、あー!歌える!って。

そしたら歌い終わって、おぉパチパチ。やるやん、みたいな。
拍手が起こったし、できる!って思って。もう1曲の方もできて、お願いしますって。そこからバンド人生始まってずっとボーカルやね。

自分に自信ないヤツやったし見るからに気合いのない青年で、街でも不良に絡まれたりしたこともあった。けど、バンド始めて根拠のない自信が満ち満ちてきて。たかがバンドやけど、俺にとってはメタルやってるからって気概ができて、実際絡まれることも無くなったもんね。

そん時に思ったのは、新しいことを新しい世界で始めるときは、ハードルが高ければ高いほど怖いんよね。やりたいけどコエー。でも踏み込まんことにはそこの世界も広がっていかんからね。本当にやりたいなら一歩踏み込むって大事やなって。違うと思えば、それはそれで手を引けばいいし。そんなとこだね。




6,Punk Rock :ジョニー・ロットン


6,Punk Rock :ジョニー・ロットン



今はパンクバンドやっとんのやけど、パンクへの道はピストルズから入ったんよ。3回ピストルズとは出会って、3度目でようやく衝撃を受けた。


1回目は小学生の時で、深夜番組に出とってピストルズと分かっとったわけじゃないけど、顔を覚えとる。それはね、ジョニー・ロットンが歌いよるのを見て、うわぁキチガイなって思ったんよね、小学生やし。あの狂気的な目とその時の表情は鮮明に覚えとるね。印象深いものではあった。

2回目は大学の時で、メガデスがアナーキー・イン・ザ・U.Kのカバーをしとるのを聴いてめちゃくちゃカッコよくて。それでピストルズの原曲を聴いてみようと思って、あれ?って。歌い方も演奏も間延びしたように耳に入ってきて、そんときもピンとこんくて。

そしてこの3回目は大学卒業して福岡戻ってきて、バンドしたいわけよ。ライブハウスにもいろいろ行って、知り合いつくって。
パンクスの溜まり場におった時に、誰かがピストルズのビデオ観ようって。アナーキー・イン・ザ・U.Kのライブ映像で、ロットンの目つきに鳥肌が立って。なんだこれカッケェって。その場のお客さんのノリもカオスで。これがパンクロックか、パンクカッケェって。

頽廃的というか破壊的なパワーがそこには見え隠れしとって、ビデオやけどそれが十二分に伝わってきて。そっから深めてってパンクロックが好きになったね。

ジョニー・ロットンの目がやっぱり好きなんよ。目が違う、他とは一線を画してる。
そりゃ作り込まれた目なんかもしれんけど、あの目つきよ。最終的にはパンクって目にくるんかな。いろいろ着飾っても目が死んじょったらって、大事なんかなと思うよ。




7,Oi Punk


7,Oi Punk



パンクを深めていって、ブリッツってオイパンクバンドを知って。ジャケットもカッコいいし、Oi, Oi, Oi!!って、痺れたね。MA-1にロールアップジーンズに、マーチン履いて坊主で、これだ!って。
Someones gonna dieのOi, Oi, Oiっていうコーラスがとにかくたまらんかったね。俺自身は右翼でも左翼でもない感じなんやけど。



Oiやろうって今のバンドANTiFADを立ち上げて、今に至る。
今出してる太い歌声はブリッツのボーカルに憧れて、あんな声出して歌ってみたいなぁってモノは試しで出してみたら歌えたんよ、いけるやんって。




8,無常


8,無常



俺、作詞作曲しとんのやけど歌詞は、反戦とか強く生きろとか、死に触れた曲もあるし。特にこだわりはなく、その時々で思ったことを歌詞に起こしてて。


俺自身僧侶だから、仏教思想が歌詞にも少し反映されとるかな。無常観は基本にあるしね。
良いことも悪いことも常には続かない。常に流転している。永遠なんてないって。
間違ってもこの愛は永遠だなんて俺は言わないし。

諦めずにあがく姿はカッコいいと思ってるから、ANTiFADも諦めてない。
同級生にまだやってんのって言われて、別にこうなりたいってメジャーなとことか見てるわけじゃないんだけど、なんかこのままじゃ終われないって思っとる。満足したら終わりやってね。

過去のことを悔やんでも仕方がないし、将来のことに不安になっても分からんし、今できるしことをやるしかないよね。55歳、そうやってボーカルやってます。







ボーカルを始めたきっかけとか小説を読んでる気分になるし、説得力が違うなって。ありがた深い話でした。
次回、完全版!も読んでください!!

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