リクルート創業の話を読んだ。

リクルート創業について書かれている本「起業の天才」を読んだ。
一代で日本経済を変える規模でビジネスを成長させたのみならず、政治をも巻き込んで社会に大きな影響を及ぼした人の話。
大きな事件を起こして表舞台から消え去っていくところまで含めて、最近読んだ本の中でも1番面白かったのでまとめてみる。


世の中の潮流を見据えて、非連続で立ち上げる事業

今後、何の価値が上がっていくかを見定める

売れるモノを作る。
リクルートが創業された当初、学生の就職に関する情報が分散されていて、企業と研究室でのコネ採用が横行していた時代。
企業はより多くの学生に情報を届けたく、学生は企業の情報をより網羅的に収集したかった。
そういった時代の需給を捉えて就職情報誌を先駆けとして進めることができ、後から参入してきた競合他社にも負けず、バブルで求人需要が上がる波にも乗ることができ、事業は飛躍的に成長した。

時代の潮流の中で、価値が上がっていくものに投資をできたのもリクルートが成長した要因だ。
コンピューターの価値が上がっていくこと、そこに権威が紐づいていくことを見越して、スーパーコンピューターに投資してリクルートは一時期日本で1番スーパーコンピューターを持っていた。

また、バブルで不動産の価値が上がっていくことを見越して、会社の資産からできるだけ不動産の購入に資金を使い、都内の一等地を買い漁った。
そして、実際に不動産で会社の主軸事業以上に儲けることができた。
※年間1,000億円の利益等


世の中でどのような技術が用いられるようになるかを見定める

リクルート創業者の江副さんは、インターネットの技術に早くから目をつけて事業展開をしていた。

情報誌が軌道に乗った後も、情報がインターネットで広まる世界を見据えて動いていた。

家庭用のインターネット通信が始まった際は、技術に詳しくない会社だったにもかかわらず、まずはその業界に飛び込んで仕事を取っていった。

今後、世の中でどのような技術が使われるようになるか、どのような技術によって既存の技術が取り代わるか、常に追い続けることができる人でありたい。


「優秀な人材」と「丁寧な仕事」と「根性」で競合に勝ち切る

リクルートは大企業が同業に後から参入してきたときも、業界1位の死守にこだわって勝ち切った。
大企業は資金力があるため、参入してきた場合は恐怖の対象となる。

しかし、先行している間に人を育てオペレーションを作り込み、顧客第一でビジネスをしていれば、焦って人とお金を注ぎ込む大企業に対しても勝機がある。

また、顧客のみならず、パートナー企業や政治家が何を欲しているかを考えて丁寧に根回しをすることも大切だ。
ビジネスの世界では、相手が欲しているモノがお金ではないこともしばしばある。

そして、最後は優秀な人材が当事者意識を持って根性出して働き続ければ勝ちに繋がる。

リクルートの事業展開はそれらが大事であることを強く感じさせた。

徹底的にこだわる採用

就職活動の時期に、東大の赤門の前の寿司屋を貸し切って東大生を口説いていたのは有名な話。

リクルートはできるだけ多くの予算を採用に割き、優秀な人材を採ることを徹底していた。

また、エリートのみならず、高卒で優秀な人材も採用していた。
東京・金持ち・エリートに対抗して、地方・貧乏・野望を持つ若者の採用も積極的に行っていたという。

採用後は社内で両者が切磋琢磨していたというのも興味深い。


全員が当事者意識を持つ文化

リクルートは部門別の会計となっており、社員全員が社長のような当事者意識を持つことを創業時から徹底していた。

仕事に対するオーナーシップが強く、大手競合と競うときも自分達が絶対にやり切って負けないという意思において、大手との差異が明白で業界1位を死守することができたという話もある。

全員が当事者意識を持つ文化は現在のリクルートまで継承されている文化と考える。

階層組織にせず若手のときから裁量を持つ、会社の業績に対して当事者意識を持つこと、これらは令和の会社経営においてもとても重要なことであると考える。



文字にすると、安っぽくなってしまったかもしれないが、こういったことを当時のリアルを感じながら読むことができ、とても刺激的な本でした。

おすすめの本です。


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