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君とバスケと恋と vol.11「プール」
その週は、バスケはお休みだった。
明広が、
『今度の水曜日にプールに行こう』
と言ってくれた。
待ちに待ったプールの日がやってきました!
その週は週頭から脳内プール妄想に浸っていて、課外もろくすっぽ聞いていない状態だった。
クラスメイトにノートを借りて写すが、まったく気合いが入らず。
一通りノートを写すとその子に返したのだが、目ざとい彼女は、
『今週、彼氏とどっか行くの?』
と聞いてきた。
『あー、うん、ちょっとプールに』
『プールって、あのサンガリア?』
『そうだけど?』
彼女が言うには、プールサンガリアに行ったカップルは別れてしまうというジンクスがあるらしい。
私はジンクスなんて、と笑い飛ばしていたが、実はその話、別の子が話しているのを聞いていて、超ひっかかっていたのだ。
愛に言うと、
『たかがジンクスだし。あのプールに行ったみんなが破局するなら、そりゃ大事だけどね。そんな話、大人から聞いたことないじゃん』
と冷静なお返事をいただきました。
確かに、たかがジンクス、でも、されどジンクスなんだよ、わかって、友よ…。
そんな話がなかったかのように、水曜日はやってきた。
課外も終わり、明広の課外が終わるのを待つ。
嬉しいけど、ジンクスが気になる…。
私は水着をいれた可愛い半透明のバッグをいじり倒した。
一時間もそんな時間を過ごしていたらしい。
明広の課外の終わる時間だ。
私は重たくなった足を引き摺って明広の教室の前へと向かった。
『堀川ー。彼女がきてるよー。』
もはや公認カップルとなった私たち。
これで別れたら、死ねる展開だなぁと思う。
私たちはバス停に向けて歩き出した。
足が重い。行きたくない。あんなに楽しみにしていたのに…。
バスに乗ると明広が、
『ウォータースライダーしようぜ!』
と声をかけてくる。
『う…ん…。』
返事に元気がなくなるのが自分でもわかる。
『どうした?体調でも悪いか?』
本気で心配する明広。
私は、ジンクスのことについて語り出した。
一通り話が終わると、明広は笑顔で言った。
『俺たちが、『別れない』ってジンクスつくってやろうぜ!』
その一言で私は、ずいぶん楽になった。
気にならないと言えば気にならない程度に。
私は、明広がすごいと思った。
一瞬で私を安心させてしまう。
やっぱりこの人はすごい人なんだ!
プールに着いてまず着替えると、髪型をチェックした。
ボブだった私の髪はずいぶん伸びてむすべるほどになっていた。
私は、トップ部分だけサイドにとると、編み込みをしてバレッタをつけた。
よし、完璧!
急いで待ち合わせの場所に行く。
『なんだ、ビキニじゃないんだ』
第一声にがっくりくる。
『でも、似合ってる。可愛いよ、お前』
明広はしょっちゅう部活中にTシャツを脱いでしぼっているので、初めて見るわけではないのだけれど、やはり、水着となるとずっと脱ぎっぱなしなわけで…。
目をそらしてしまう。
細い身体に筋肉が隆々とついている身体。チラ見してしまう。
最初は普通のプールで泳ぐ。バスケだけじゃなくて泳ぎもできるんだ…。
見惚れていると、次はお前がいけ、と顎で合図される。
今日は泳がないためにこの髪型にしたんですが…。
有無を言わさず。
25メートル泳ぎきると、今度はどっちが長く泳げるか勝負!
もちろん私の負けですがね…。
負けた罰として、お昼ご飯代は全部負けた人のおごり。
これってひどくない?!
と怒る私を、流れるプールに誘ってきた。
浮き輪に乗ってプカプカ浮いてるだけで、あとは水流と明広が押してくれる。
なかなか楽しかった。
これでお昼ご飯についてはチャラになった。
なんて安上がりな女だろう。
そして、ウォータースライダー。
平日とはいえ、夏休みなので結構人が並んでいた。
これを一番楽しみにしていた明広は、まるで子供のようなはしゃぎっぷり。
何回も滑り落ちては楽しんでいた。
私は、二回だけにしましたけど。
こうして、夏休みの一大イベントもクリアした。
帰り道は明広が駅まで送ってくれた。
バイバイ、と私の姿が見えなくなるまで見送ってくれたのだった。
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