見出し画像

君とバスケと恋と vol.9「三回目のデート」

三度目のデートは遊園地だ。

前々からチケットを用意してあり、私も楽しみにしていた。

駅で待ち合わせをして、目的の駅まで行く。

今日はちゃんと指輪もしてきた。右手の薬指、なんだか照れくさい。

この前まで喧嘩していたのが嘘のようだ。

天気は晴天。爽やかな夏の風が通りすぎる。

目的の駅までついたら、今度はバスで移動。

この日のために頑張って作ったお弁当を片手にバスに揺られる。

『楽しみだね』

『俺は絶叫系は制覇してやる』

『えー、私、絶叫系はダメダメ…。』

そうこうしてるうちに、遊園地に着く。

なかなか遠い道のりでした…。

フリーパス券で中に入る。

楽しそう!

カップルもたくさん!

まずは何に乗ろうかなと思っていると、明広が指を指す。

『あれに乗ろうぜ!』

指をさした先には風神雷神という名前のコースターが。

立ったままの姿勢で乗るコースターらしく、私の目には恐怖に映った。

明広はさっさと歩き出す。

よほど楽しみにしていたのか、いつもは歩幅を合わせてくれるのに、それすら忘れているようだ。

コースターの前で、早く!早く!と私を急かす。

『あのー。私、見てるだけじゃダメ…?』

ダメ元で聞いてみる。

即却下。

はいはい、どうにでもなれ…。と、コースターに乗り込む。

でも、いざ発進!となると急に気持ちが萎えて、

『やっぱり降ります!降ります!』

悲痛な声でスタート。

そのあとはご想像にお任せします…。

降りて、腰がヘロヘロになった私を明広がからかう。

でも最早反論する気力すら残っていない…。

そんな私を次のコースターへ連れていく明広。

『今度のは怖くないって』

連れていかれたのはウォーターコースター。

これなら楽勝、と思ったのが間違い。

一番上まで登りきった時点でテンパりすぎました。

なんとか濡れるのを防いだ私達だが、もう私に気力は残っていない。

フリーホールを目の前に、私はまた固まった。

遊園地ってもっとラブリーなものじゃないのぉぉ?!

フリーホールを体験したあとはさすがに立っていられなくなり、コーヒーカップへ移動。

やっと私の楽しみ時間がやってきた…と思いきや、次の絶叫マシンに乗るという明広。

さすがに乗れない、というが、一緒に乗ろうの一点張り。

しかたなく、かろうじて残った気力でコースターに乗った。

『よし、一通り制覇したぞ!』

やっと胸をなでおろした。

そのあとは有意義に遊園地を楽しんだ。

親から借りてきたコンデジで、ツーショットを撮ってもらったりした。

メリーゴーランドはとても大きく、二回乗った。

一回目は馬、二回目は馬車。

お化け屋敷は本気で怖くて、目が開けられなかった。頼れるものは、明広の手だけ。

とにかく楽しめた。

観覧車に乗った。

わざと揺らして怖がらせる明広。

帰り道、

『お前の叫び声がおもしろかった』

と笑う明広。

私は膨れっ面た。

『でも、面白かったよな!』

それには大いに賛同した。

駅につく。そのまま帰ってもよかったが、なんとなく明広を寮に送ることに。

寮の駐輪場で、はなしていると、突然

『目を閉じて両手を出してみ?』

私は何か貰えるのか、素直に目を閉じて両手を差し出した。

『?』

と思った瞬間、キスされていた。

慌てて後ずさりして自転車を倒してしまう。

『お前、ホントドジだよな。ほおっておけねえ』

こんどは抱きしめられた。

寮から誰か出てくる気配がしたので、パッと離れて倒した自転車を立て直した。

突然のことに、心臓が口から飛び出そうだった。

この記事が参加している募集

#恋愛小説が好き

5,003件

よろしければサポートをお願いします。 生きるための糧とします。 世帯年収が200万以下の生活をしています。 サポートしてもらったらコーラ買います!!コーラ好きなんです!! あと、お肉も買います。 生きていく・・・