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君が恋をしたなら vol.12「海」

ふみが、

『マルオからみんなで海に行こうって連絡きた…。』

どうする?とふみが言う。

たしかにユウタのことさえなければ、私たちは仲良し仲間で、いつまでもこのまま続いてほしいと思っていた。

私は

『うーん、それってユウタも来るんだよね?』

と聞いた。

ふ『もちろん来るよ。主催者はあいつだもん。』

私『私はパスってことで。』

ふ『実はお願いが…。』

私『なぁに?』

ふ『マルオが来るから、私は行きたいんだけど、一人じゃ行けないんだ』


いったいいつの間に、気づいてあげないうちに、ふみはマルオのことを…。

そうなると、大事な親友のために、一肌脱ぐしかないかな。

ユウタは適当にあしらっておけばいいか…。



そんなこんなで、土曜日は海に行くことになった。

正月、花見と裏切られてきたけど、今度はマルオのお誘いだから、大丈夫だろう。


水着を物色する。

ふみならスタイルがよいからなんでも似合うが、ちょっと太めの私が着るとなんだかアンバランス。

その中でも少しましなものを選んだ。


前日からふみが家に泊まりにきた。

まるで小学校の遠足にでも行くかのようにお菓子を袋につめていく。

ふ『明日はバーベキューだって(はぁと)』


ふみが喜ぶなら、まあいいか、と思いつつ就寝した。



翌日はきれいな晴天!

またとないバーベキュー日和。

私もちょっと期待しつつ車へ乗り込んだ。


まるおがワンボックスを借りてきていて、いよいよ出発だ。

私たちはワンボックスのあとについていく。一本道だから間違えようがないんだけどね。

久しぶりにホルモンを全開で聞く。

そういえば最近ふみとドライブもしなくなったなと、ふと思う。


海まで快適に飛ばして到着。男どもがバーベキューの機材を持ってくる前に、私たちで場所を確保した。

マルオが力仕事をしてるとこなんて初めて見た…。



ふとユウタに気がつく。

率先して準備するユウタの姿に、きゅんきゅんときた。

『あばばば、そんなことないって』

一人突っ込む私。


かくして、バーベキューは始まった。


夏の空、青い海、そして冷えたビール!!


最高の気分だった。

波打ち際で少し遊ぶとテントに戻った。

テントにはユウタが一人。

『みんなは…。』

『かき氷買いにいった』

ぶっきらぼうに言うユウタ。



どちらともなく、話始める。

『こないだの電話はごめん…。』

『ううん、大丈夫』

『こないだ家の近くまでいってごめん…。』

『だーかーらー、気にしなくていいってば』


…。


なんでか無言になる。

『今日は彼女さんは一緒にこなかったね』

その台詞に、ユウタは

『俺、彼女なんていないよ』

と言った。

『もう嘘つかなくていいんだよ。全部マルオから聞いてるし、こうして友達同士ってことでいいじゃん。』

『俺、嘘なんてついてない…。』

その言葉が終わらないうちに、向こうからかき氷を手に持ったケンジとマルオがやって来た。


やっぱり夏はこうじゃないとね!


私はまた海に戻り、浮き輪で一通りはしゃいだ。


夕方になり、片付けを始める。一番寂しくなる時だ。

ふみはマルオの車にケンジと乗った。

私の車は必然的に、ユウタと二人きりに。


みんなムードを考えてしてくれたことは充分嬉しいけれど、今は逆に迷惑というもんだ。


シーンとしてるのがいやで、ホルモンを大音量で流す。

すると、ユウタが勝手に音量を下げてきた。

いっとき音量大会になる私たち。


次に音量を下げたとき、ユウタが話はじめた。

ユ『お前さぁ、なに怒ってるわけ?メールも電話も着信拒否でさぁ。』


私『ご自分の胸に聞いてみることね。』


ユ『身に覚えがないからいってんの。大体俺に彼女がいるなんて嘘を誰がつくんだよ』

私『マルオだよ。マルオが、ユウタは同棲してるって』

ユウタは飲みかけのコーラを吹き出しそうになった。

ユ『俺がしてるのは同棲じゃなくて、同居だよwマルオに確認するから聞いてみ』

マルオに電話する。

『あれ?俺、同居って言わなかったっけ?』


ユウタの話では高校生の弟が押し掛けて同居に至ることになったこと。だから女の子を連れ込むわけにはいかないから、住まいを教えられないとこのことだった。


胸がすーっと楽になった。


『じゃあ、あたしが好きでいてもいいってこと?』

『付き合うのはブラがサイズアップしてからだけどな』

と、意地悪に笑った。

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