【小説】バージンロード vol.6「ヤっちゃった」
二回目はなぜかレンのアパートへ遊びに行くことに。
私がブログのテンプレートをいじりたがったのをレンが助けてくれることになったのだ。
レンのアパートは山の上にあり、夜だと30分程で着く距離にあった。
私は一方的に行くことを告げて出発した。
彼の家の近所にあるコンビニで停車して、彼を呼び出した。
彼はすぐに出てきて迎え入れてくれた。
コンビニから、ほんとに近くだったので、コンビニに車を停めたまま家に行った。
彼のアパートは雑然としていた。
こたつを埋め尽くすようにパソコンが置かれ、後ろには本がずらりと積んであった。
ジュースのペットボトルが散乱していた。
なんだかんだでいつもきれいにしていたソウとは違う、男の子の部屋だった。
その雑然さに圧倒されながらも、テンプレート作成に入っていった。
作業は意外と難航した。
タグがいろいろあって、それを確認しながら作るのだが、思いもかけないタグが別のタグの邪魔をしていたりして、八時頃ついたのに、終わらない。
途中一回コンビニに食料調達に行き、作業がおわったのは三時ごろだった。
携帯は圏外。
これなら母からお怒りの電話もこない。
私は帰ろうかと迷ったが、なぜか泊まることにしてしまう。
シャワーをかりてあびると、わたしはまた服を着てベッドの半分を借りた。
緊張して眠れないかと思ったが、すぐに寝てしまった。
その様子を見てレンも寝てしまったようだ。
翌朝。
目を覚ました私は一瞬どこにいるのかわからなかった。
となりで寝ていたレンも目覚めたようで、なんとなく気まずい空気が流れた。
私がふざけて、
「キスしてやろうか?」
と言ったら、レンは上にいた私をくるんと回転し、下にするとキスをしてきた。
そして……。
いたしてしまいました。
ホント、流れでした。
流れでしたことに後悔した。
ソウ、ごめんね……。
私は帰るときまで平然を装った。
ほんとは全然平気じゃなかった。
もう二度と会わないようにしよう。
そう思ったはずだった。
が、なぜかその週の週末もレンのアパートへ行ってしまう私。
距離の利か……。
レンの部屋からチャットにログインして、ソウとも話した。
ソウはさほど怒っていないようだった。
私はレンがパソコンをしている姿をただただ見つめていた。
なにかのプログラムをいじっているようにも見えたが、パソコンに詳しくない私には、それがなんなのかさえわからなかった。
この日もレンの家に泊まる。
今度はなにもなかった。
ただ、私はなぜかこの場所に居心地のよさを感じていた。
次の週末はソウのところに遊びに行った。
いつものごとく、ウィンドウショッピングをして、コーヒーを飲んで帰る。
久しぶりにエスプレッソも淹れてもらった。
やはり、おいしい。
私は先週と先々週にあったことをソウに報告した。いい顔はしなかったけど、彼は私を許してくれた。
特に怒ることもなく、うんうんと話を聞いてくれた。
その夜はソウのアパートに泊まった。
いつものごとく、チャットルームに入っては友達に自慢、ということを繰り返していた。
そんなことしても何の意味もないのに。
レンはチャットをしない人だったから、出会うことはなかった。
久しぶりに少し幸せな時を過ごした。
平日になり、結果として、レンを毎日私の地元に呼び出した。
車で話したり、ショッピングモールに行ったりした。
本当に毎日毎日だった。
私には実は、一応門限があり、それに間に合うかどうか、いつも怯えていた。
ソウのところに泊まるときも、レンのところに泊まるときも、だ。
毎日毎日地元にきてもらう。
それがどういうことか、私にはわかっていなかった。
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