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君とバスケと恋と vol.16「クリスマス」

12月に入ると街はクリスマスモードになる。

私も今年のクリスマスに向けてバイトを頑張る。明広に会いに行くために、プレゼントを買いに行くために。

早く会いたいな…。

ただ、今年のクリスマスは平日だから、会えない。

普通のカップルだとクリスマスイブは一緒に祝うものなんだけど、受験生相手の私は寂しいもの。

でもそれは仕方がない。

私は、クリスマスのすぐあとの土曜日に会いに行くと決めた。

その頃には二ヶ月目のバイト代が入って、準備万端だ。

まだ明広には何も話していない。

突然行ってびっくりさせる予定だ。

毎日バイトと勉強でへとへとだった。

それでも明広に会うために私は頑張る。

そんな中でも、明広のくれる手紙は私の励みになる。

『愛してるよ』

手紙の最後はいつもその言葉で締めくくられていた。

『私も愛してるよ』

返事にはいつもそう書いた。

クリスマスプレゼントを愛と選びに行く。いつもバッシュを履いているからそれがいいかな?

なん店舗か回った結果、有名メーカーの新商品のバッシュがあったからちょっと奮発して、それにする。

会ったときの顔を想像して、ウキウキする。

クリスマス当日はバイトがないから、早く帰れる。

早く帰って明広に電話しよう!

私はウキウキして学校についた。

職員室へ配布物を置きに行く。

出たところで勢いよく誰かにぶつかった。

『ご、ごめんな…。』

『お前はいつもドジだな』

明広だ!

なんでここに?

『クリスマスくらいは一緒にいたいかなって思って出てきた。びっくりした?』

ふふ、と明広が笑う。

やったぁ!と喜ぶ私。

びっくりよりも嬉しさが勝った。

そして、ふと気づいた。

『私、プレゼント家に置いてきちゃった…。』

『プレゼント?』

『うん、今週末会いに行って渡そうと思って…クリスマスプレゼント』

『用意してくれてたんだ!ありがとうな!』

頭をくしゃくしゃしてくる明広。

このくしゃくしゃされるのが好きで、私はボブカットにし続けていた。

『俺、今週末までは寮にいるから、大丈夫。』

そう言って明広は微笑んだ。

『お前、今日時間ある?』

『うん、今日はバイトもないし、暇』

『よし、今日クリスマスプレゼント買いに行こう!』

『えっ、いいの?』

『そのために俺は来たんだから』

学校が早く終わらないかとそわそわする。

放課後、私は寮の裏口へ迎えに来た。

メールすると、すぐに明広は降りてきた。

自転車に二人でまたがると走り出した。

街中はクリスマス一色。

恋人たちが街を行き交う。

私たちもその中の一人になった。

自転車置き場に自転車を置き、まず最初に行ったのは思い出のゲーセン。

あの時を思い出しながら、二人でプリクラを撮った。

二人でまたコインゲームにはまる。

前に来た時よりうまくなっている。あの時から来たことはなかったんだけど、思い出し思い出しプレイする。

いろんなことがあったなぁと、ふと振り返る。

あの時はまだ、明広のことを好きじゃなくて。

いつの間にかこんなに好きになっている。

恋って不思議。

そのあとは、また思い出のアクセサリー屋さんに行き、指輪を買ってもらった。

『指輪が増えていくね』

と笑った私に、明広も笑った。

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