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君とバスケと恋と vol.3「初デート」

初デートはウィンドウショッピングだ。

今週末は部活がなかったから、割りと朝早い時間から会うことができる。

そんなに気乗りはしなかったが、初デートということもあって、髪を巻いてふわふわのお気に入りのワンピースで来た。

『お、かわいいじゃん』

と、寮から出てくる明広。

初めて見る明広の私服。

バスケ選手らしくTシャツがよく似合う。

すらっとした体にゆったり目のTシャツ。

同じくゆったり目のジーンズに足元はバッシュ。

まじまじと見ている私に、

『なんだよ』

と照れて言ってきた。

『…別に。』

と言って私はさっさと歩き出した。

慌てて付いてくる明広。

歩き出してからふと気づいた。

背の高い明広と私は歩幅が違う。

私に合わせてゆっくりと歩いてくれる明広。

へぇ、優しいんだ。

妙に嬉しくなる私。

ウィンドウショッピングは楽しい。

あちこちで洋服を見て回ってはしゃぐ。

あれがいいんじゃない、これもいいんじゃない?

買いはしないけれど、二人で見て回るのはすごく楽しかった。

前の彼氏は年下だったせいもあり、ただ地元をうろうろしたり、家でゲームをしたりが中心だったから、なんだか新鮮!

一緒にスポーツ用品店でバッシュを見たり。

バスケに実は全然疎い私は、明広の説明でやっとそれぞれの品物の特徴がわかる。

明広のうんちくを聞きながら、私もバッシュが欲しいなぁと思い、いくつかバッシュを履いてみた。

なんだかあまり似合わない。

ミッキーマウスのように、足元だけ大きく見えてアンバランスだ。

それを見て明広が笑う。

私もつられて笑った。

お昼ご飯は近くのファミレスにした。

私はハンバーグ、明広はステーキセットだ。

お昼からステーキなんて贅沢だ!と私が言うと、明広はまた笑う。

…この人の笑顔、嫌いじゃないかも。

ステーキを大きな口で頬張る明広を見て、少し可愛いな、とも思う。

デザートのパフェは半分こにした。

と言っても、あーん、なんて出来ないから、私が食べた残りを明広が食べる。

小さな幸せを感じる。

お昼ご飯のあとはゲーセンに行く。

まずはお約束のプリクラ。きゃーきゃーいいながらポーズをとる。

いきなり後ろから抱きしめられて、それはちょっと、と思ってる間に一枚。

つぎこそは、と気合いをいれて一枚。

結局四パターン撮影した。

なんだかんだで、意外と緊張した。

落書きコーナーに移るけど、なにを落書きしていいのかわからない。

明広が、

『loveって書いちゃえ』と言ったのを皮切りに、思いっきりデコる二人。

loveだの愛してるだの、いろいろ書いた。

プリは半分に切って、その中から一枚、一番気に入ったものを早速携帯に貼った。

お小遣いがあまりないので、二人で五百円ずつだしあってコインゲームだ。

これが意外とはまってしまい、半日をそこで過ごす。

明広はコインゲームのコツをつかんだらしく、

『はい、今!』

と掛け声をかけてくるようになった。

そんな明広を可愛い、と私は思う。

ジャックポットはでなかったが、帰りにはコインが余って、預けることにする。

帰る前に、明広が寄りたいところがあると言うので、門限を気にしつつ、ついていく。

明広は寮生だから、門限があるのだ。

門限を破るとご飯もない。

だから、私は時間を気にした。

明広についていくと、小さなアクセサリーショップへついた。

かわいい指輪がたくさんある。

『どれがいい?』

と聞かれ、一番気に入ったものを言った。

すると、

『これください』

と明広。

『待って、こんな高いものもらえない』

『今日の記念。初デートの。』

結局買ってもらってしまった。

なんだかんだで、初デートを満喫した。

帰りは駅まで送ってくれた。

私は振り返って手をふった。

明広は、私が構内へ入るまで見送ってくれた。

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