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【小説】バージンロード vol.15「スナックの女」

楠くんの一件があった後、お店が潰れることになり、みんなバラバラになった。


私は何かいいバイトがないか探していて、近所のスナックに勤めることになった。


スナックの仕事は意外と楽しく、先輩たちもまあまあ親切だった。

意外と水に合う仕事で楽しんで行っていたけれど、二つ問題点があった。


一つはお酒に弱い私は帰ってからが酔いがまわってなにもできず、吐いてしまったり、風呂は起きてから入り、食事の支度も仕事の日はしなかったりしたこと。

もう一つ、これが重要だったのだが、金土に仕事にはいるが、土日はレンの仕事の撮影が朝早くからあって、私が帰宅した音などで起きてしまい、眠れないことだった。


仕事は楽しかった。

中にはいやなお客さんもいたけど、ほとんどが紳士的なお客さんばかりで、可愛がってもらった。

ときにはチップをはずんでくれるお客さんもいた。


そんな中でも永村さんというお客さんには大変気に入られた。


そもそもはお店で飲み過ぎた日に永村さんはやってきて、酔った私に、キスをしたのだ。

キスをされたところまでは覚えているが、そのあとどうしたというところまでは覚えていない。


そのときメアド交換をしたのだが、これもまた曖昧。


とりあえず帰りの送り出しの時にまたキスをされた。


それから永村さんは一ヶ月に四回もきてくれた。


毎回キスをねだられるのは嫌だったが、ホステスとして、自分のお客がくることは嬉しい。


ほかにも歌の趣味が合う北原さんや、ほか数名のお客さんを持つことができた。


ある日、永村さんが来てくれた日、仕事が終わると近所で待っているから連絡をくれとメールが入っていた。

メールすると、永村さんはやってきて、近所の遅くまでやっている居酒屋に誘われた。

この時まで、私は彼氏がいることは内緒にしていたのだが、お酒の勢いもあってか、ついバラしてしまったのだ。


スナックで働くにはできるだけ男の影を匂わさない方がいい、とママからも言われていたのに、ついバラしてしまったのだ。

永山さんは普通に

「ふーん、そうなんだ」

と話を聞いていたけど、その日を境にぴたっとこなくなった。

子どもが大学に行くから資金を貯めないといけないから、が表の理由だった。


私はホステスの難しさを知った。


ママは親切で、いつも早く出勤してくる私を可愛がってくれた。


お店には女の子が足りていなかった。

いつも常に求人募集していた。


そんな中で、近所にあるコンビニに勤めているお姉さんがいい感じだという話になり、ママがヘッドハンティングした。


一月ほど悩んで、二ヶ月後に入店が決まった。



そこからが大変だった。

元々スナックに勤めていたというお姉さんは、私よりはるかに早い時間に出勤し、掃除など今まで私がしてきたことをやっておいてしまう。

お客さんのあしらいもうまく、明るかった。

私は元々暗いので、余計に笑顔になりきれないようになり、あるお客さんから、

「嫁にするにはもってこいだけど、こういうところじゃもっと明るくしないと」

と言われ、

「ママのことを鼻で笑った」

とまで言われ、やめることにした。


やめるときはメール一通だった。

それだけでやめれてしまった。

少しは引き留めてくれるかなと期待したのは事実で……


とにかく私はまたニートに戻ってしまったのだ。



レンは、

「やめてよかったよ、俺の仕事的に大変だったもん」

と言ってくれた。


私はやる気をなくしてしばらくはニートのままでいよう、と思った。


そんな間に、レンは二つの事務所から仕事をもらうようになり、金銭的にはちょっと少ないかな、というくらいになった。


「専業主婦でもいいよ」

とレンが言ってくれる。


私もその方がいいかなと思い家庭に入った。


お金の管理はレンがした。

私は週に一度の小遣い制。

これがこうをそうしたのか、わたしはパタッとパチンコにいかなくなった。


長年の夢が叶ったのだ。


あとは結婚だけ……

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