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君が恋をしたなら vol17「波」

今週は頭に麻美がとりついていた。

全く仕事にならない。

増えるのはコーヒーとタバコの量だけ。

ネガティブオーラを出しすぎて、完全燃焼しそうな勢いだった。

でも。

今週末はユウタに会いに行ける!

待っててね、ユウタ!

私のユウタ!

と、急に元気になったりを繰り返していた。

『鬱だ…。』

週末までの日が長く感じる。

指の怪我はもうずいぶん良くなっていた。

たまにツキーンと痛いことがあるくらいで、ほとんど日常生活に支障はなくなった。

♪明日今日より素直にな〜れる〜♪

『今日何時にくんの?』

おなじみのメールです。

『夜7時くらいにつく予定。』

『15分かかっていいから、怪我しないようにこいよ』

…きゅん…。

15分なんて、そんな優しさかけてもらったら…って、15分?!

今から来いってこと?

確認のメールを送る。

『今から行った方がいいの?』

『無理ならいいよ、来なくて』

いつも通り冷たいメールになぜかホッとして慌てて準備を始める。

ふみに電話すると、何時でもいいよーとのこと。

すぐに出発する。

目指すはいつものカラオケに15分で到着!!

…なんてことはなく、普段通り一時間半で到着した。

スロットをしながら待つ三人と一人。

今日はケンジも一緒か…。

ユ『今日は早かったじゃん』

珍しく機嫌のいいユウタ。

今日は麻美は離れて座っている。

何か、微妙な違和感を感じながらも受付を済ませる。

今日は離れて座る麻美。

何かあったんだ…。

とピンときた。

ふみはマルオの隣に座り、イチャイチャしながら選曲を始める。

この不穏な空気に気づいてるのはあたしだけ…?

カラオケ三時間熱唱したあと、ユウタが海を見に行こうと言い出した。

私『今日は台風だから、だめだよ』

ま『そうだよ、海なんて危ないよ』

そう、今日は台風の真っ只中、私たちバカ二人はカラオケのために遠征してきたのだ。

ユ『ちょっと見るだけだからさー』

なぜかこの男のわがままに逆らえない面々。

結局ちょこっとだけ、海を見に行くことになった。

ユウタの運転、助手席に私、後ろにケンジと麻美を乗せて走り出す。

ユ『あっちはあっちでイチャイチャしてるさー』

と、珍しく私の手を握ろうとするユウタ。

拒否する私。

ケンジはへらへら笑っていたけど、麻美は笑っていなかった。

海に到着。

さすがにすごい風と波。

ユウタが車を降りて歩き出す。

慌てて止めようと飛び出す私。

その後に続くように、傘をさしてケンジと麻美がでてきた。

防波堤へどんどん歩くユウタ。

そのとき、大きく風が吹いて、大波がユウタに襲いかかった。

私『ユウタ!!』

走り出す私。

ユウタの前で波を受け止めんと立ちはだかる私。

ザバーッ

あははは、と笑い出すユウタ。

ユ『お前バカか?二人してずぶ濡れだぞ!』

そんなもん、傘を持って出てない時点でずぶ濡れなんですが。

戻ってくると、麻美が泣いていた。

私『どど、どうしたの麻美ちゃん?!どこか怪我した?』

あ『先輩が、まゆりさんのこと特別って言った意味が今わかりました…。』

麻美が言うには、先週、私がいないのをいいことに、かなり熱心にアプローチしたとのこと。

マルオの面前で、『付き合って下さい』的な言葉を言ったときに、『妹としてしか見れない』と言われたこと。それならば、まゆりはどうなの?と聞いたら、『あいつは俺の特別だから』と言ったそうだ。

あ『二人の間には入れない…!!』

大泣きする麻美を連れて車へ戻る。四人ともぐしょ濡れだ。

麻美が帰ると言い出し、ユウタの運転で送った。

ありがとうといいながら帰った麻美の後ろ姿をみながら、

ユ『俺んちで着替えてくかぁ。』

とユウタが言ったのだった。

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