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君とバスケと恋と vol.5「二回目のデート」

二回目のデートはカラオケだ。

実は、前にも書いたように元カレは年下の中学生だったため、デートでカラオケに行ったことなどなかった。

人生初のカラオケデート!!

緊張する〜!!

明広が寮から出てきた。

先週と違うだぼだぼTシャツに、カーゴパンツ、そしてバッシュだった。

『明広くんって、バッシュ好きだよね』

やっとの思いで『明広くん』とくん付けで呼ぶ私。

『あー、俺、バッシュしか持ってないんだ』

『バスケ選手だから?』

『まあね』

私の必死の『くん』付けなど、全く気にもしない様子。照れてたのがバカみたいじゃん…。

今日は明広の自転車に二人のりでカラオケに出発した。

『お前、ちゃんと乗れてる?』

『乗ってるよ、なんで?』

『えらく軽いから、ちゃんと乗ってるか心配になった』

『大丈夫だよ〜』

そんなやり取りをしながら出発。

『あれだな、お前乗せてると女の子乗せてる感じがしない』

『なんで?』

『普通、こうやって乗ったら胸が当たるはずなんだけど…。』

貧相な私のバストでは当たらないと!!

きぃーっ、なんて失礼なことを言うの?!

『悪かったわねっ』

『いや、俺細身のほうが好きだし、深い意味はないんだけどね』

でも、私は傷ついた。

そりゃあ、自分でも、ないってことは自覚してるけど、他人に言われると、てきめん来る…。

そんなこんなでカラオケに到着。

受付を明広が済ませる。

『灰皿を一つ…。』

と受付に言ってるのが聞こえる。

私はジーッと明広を睨んだ。

『なんだよ』

『未成年がタバコ、いくない!』

『タバコ吸わないと声が出ないんだよ』

『そんなこたーないはず!』

『一本だけだから』

懇願されて、一本だけ、許した。

カラオケに入ってから気づいた。

私、いつもB'zとかEXILEとかばっかり聞いてて、女の子の曲を知らない。

全くと言っていいほど知らない。

サァーッと青くなる私。

こんなことなら、先月雑誌に載ってたカラオケデート特集買って練習しとけばよかった!

でも今となってはもう遅い。

リモコンとにらめっこする私。

そんな私を見て、明広が吹き出した。

『お前、そんなすごい形相で曲をえらぶとかって(笑)』

『だって歌える曲がなくて』

明広はふっと優しく笑って、

『お前、普段何聞いてんの?』

と聞いてくれた。

『B'zとかEXILEとか…。女の子の曲、知らなくて…。』

焦っていう私に

『いいじゃん!B'z、歌おうぜ!』

と明広は言う。

『女の子らしくないけど…いいの?』

『関係ないって。好きな歌歌えばいいんだよ』

それを聞いてかなりリラックスした私。

『これ、歌える?』

明広がB'zの曲を指差してきた。

『うん、好き』

じゃあ、と予約を入れる。

歌い始めたものの、自信がなくて声がでない。

明広が横入りして歌ってくれる。

するとだんだん声が出始めた。

声が出たらこっちのもんで、いろいろな曲をいれた。

明広は、B'zも好きだけど、ウルフルズやBOOWYなどの古い曲が好きだという。

明広は三人兄弟で、一番上のお兄さんの影響で古い曲が好きだと言った。

初めて聞く曲が多かったけど、歌がうまいことだけはわかった。

タンバリンまで持ってきて、二人なのに大騒ぎした。

三時間があっという間だった。

帰り道に、指輪はどうしてる?と聞かれ、ネックレスを見せる。

明広はとても喜んで、次回のデートのときにはぜひ指輪は指にしてきてほしいと言う。

私はわかった、と返事して、また駅の階段を登っていった。

明広は、見えなくなるまで見送ってくれた。

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