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君とバスケと恋と vol.10「買ってきちゃった」

もうすぐ夏休み。

したいことはたくさんある。

海にプールにバーベキュー!

高校生だから、バーベキューは自分たちでできないとしても、海くらいは行きたいよねっ!

しかし、夏休みも課外の海…。

海になんていけるのかなあ。

特に三年生は課外だらけで遊ぶ暇もないみたい…。

それでも夕方には課外が終わる。

バスケに出てくる明広。

もっと一緒にいたいのに、なかなか機会がない。

土日は課外がないから、チャンスなんだけど、勉強に忙しかったら…。と思うと誘うのもためらう。

最近は休み時間は明広のクラスの前で二人で過ごすことが増えていた。

これといって会話もないのだが、なんとなく、行ってしまう。

『夏休みに何もないのもあれだよな』

『ん?』

『プールくらいは行っとくかぁ。お前、水着持ってる?』

『持ってない』

はあぁとため息をついて明広が言った。

『お前、高校生くらいになったら、水着の一つくらいは持っておけよ…。』

そこで水着を買いに行くことに。

中学校時代からの大親友の愛と買いに行くことにする。

『ちょっと色っぽいほうがよくない?ビキニとかさぁ』

『ええっ、あんまり肌露出したくないー』

『彼氏喜ぶってば!』

『そんなもんかなぁ』

あれやこれやと試着してみる。

ビキニを着てみる。

意外と胸がないことはわかりづらくて、そこはいいんだけど勇気がわかない。

ワンピース。子供っぽくてよろしくない。

セパレートタイプ…。これが一番しっくりきた。

愛に見立ててもらって、水色にラメの模様がかわいく入っている水着に決めた。

『あんたが年上と付き合うとは思わなかったわ』

『別に年下ばっかりと付き合ってるわけじゃないわよ』

『でも、前もその前も年下だったじゃん』

私たちはドーナツ屋でお茶をしながらおしゃべりする。

そういえば、愛とこうしてお茶するのもずいぶんしてなかったなぁ。

『今度の彼氏ってどんな人よ?』

『うーん、背が高くてバスケットマン。』

『背が高いって何センチあるのよ?』

『185センチ。』

『30センチ差カップルかあ、ふむふむ…。』

こんな調子で、いつも愛には隠し事ができない私。

結局この日もさんざん聞かれて帰宅となった。

休み時間に明広のところへ行く。

もちろん水着を買った報告だ。

『え?お前、マジで買ったの?』

明広の驚き具合に驚いた。

『だって、プール連れてってくれるって…。』

『課外もバスケもあるから、無理だよ』

『ええっ、そうなの?』

明広は少し考えると、

『なんとかできないか、スケジュールチェックするわ』

と言った。

それからは、また、毎日課外とバスケの日々。

日焼け止めぬっているのに、徐々に焼けていく私。

夕方少しだけ出てくる明広と比べると、私のほうが黒いかな、と思うほどた。

マネージャー業にも少しずつ慣れてきて、スコアブックをつけれるようになった。

それを偉い、偉い、と明広が髪をくしゅくしゅしてきたが、以前のように嫌ではなく、なんとなく嬉しかった。

私は着れるかどうかわからない水着をあてがって、一番可愛く見える髪型を探した。

愛とは課外とバスケの合間をぬって、お茶したりした。

昔、私の家に泊まりにきたとき、猫アレルギーがあることを知らずに呼んで、途中で帰ってしまったことを思い出して笑いあったりした。

愛は、うちの学校の割りと近くにある女子高に通っていた。

かわいい制服がいいなといつも思っていた。

前の彼氏と喧嘩したとき、真っ先にきてくれたのは愛だった。

私は、愛にも彼氏が早くできるといいのに…。と心から思っていた。

愛とのお茶は、冷めることなく、延々とつづくのであった。

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