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シンガポール➡️デサル フェリーの旅

突然ですが先日シンガポールからフェリーでマレーシアのデサル(Dessaru)に旅行に行ってきました。7月に就航したばかりの新規航路ということでまだ情報が少ないかも知れず、感じたこと注意点などを本稿でシェアしたいと思います。

1. フェリー予約〜到着まで

フェリーはBatamFastという会社が運営しておりチケットは同社ウェブサイトから購入できます。

現在就航オープン記念の特別価格で2022/10/6までの発着の旅程は往復$118→$98と割引となっています。(プロモコードが必要とのことでしたが、予約時に勝手に割引が適用されていました)ただし現在の燃油サーチャージと港湾利用料を合わせたAll-inの往復料金は$118です。チケットは空席次第ながら変更も可能なようです。1番重要なポイントは往路・復路ともに木〜日しか運行していないため、土曜出発で月曜帰りといった日程は組めない事には注意が必要です。そして1日1便、8:30 Tanah Merah発、17:30 Desaru発しか選択肢が無いため、ホテルチェックイン・チェックアウト前後の時間をどう過ごすか計画が必要です。
チケット購入後は航空券のようなオンラインチェックインなどは無く、当日Tanah Merahのフェリーターミナルのカウンターに赴き搭乗券を発券してもらいます。逆にいきなりバッゲージチェックインをしようとしてもまずはBatamFastのカウンターに行けと言われます。ここのポイントは往復両方の2枚のチケットが発券されるので復路のチケットを旅行中無くさないよう保管しなくてはなりません。チケットはレシートのような薄い紙です。

また予約時のEメールには、「ピーク時は2時間前、オフピーク時は1時間前チェックインが必要」と書いてあったものの当該旅行日がピークに当たるのかWebサイト等からはわからず、コールセンターに問い合わせたところ「当該日はピークなので1時間前までにチェックインしてくださいね👩🏽‍💻」と言われ、「??Eメールにはピークは2時間前って書いてありましたが?」と尋ねると、「そうですね、でも1時間前までで大丈夫です👩🏽‍💻」と返され、ヘルプチャットでも同様の返答だったため、それを信じて出発75分前の7:15頃に到着すると、そもそもDesaru行きのチェックインが始まってすらおらず、8時発のバタム行きの便のチェックイン対応中でした…。

“STANDARD CHECK IN TIME”の意味とは…

Desaru行きのチェックイン待ちの列に並んでると1時間前の7:30過ぎても"No worry, you are on track〜"とスタッフは呑気なアナウンス。実際チケットを受け取ってから預け荷物チェックイン〜出国手続は他の乗客の数も空港ほど多く無いことからかなりスピーディーで、8:00過ぎの乗船開始には全く問題ありませんでした。
フェリー内は自由席なので良い席を確保したい場合は早めのチェックインがおすすめです。往路は進行方向左側がマレー半島側なので多少景色が楽しめます。またキャビンは三層になっているので1番上階の方が窓の水しぶきも無く視界良好です。(かつ有事の浸水リスクもやや低いです)バタムやビンタン行きのフェリーへの搭乗経験がある方は感覚的にお分かりかと思いますが、高速で移動するクルーザータイプのフェリーの場合、懸念していた船酔いも全くありませんでした。シンガポール海峡付近は波が穏やかという要因もありますが、スマートフォンをずっと眺めていても何も問題ありませんでした。感覚的にはバスで高速道路をまっすぐ走行しているような感覚です。

船内の様子 前方のモニターは到着案内やセーフティインストラクションがDVDで流されているだけです

なお常に陸地が見える程度の位置を航行するため、海上でも航路を通じて携帯電話の電波はほぼ常に届いていました。Desaruのフェリーターミナル到着も定刻の10時の数分前とかなり正確でした。入国手続の順番待ちもフェリーの乗客数に限られていることもあり、サクサクと流れていきました。CausewayやSecond Linkで渋滞にハマりイミグレ前の長蛇の列に並ぶのに比べると精神的負担は大幅に少ないです。

Desaru Coast Ferry Terminal到着時

2. 到着〜ホテルチェックイン

Desaruのフェリーターミナルは現在このシンガポールとの間の路線にしか使われていないため極めて新しく綺麗でした。マレーシアのKLIA除く国内空港で感じるわびしさと比べると雲泥の差です。免税店や飲食店のロットもありましたが、到着時の朝の時点では何の店も開いていませんでした。ターミナルの建物外の駐車場やバスの発着場も非常に真新しく整然としていて、到着した無料循環バスに乗り込みホテルに向かいました。このバスは観光バスサイズでなく、普通の路線バス規格のため、フルサイズのスーツケースを持ち込もうとすると通路に立って支えざるを得ないので要注意です。

シャトルバスの車内 路線バスからの転用でしょうか

私の宿泊したAnantara Desaru Coast Resort & Villasはフェリーターミナルを出発した循環バスの最初の停留所でした。フェリーターミナルからホテルまでの道も比較的最近に整備したと思しき新しさで、まさに売り出し中の新興リゾート地であることを窺わせます。他方で周辺は緑に溢れ鳥の声が鳴り響く自然豊かな環境です。ゴルフ場の周りには人工構造物が何も無く、コブラや毒ヘビが出そうだな…と感じるのどかさでした。
ホテル到着は11時ごろと標準チェックイン時間の15時よりもだいぶ早かったですが、サワープラムのウェルカムドリンクでもてなされ、海が見える絶景のラウンジのソファでくつろきながらのチェックインを早々に済ませました。部屋の準備ができたら知らせてくれるとのことで、ホテル施設はカードキーが要るジムを除いて、プールなども含め自由に使えました。

ロビーを抜けると眼前に現れる水平線

ひとつ意表を突かれたのは、ラウンジのソファのクッションの裏にトカゲが潜んでいて、いきなりジョホールの自然の豊かさの洗礼を受けました。

Long-tailed Sun Skink

朝が早かったので、All-dayダイニングのTermericで少し早いランチを取りましたが、部屋番号がまだわからない状態でも名前だけで部屋にチャージしてくれました。初の食事はジョホールラクサを頼みましたがかなり個性的な味です。いわゆる一般的なカリーラクサ・ニョニャラクサとは趣が全く異なり、まず麺がスパゲティでスープではなくミートソースのようなラクサ味のグレービーがかかっていて、具も魚のほぐし身と今までに全く出会ったことのないラクサでした。

Laksa Johor

食後はホテル内の移動に使えるシェア自転車に乗って施設探索をして時間を潰した後、13時過ぎに念のため部屋の準備状況を尋ねるとちょうど入室可能になったと鍵を渡してくれました。実は予約時にアーリーチェックインができないか交渉していたところ不可と断られていたので、これはポジティブサプライズでした。

部屋はバルコニー含めゆとりの広さ
バスルームもトイレ個室・洗面台ふたつも好評価
バルコニーからの眺望 やや遠いものの一応シービュー
部屋の外の廊下側の眺望
同じく廊下側の眺望。見渡す限りの自然

新しいホテルだけあって調度品は新しく使用感も少なく、ベッド枕元の電源(USB-A差し込み口)、ネスプレッソマシン、外部入力可能なテレビと最近のホテルに求められるファシリティは一通り揃っていました。テレビはLG製ですが、ワイヤレスのスクリーンシェアリングはAndroid・Windowsにしか対応していませんでした。Appleの機器はAirPlayが利用できないため、HDMIケーブルなどで物理的な接続が必要ですがアダプタ・ケーブルの貸し出しもしてくれるようです。ややクセがあると思ったのが、テレビの電源をつけてホテルのポータルページが映っている状態でリモコンのInputボタンを押しても入力ソースの切り替えができず、一度ポータルからExitして地上波テレビの画面に移ってからInputボタンを押すとHDMIの外部入力を選択できるようになります。

3. アクティビティ&グルメ

到着日は朝も早かったため昼寝の後、夕食も部屋で済ませました。ルームサービスメニューは概ねTermericと同じですがウェスタンのメニューが少し多いです。逆にローカルメニューが少し少ないので食べたいものがあればレストランに赴きましょう。

ナシゴレンはシンガポールでよくあるサンバル味でなくカイラン(空芯菜)とイカンビリスが入ったさっぱり味 Cucur Udang(エビフリッター)が載ってるのも新鮮 ポピアはとても上品で優しい味
デザートの3種のクエ盛り合わせ ニョニャスイーツがレストランメニューにあるのが嬉しい

翌日は動物とのふれあいやバギーの運転が体験できるDesaru Fruit Farmに出かけました。ホテルスタッフにタクシー配車を依頼すると程なくロビーまで迎えに来てくれましたが、10〜20分程度はかかるので、早めに手配するのが吉です。ホテルから13km・20分弱程度の距離で往復RM80(約$25)と可もなく不可もなくといった微妙な料金で、観光地価格だなぁという印象です。なおGrabアプリを立ち上げると一見配車ができそうに見えますが、実際にはドライバーがおらず予約は成立しません。Grabだと片道RM16程度の距離ですが…
Desaru Fruit Farmに到着すると総合案内・ℹ️的なものが無く、まずどこで何をすれば良いかわかりません。大きな土産物屋のような店ではフルーツやその加工品を売っていて、その他菓子飲料玩具なども一通りあります。ATV(四輪バギー)の貸し出しをしているらしき人を見つけ声をかけると、車種・定員・料金などの説明を受け、まずは土産物屋内のチケットカウンターで支払いを済ませろと言われます。価格は車種と乗車人数によりますが大人2人・小人1人が乗れる2.0という大型車は2人以上で乗るとRM200〜と結構な値段です。また同じ一台でも1人で乗るのと2人で乗るのとで料金は1.5倍くらい違います。そして予想と違っていたのはATV Ride Tourと銘打っているだけあって貸出時間内で自由に走行できるわけではなく、定刻に一列になって発車して、果樹園内のコースを走っていくだけなので、スピードは大して出せません。操作説明などを除いた正味の走行時間も20分程度だったので、帰路のタクシーで運転手にその話をしたら"Haha, good business😎"と。Exactly(その通りでございます)。そして動物と触れ合うにはソンテオのようなトラックの荷台に乗り、果樹園ツアーに参加する必要があったことも、後でYouTubeの紹介動画を見て知りました。入り口付近には動物の影も形もなく、またそのツアーのインフォメーションも無いため、炎天下のATVライド(及びその前の待ち時間)で疲弊してた状態で聞いて回る気力はもはや残っていませんでした…

ホテルに戻り昼食です。とりあえず一通りマレー料理メニューを食べてみたいと思いNasi Kandarを頼みましたーが、良い意味で私の知るナシカンダーではありませんでした。大ぶりのラムシャンクがほろほろに煮込んであり、クオリティからするとびっくりするような値段です。

ナシカンダーの新解釈

食後のんびりした後はプールです。プールはメインの大きなプールとよりビーチに近いインフィニティプールの2つありましたが、あまり混雑することもなくのんびり楽しめました。ウォータースライダーや遊具は無いので、景観は良いですが余り子ども向きではないかもしれません。子ども連れのファミリーは隣のAdventure Waterparkに出かけているのかもしれません。

あまり混み合っていません

夕食も部屋食です。Char Kway TeowはCockles(貝)のむき身も入っている本格派でボリュームもたっぷりでした。夕暮れは本当に夜に溶けていくような静謐さを感じられてリラックスできます。

色とりどりの野菜を散らす上品な炒粿條
チーズケーキも
みず色のひと時

朝食について触れます。ハラルのビュッフェ形式で、マレー料理のバラエティが素晴らしかったです。ナシレマにビーフレンダン、ロティプラタといった主要メニューはしっかり押さえています。

ナシレマ+アヤムゴレン サンバルはフルーティ&スパイシーで塩味控えめ
ロティプラタにカリーチキン・カレーフィッシュ
ヌードルバーのプロウンヌードルはダシが抜群に効いていてもっと食べたかった…
スイーツにはドーナツと並んでクエも
カプチーノにはAnantaraのロゴ

帰る日は朝食後午前中ゆっくり荷造りした後、ダメ元でレイトチェックアウトを交渉したらあっさりOK。逆に何時にチェックアウトしたいですか?と聞かれたので、「じゃあ15時で」と言うとすんなりそれなら問題ありません、と。フェリーの出航時間までの滞在場所がネックだったのでこれもまた幸運でした。昼過ぎにホテルからそのままビーチに出てみましたが、遠くまで長く続く海岸線の眺望は素晴らしく、砂も貝殻が多く混じっていて、かなり質の良いもっと評価されるべきビーチと思いました。童心に返って貝殻拾いをしてみましたがとても楽しかったです🐚

曇天で良さが伝わりにくいですが…
どこまでも続く長いビーチを久々に見ました

チェックアウト前に最後の軽食を。どうしても食べたかったTeh Tarikのジェラートは期待を裏切らない味でした。カラフルなオンデオンデはココナッツの器に入っていてかなり映える画でした。

テタレジェラート🍨
このオンデオンデ、緑じゃないやつもおんで?🦠

4. 帰路

帰りもフェリーターミナルまでシャトルバスで向かおうとあらかじめフロントに電話でバスの時間を確認したところ、15:30・15:50・16:10があると言われたので、15:50の便に乗るべくロビーに向かうと15:50になってもバスが来ない…エントランスのセキュリティに尋ねると聞かされていた15:50のバスは…無い。タイムテーブルを見ると16:10発は16:40ターミナル到着となっており17:30の出航時刻1時間前を切っておりアウト。この旅で1番焦った瞬間でしたが、昨日聞いたタクシー運転手のWhatsappに連絡、フェリーターミナルまでの車を手配、RM40と割高でしたが、10分程度で迎えに来てくれ、無事16:30前には到着しました。
教訓:バスの時間はDouble Confirmすべし👍👍
チケットの発券は往路で済ませていたのですぐに手荷物検査とバッゲージチェックインからの出国審査と、ここもまた乗客が少ないため待ち時間はわずかでした。ターミナルの外でアンコーがICAのサイトのリンクのQRコードを付けたプラカードを持ってSG Arrival Cardの提出をリマインドしてくれたのは気が利いてるなと思いました。

帰りはターミナル唯一のテナントのカフェが開いていました

帰りのターミナルもゲート外のカフェを除き特にどの店も開いておらず、ターミナルの開発は道半ば、という印象です。まだ週4往復しか往来が無いとなるとターミナルで商売をするには難しいでしょうか。デサルからまたマレー半島東側のメルシンやティオマン島につながるような交通ネットワークができるとタクシーやレンタカーでなくとも旅がしやすくなると思いました。
帰りも定刻出発で17:20くらいにはほぼ全員乗船完了していました。飛行機ほどゲートコントロールが厳しく無いので、(全くお勧めはしませんが)17時くらいに到着しても最悪なんとかなるかもしれません。Tanah Merah到着は19時ほぼちょうど、出国と異なり乗客全員同じ時間に入国するのでイミグレは多少混み合いますが、デサルからの便の乗客のみですので、圧倒的にスムーズです。
1点落とし穴があるとすれば、週末の19時台の辺鄙なタナメラでは帰りのタクシーが全くつかまりませんでした…最終的に$50超のGrab Car Premiumを捕まえて帰宅できましたが大荷物では混雑するバスにも乗れず、危うく詰んでしまうところでした。可能であれば決め打ちでAdvance Bookingをしておいても良いかもしれません。おまけに複数端末でGrabのブッキングを繰り返し試行していたら不正利用と疑われクレジットカードが止められてしまいました(銀行側の問題でなくMerchant = Grabが原因だと説明を受けました。)複数端末で同時に予約するときは決済手段は変えましょう…

総評

Desaruへのフェリー旅行の最大のメリットは陸路による国境越えのストレスがないことです。また越境タクシーなどに比べると割高ではありますが航空券・燃油サーチャージが高騰している昨今、交通費が一律往復$138で済むのも魅力です。シンガポールのホテルとの価格差を補って余りあります。Anantara周辺はリゾート地でホテル以外の飲食店が無いため、ローカルグルメを満喫とまでは行きませんが、朝食ブッフェやホテルダイニングでも私は充分堪能できました。またDesaru Fruit Farmはやや当てが外れましたが、ホテル周辺はビーチと緑に囲まれた自然の空気が素晴らしくポテンシャルを感じます。(朝部屋のドアを開けるとスカラベの骸が転がっていたのには、日本の夏の里山に泊まりに行った時のような懐かしさを覚えました)新設ホテル周辺に飲食店・ショッピングエリアがほとんど無い、Grabがまだ使えないなどの課題は今後の地域の発展が解決することに期待です。じきに雨季になるためオフシーズン入りしますが、来年3月ごろまた乾季入りする頃に再訪…アリです。

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