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AppleのCMOの2023年カンヌ広告祭でのプレゼンテーション"Agencies Are Forever"から考える広告系の未来です。トリガーとなるキーワードは"アウトサイダー"と"Be a part of culture"客観的な存在のエージェンシーの役割を考えます。 


2023年カンヌライオンズの総括的記事から。
日本の広告代理業について広告系として考えるところが多いのでみなさんにシェアさせていただきます。


OutsiderとA part of company culture


記事にもある「an outsider」と「a part of company culture」の対句の間にある意味をどう読むか、ずっと気になっています。

2005年-2006年のChiat Dayでの経験


2005年から2006年にかけてロスアンゼルスのTBWA Chiat Day Officeに出稿していました。その際Lee Clowさんのお話を直接的・間接的に伺う機会がありました。広告系のみなさんであれば、ご存知の方も多いと思います。Appleの広告活動に深く関与されていたTBWA Chiat Day のCreative Directorとして有名な方です。

当時から彼はエージェンシーは得意先の「be a part of culture」に言及されています。個人的な理解ですが、彼はTBWAの起業哲学でもあるDisruptionの隠されたコンセプトでもある"change the rules"を大事にしていたと個人的には理解しています。

僕の考えるchange the rules についてはいつかまとめてみたいと思います。

2005年から2006年のChiat Dayでたくさんのトップクリエター、プラナー、営業の方にインタビューもさせていただきました。この時の経験が僕の広告系としての広告観の下敷きになっていきます。
こちらについても興味のある方がいらっしゃればお話をさせてください。

アウトソース先としての日本の広告代理店


クライアントと広告代理店のパートナーシップ/リレーションシップについてはそれぞれの市場によって個性(違い)があります。

スペシャリストであるAgentの集団/組織である広告代理店はOutsiderであると同時にいつもクライアントをよく理解することが求められます。ただしクライアントと同化や一体化することが最善の答えではありません。

日本市場では、引き続き「生涯雇用」と「ジェネラリスト志向」が雇用契約と個人のキャリアとにおいて支配的です。
もちろん「メディアの代理店」としての役割が長くあることも背景にあります。
事業会社において広告宣伝領域(マーケティング領域と言えるかもしれません)は外部の専門の会社(日本型広告代理店)にアウトソースする傾向が強いと理解しています。
「失われた30年」においてはローコストでその専門領域を運用することが求められています。
また約80年前に開発された電通モデルを基本にした報酬体系は「人にお金を払う」仕組みへの移行を困難なものにしており広告代理店のプロフェッショナルなスキルを限定的なものにしています。

Creativityの解放:広告代理店から広告会社へ


日本の広告代理店はそのクリエイティビティを解放する過程で、代理店業から実業に向かおうという傾向を示しています。広告代理店から広告会社へのシフトです。エージェンシービジネスからの離脱です。

上記文脈において「the outsider」と「a part of your culture」を読み直すと欧米の広告代理店が目指すものと日本市場において起こっていることの乖離が見えてくるように思います。

エージェントとその集団であるエージェンシーのチカラを信じる


Creativityを本来の課題解決に向ける上で、代理店サービスのあるべき姿を実現するOpen Platformを僕は目指しています。
足元の日本市場におけるその実現のための出発点は「クライアントと代理店の関係」にあると改めてこの記事から学べます。

私たちの専門性はコンサルティングとは異なるところにあり、得意先もそれを期待しています。
この記事は改めて広告代理店ビジネスの将来を考えさせられました。

同時にこの記事は広告代理店ビジネスとそこで働く広告系の人たちをを勇気づけてくれる内容でもあります。お時間がある時に是非ご一読を。

そして自信を持って企業文化の重要なメンバーとして得意先のブランド活動に参加していきましょう!

ちなみに僕がエージェントにこだわる理由は得意先の課題解決をやり遂げるプロフェッショナルということです。
ということで、最後に僕が大好きな世界で一番有名なエージェントについてご紹介させてください。
エージェンシーは楽しい仕事です。
さあ、得意先と一緒にブランドを創ろう!


UnsplashLouis Hansel さんが撮影した写真をヘッダーに使用しました。

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