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エンジョイベースボールを考える。慶応義塾高校 森林監督のインタビューから楽しみながら勝つということについて考察します。

変化の時代です。
変化を待つのではなく、自ら起こしましょう。
その時に一番大事なChange Perspectiveの理解をみなさんと一緒に深めるべくケース観察をしていきます。
その第一弾は今年の夏の甲子園を賑わした慶応義塾高校 森林監督の視点です。
先日掲載された日経新聞でのインタビュー記事をもとに迫ります。


高校野球の意味と意義

「チームの決め事を守り、人と同じことをするだけでは人生、面白くない。ますます価値観が多様化し、自分なりの幸せを選び取る時代になると思うので、これをやりたい、自分にとってこれが正しいと判断する感覚を野球で養ってほしい

たかが髪形、されど髪形 慶応野球「エンジョイ」の真意
森林貴彦 慶応義塾高野球部監督
太字は筆者

記事のタイトルにもありますが、「髪型」に注目が集まってしまうことはミスリードかなと思います。
本来の森林監督が目指したことは上記のインタビューに凝縮されています。


「いまだにそんなことが話題になるのかと残念に思う一方、これを入り口に(変化への)議論が進めばそれでいい、と思った。問題は髪形そのものより(無思慮に前例に従う)思考停止、旧態依然、上意下達の部分。高校野球はこういうものだという枠を誰かがつくり、枠の中でずっとやってきた。今年の優勝で、一石を投じることはできたかと思う」

たかが髪形、されど髪形 慶応野球「エンジョイ」の真意
森林貴彦 慶応義塾高野球部監督
太字は筆者

現状維持バイアスは日本中に溢れている


物事をよくすることに対する無力感からくる思考停止と言っても良いでしょうか?
現状維持バイアスは身近な問題です。
思考停止、旧態依然、上意下達」に集約された「指示に従うこと(判断しないこと)」が美徳とされています。

成長の限界を自らつくってしまう、現状バイアスから自由になりましょう。

森林監督が目指したゴール


教育者でもある森林監督の課題設定は「成長至上主義」です。
「勝利至上主義」ではないことが興味深いです。

「野球がどういう人材を社会に送り出せるか、野球型の思考が今後の社会にどうマッチするのか考えると、危機感を覚える。勝つために手段を選ばないといった思考が、高校生以下の世代でも、ゆがみとして出ている。そこで打ち出したのが『成長至上主義』。ただただ勝利を目指して頑張ろう、ではなくて、一人ひとりが人間的に成長し、周りも成長させる。選手としての成長、人間としての成長が車の両輪となったら強い。それによって、実は勝利にも近づくのではないか」

たかが髪形、されど髪形 慶応野球「エンジョイ」の真意
森林貴彦 慶応義塾高野球部監督
太字は筆者

「もちろん、ただ笑顔でやればうまくいくというものではない。頂点を目指す以上、日々の地道な苦しい練習、ライバルとの競争、試行錯誤がある。そこを乗り越えるところに、より高いレベルの喜びがある。それがエンジョイの真意だ」

たかが髪形、されど髪形 慶応野球「エンジョイ」の真意
森林貴彦 慶応義塾高野球部監督
太字は筆者

勝利を至上としたことから起きたとも言えるビックモーターの事件などはまさに思考停止の結果とも言えます。
現代を生きる我々に反省が迫られていることです。

日常的に言葉を大事に使う努力


変化を起こすためのChange Perspectiveは言語化されて初めて機能します。
言葉を丁寧に使うことが一番大事なトレーニングです。
このトレーニングを通じて人を動かす変化の「視点」が養われていきます。

言葉には気を使っている。準々決勝の沖縄尚学戦は五回まで0-2の劣勢。前半戦終了時に『第1試合は完敗だから、第2試合を頑張ろう』と言った。同じ言葉ばかりだと、選手はまたかよ、という顔をする。新鮮な言葉がないか試合中に考えていた。あれでみんな『これからだ』となったのか、六回に逆転できた」

ミーティングでだらだらしゃべりたくないので、試合ごとに四字熟語でテーマを伝える。『徹頭徹尾』とか『勇往邁進(まいしん)』とか。甲子園の決勝は『大願成就』。これしかない、と一番簡単に決まった」

たかが髪形、されど髪形 慶応野球「エンジョイ」の真意
森林貴彦 慶応義塾高野球部監督
太字は筆者

高校野球の価値を再定義するために必要なもの


変化の視点で高校野球を観察し、課題を達成するための最強ルートを見つけるために必要なアングルは3つあります。

1: 危機感(社会的問題と個人的な問題)
2:心に刻まれた体験(自分ごとからみんなの課題へ)
3:客観的な事実(データやアカデミズム)

危機感が自分の原体験を後押しして、価値の再規定が進んでいきますが、人を動かすためには裏付けが必要です。
上記の3点はインサイトを見つける上でも重要です。

危機感:社会的な問題→高校野球人口が減っている

「高校野球には堅苦しい部分、個性や自由が認められづらい部分がある。親の負担も大きく、(子どもに)野球が選ばれにくくなっている。甲子園は盛り上がっているようにみえて、全国の野球部や部員の数は減っている。このままの形では続かない。高校野球はスポーツの枠を超えて文化として定着し、変えるのは大変だが、我々が変われば人の育成方法なども変わるきっかけになるかもしれない。社会的な意義は大きい

たかが髪形、されど髪形 慶応野球「エンジョイ」の真意
森林貴彦 慶応義塾高野球部監督
太字は筆者


たかが髪形、されど髪形 慶応野球「エンジョイ」の真意森林貴彦 慶応義塾高野球部監督太字は筆者

危機感:個人的な問題→教師としての無力感

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