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実は絶滅危惧種だったイチョウが人を媒介に生き残りの旅をした記事を眺めていたら珠洲の奥能登国際芸術祭の思い出とマッシュアップしたくなって、MITの石井裕さんとMAL Lee Clowさんへの想いが蘇って、オワコンと言われる広告の未来について啓示を得たというお話です。

先日「奥能登国際芸術祭」についてのnoteをポストしました。
投稿し終わった後、しばらくして、ある日経新聞の記事が記憶の片隅から甦ってきました。


記事の記憶


ナショナルジオグラフィックからの転載記事です。
イチョウは絶滅種だったが人間との不思議な共生により生き延びているという内容です。

記事からの引用です

絶滅危惧種イチョウ

米ノースダコタ州で出土した化石から、イチョウ(学名:Ginkgo biloba)は6000万年もの間、現在の形のまま存在していることがわかっている。同じような遺伝子を持つ先祖は、1億7000万年前のジュラ紀にも存在していた。

『イチョウ 奇跡の2億年史』の著者で、世界有数のイチョウの専門家でもあるピーター・クレイン氏は、「2億年近い歴史の中でイチョウは徐々に数を減らし、絶滅しかけました。その後、人間の関与によって復活を遂げたのです」と語る。

国際自然保護連合(IUCN)は、野生のイチョウを「絶滅危惧種(Endangered)」に分類。中国にわずかに存在するだけと考えられている。この秋、黄色くなった落ち葉の歩道を歩いた人は、希少な体験をしたといえるかもしれない。自然から姿を消しかけていたこの種を救い、世界に広めたのは人間だ。「これは偉大な進化の話です。そして、偉大な栽培の歴史でもあります」とクレイン氏は言う。

実は絶滅危惧種だったイチョウ、こうして生き延びた ナショナル ジオグラフィック
太字は筆者

イチョウの部分を「珠洲」に置き換えてみた

太字の「イチョウ」にあたる部分「この種」を「珠洲」に置き換えてみましょう。

この秋、黄色くなった落ち葉の歩道を歩いた人は、希少な体験をしたといえるかもしれない。自然から姿を消しかけていた珠洲を救い、世界に広めたのは人間だ。

あれ、これは、僕が珠洲で感じたことの総括に近いなと…。
むしろ、そのものであると思いました。
奥能登国際芸術祭の経験がナショナルジオグラフィックの一節を呼び覚ましてくれました。

ナショナルジオグラフィックの記事を読み進めます

一説によると、世界中でイチョウが死滅を始めたのは1億3000万年前ごろのこと。被子植物が多様化し、広がり始めた時期だ。現在は、23万5000種以上の被子植物が存在する。被子植物は進化や繁殖、成長が早く、果実や花弁があるため、植物食動物や授粉者にとってイチョウよりも魅力的だ。

イチョウは、新しい植物との競争の中で、隅に追いやられたのでしょう」とクレイン氏は言う。

新生代になると、6600万年前ごろに始まった寒冷化とともに、イチョウは北米やヨーロッパから姿を消し始める。1万1000年前に最終氷期が終わったとき、イチョウは中国にしか残っていなかった

実は絶滅危惧種だったイチョウ、こうして生き延びた ナショナル ジオグラフィック
太字は筆者

さいはての土地に残されてしまった珠洲にしかないもの、イチョウが歩んできた軌跡に似ています。

現在の地球には、5つのタイプの種子植物がある。もっとも多いのが被子植物。そして、マツ類、グネツム類、ソテツ類があり、イチョウ類がある。植物界においてイチョウのグループ(綱)には、ただ一種、イチョウ(Ginkgo biloba)しか現存しない

実は絶滅危惧種だったイチョウ、こうして生き延びた ナショナル ジオグラフィック
太字は筆者

イチョウがユニークな存在であることがこの記事から伝わってきます。

イチョウと人の関係


イチョウに人はどうやって関わってきたのでしょうか?

では、なぜ進化の中でこのような悪臭を身につけたのだろうか。クレイン氏はこう話す。「私の想像では、臭いの強いものを好む動物に食べられることを狙ったのです。そして、その動物の内臓を抜けて発芽するのです」

この種子が、1000年前に人間がイチョウを好むきっかけになったのかもしれない。外層を除去したイチョウの種子は、ピスタチオによく似ている。中国の人々は、その種子を食べるため、ほかの場所では存在しなくなって久しいイチョウの木を植え始めたのかもしれないイチョウの種子は食用できるが、有害成分を含む外層を取り除かなければならない)。

実は絶滅危惧種だったイチョウ、こうして生き延びた ナショナル ジオグラフィック
太字は筆者

美味しくいただいているのですが、「外層を取り除く」というところに注目しました。

そして、アート

アート・芸術(工芸)は人の手によるものです。
自然の芸術という言葉がありますが、定義上は人の活動によるものです。

質問:アート・芸術についての定義を150字でお願いします。

芸術は、感情、思想、視覚的美を表現するために創造性を用いる人間の活動です。絵画、音楽、文学など多様な形で存在し、文化や感性を反映します。

Chat GPT4によるまとめ

珠洲の人や土地の記憶がアーチスト・アートによって外層を剥がされて、剥き出しのものになっていく、それが芸術祭です

そしてアート作品を通じて解放された土地の記憶は訪れた人によって消化・昇華され、心に刻まれていきます。

また僕のようにnoteに書き留めるなど別の方でその記憶を発信する行動の連鎖が発生します。

質問:アート・芸術と人間に関わりについて300字でまとめてください。

芸術は人間の経験を豊かにし、感情や思考を刺激する存在です。創造的な表現は言葉を超えたコミュニケーション手段として機能し、共感や教養を促進します。歴史を通じて、社会や個人のアイデンティティ形成に寄与してきました。美術、音楽、演劇、文学などの形態は、感動を与え、時には挑戦的なメッセージを投げかけ、人間の内面や外界の認識を深めます。文化の多様性と進化を促進する芸術は、教育や治療にも応用され、人々の精神的な健康と社会的な結びつきを強化する重要な役割を担っています。

Chat GPT4によるまとめ

質問:人間のアート・芸術という行為によって導き出されるもの・結果として生成されるものは何ですか?300字でまとめてください。

アート・芸術によって、人間は美的体験、感情的応答、知的洞察を得ます。これは、個人の自己表現の手段であり、文化的アイデンティティを形成し、共感や共有体験を通じて人々を結びつける力を持っています。アートは、観る者に内省の契機を与え、社会的・政治的メッセージを伝達する手段となることもあります。また、教育においては創造力と批判的思考能力を養う重要な要素となっています。アートは治療法としても用いられ、精神的な癒しやストレス軽減に役立てられています。結果として生成されるのは、感動作品、思想、社会的変化、そしてコミュニティの強化ですアートは、形として残る作品だけでなく、人間の内面の成長や社会進化という無形の成果をもたらします

Chat GPT4によるまとめ 太字は筆者

イチョウは旅をした、そして生き残った


美味しく食べられるようになったイチョウは人と一緒に旅をします
珠洲の思い出のように。

イチョウがヨーロッパに持ちこまれたのは、17世紀後半になってのことだ。日本を旅したこともあるドイツの博物学者エンゲルベルト・ケンペルが、イチョウをヨーロッパに紹介したと考えられている。今では、イチョウは米国東海岸で特によく見る木の一つだ。虫や菌類、大気汚染に対する自然耐性が高く、コンクリートの下でも根を張ることができると考えられている。

実は絶滅危惧種だったイチョウ、こうして生き延びた ナショナル ジオグラフィック
太字は筆者

日本経由でヨーロッパに戻ったとしたら、とてもロマンチックですね。
何やら北前船の話にも聞こえてきます。

そうか、イチョウは人を媒介(メディア)にして生き残ったのだ


そろそろ、文章をまとめようと思った矢先、「人をメディア」というフレーズが僕の頭でリフレインします。
広告代理店でキャリアを積んだ僕はこの「メディア」という言葉にはとても敏感です。

広告ビジネスにおけるメディア


広告においては「媒体」という言葉をビジネス上一般的に使います。
一番具体的な言い方が「TVCMの放送枠」を持って媒体としています。
枠を売ること(Media Agency/日本ではメディア担当)と、枠の中身を創ること(Creative Agecny/日本では制作担当)は分業化されています。

英語の「Media」が日本に持ち込まれて広告の世界では「媒体」が好んで使われています。おそらく「Viechle/ビークル=具体的な放送局名」とセットで使われることが多いので媒体が一般的ではないか?というのが僕の個人的な見解です。
そして、上述のように「メディア部門」という職種的な役割に集約されており、その立場から通常ビジネスための議論をするので、コンテンツ側との乖離が生まれてしまうことがしばしばです。

コンテンツの意図を踏まえて「媒介」のニュアンスで議論されていることがありますのが議論がうまく噛み合わないのはこの辺りが原因ではと考えています。

質問:メディアは「媒体」ですか?「媒介」ですか?

メディア(Media)は基本的に「媒体」とも「媒介」とも訳されることがありますが、意味合いには微妙な違いがあります。

- 「媒体」は物理的なもの、つまり情報やコンテンツを保持または運搬するための物理的な手段や素材を指します。例えば、新聞紙、テレビ、ラジオなどが具体的な媒体です。

- 「媒介」はより広い意味を持ち、二つの異なるエンティティや個体、集団などの間に立って、情報、物質、またはエネルギーを伝達するプロセスまたは機能を指します。

メディアはこれら両方の側面を持ちます。一方で物理的な媒体(例:テレビや新聞)として機能し、他方で情報を伝達する媒介としての役割を果たしています

Chat GPT4によるまとめ 太字は筆者

メディアといえば、MIT(石井裕さん)とMAL(Lee Clowさん)

ビットとアトムの間を行き来する、その象徴としてのそろばんについてのお話が非常にメディアについての見識を深めてくれるMITMITメディアラボ副所長の石井 裕さんです。
彼のいうメディアはまさに媒体であり媒介です。
メディアを考えるときには示唆に富んでいます。

あえて現代の錬金術師を名乗る石井さんの言葉には力あるだけではなく、ロマンがあり、僕は大好きです。

Creativityが重要な広告に携わる人間として彼が言及する「錬金術」ということに惹かれて広告の一つのゴールについてnoteを書きました。

Appleのマーケティングプロモーションに長らくCreative Directorとして関わり、Appleへの広告代理店の新しいサービス提供のためにMedia Art Labの創始者でもあるLee さんもメディアという言葉を丁寧に使います。

Packaging at Apple is a message

上記のキーワードを理解してもらう上でとても重要なビデオがあります。
Appleにおける広告の位置付けを理解することができます。
翻って、広告とは何か・何をすべきかということについてのヒントになります。

本ビデオは長いですが、一度見てください。
僕の大好きなLeeさんとC+PBのボガスキーさんの2012年の対談です。

全編にわたり素晴らしい内容です。
まず、ビデオの中のLeeさんの発言に注目して欲しい件があります。
メディアについての考え方とそこに向けた取り組みです。

森のnote【広告系提案箱 #11】より

Lee Clowさんが中心となって造られたAppleの「Think Different」は不朽の名作です。

Think Differentの背景にある「Marketing is about values」(Steve Jobsさん)は広告の新しい可能性の扉を開くためにもう一度読み解く必要があります。


二人の話を「イチョウがした旅」の観点で眺めるとメディアとクリエティブは一対であるべきことが理解できます。
「メディア」についての認識がシャープになってきました。

イチョウの木は強烈な臭いを持つことで知られている。メスの木は種子を作るが、その種子は酪酸を含む肉質外層に包まれている。酪酸は、人間の嘔吐物の特徴的な臭いでもある。

実は絶滅危惧種だったイチョウ、こうして生き延びた ナショナル ジオグラフィック
太字は筆者

仕事上の役割分担があるので、コンテンツとしては一体ですが、役割という点では一対です。

このメディアについての理解が次の広告を生み出す出発点になります。

「メディア」についてまとめておきます


質問:メディアとは何ですか?1:現在一般的に考えられている意味と、2:芸術、3:哲学、4:化学、5:物理学の観点を対比させてそれぞれ100字でまとめてください。

1. 現在一般的にメディアとは、情報を広めるための媒体、例えば新聞、テレビ、ラジオ、インターネットなどの集合体を指します。情報伝達やエンターテイメントの手段として機能します。

2. 芸術の観点では、メディアは作品を創造・表現する素材や手段(絵画のキャンバス、デジタルプラットフォームなど)を指し、作家の意図を伝達する役割を果たします。

3. 哲学では、メディアは現実と私たちの知覚の間の媒介と見なされ、情報の解釈や実在の理解に影響を与えると考えられています。

4. 化学においては、メディアは反応物質が相互作用する環境や溶媒を指し、化学反応の場や条件を提供するものと捉えられます。

5. 物理学の文脈では、メディアは光、音、その他の波が伝播する物質として理解され、波の速度や伝播の特性を定めるものです。

Chat GPT4によるまとめ 太字は筆者

広告はオワコン


広告はオワコンであると言われて久しいです。
その価値を下げています。
広告の本来の価値は何かという議論すら起きる気配もありません。
デジタルが生み出した新しいライバルたちにどんどん端っこに追いやられています。
それは、さいはてのマスコミ業です。

広告を先端に:Break out of our shell


まずはメディア部門(その中にあるトラディショナルVs.デジタルも含む)とクリエティブ部門(こちらにもBig IDEA系とデジタルの対立がありますね)の「外層」を割る必要があります。
メディアとクリエティブが表裏一体となったコンテンツ(種)もきっと外層を持っています。コアアイディアのコアを解放しましょう。

では、誰に割ってもらいましょうか?


テクノロジーは道具です。道具を使うのは得意先です。
得意先ビジネス=マーケティングへの積極的な関与です。
広告の役割・位置付けをマーケティングの中でしっかり規定して、そこにチャレンジしていくこと:マーケティングにおけるプロモーションで果たすべき役割にフォーカスすることです。
日本では特に広告の役割が不鮮明になっていますので、サービス業として得意先ビジネスへの貢献であるを再度認識してその役割を全うするところから始めましょう。

珠洲での奥能登国際芸術祭のテーマは「さいはてを先端へ」です。


広告は最先端になる必要はなくマーケティングにおける役割の中で先端であることを目指しましょう

得意先ビジネスを成長させる→広告代理店としてのビジネスの可能性が広がる→得意先へのロイヤリティが高まるという大きなビジネスの生態系で捉えていきます。

エージェンシービジネスの出発点は得意先です

得意先は待っています!


さぁ、得意先へ!


そして、一緒に旅をしましょう!

今日も最後まで読んでいただきありがとうございました。

新しいエージェンシーサービスのために「Open Platform型」の仕組みを提供しています。
興味がある方、ぜひこちらまで。

h-mori@threeplussix.com

それでは、また。

追伸:奥能登国際芸術祭は2023年11月12日まで開催中です!
ぜひ参加してみてください!

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