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「見えない力」を少しでも見えるものに---角川武蔵野ミュージアムに家族で行ってきた。


角川武蔵野ミュージアム:読書世界へ

台風前夜の夏休み最後の土曜日、家族で何をしようかと思案していたとき、ふと故松岡正剛氏の存在が脳裏をよぎりました。そうだ、氏が館長を務めていた角川武蔵野ミュージアムに足を運んでみようと思い立ちました。

松岡氏の言葉が心に響きます。
「ほどなくして世界中に〈読書世界〉ともいうべきユニバースが形成されていきました。」
館長通信 No.85「本と遊ぶために(6) ときには三球三振してみる」より)この言葉が、私たちの旅の指針となりました。

角川武蔵野ミュージアムは、私の実家に隣接する所沢市にあります。妻と子どもたちは一度訪れたことがあるものの、私は「いつでも行ける」という安易な考えから、これまで足を運ぶ機会を逃していました。夏休み最後の土曜日、家族の賛同を得て、出発することにしました。

想像と連想と空想の世界

館長挨拶には、このミュージアムの理念が明確に示されています。

感じる。楽しむ。考える。

私たちには、いつも「脳」と「心」と「体」がともなっています。 五感が動き、リズムや形態に反応し、言葉を交わし、恋をしたり知恵をしぼったりします。 古代の人々はそれを「アニマ」の動きだとみなしました。現代人はそれを計算するニューロンのはたらきだとみなしました。

角川武蔵野ミュージアムは、このような「想像と連想と空想」の原点に立ち返り、 そもそも「アニマ」を動かすものとはどんなものなのだろうかということを、お見せしたいと思っています。

そのため、とても不思議な建物を用意し、たくさんの本を林立させ、連想の翼が広がる展示物を準備しました。 21世紀ならではのテクノロジーやファンタジーも仕込んであります。楽しむ想像力、考える連想力、 感じる空想力をいろいろ「まぜまぜ」することこそが、このミュージアムが提供したいものなのです。

角川武蔵野ミュージアムを知る 館長挨拶 想像力とアニマに遊ぶミュージアム より

実際に訪れてみると、まさにこの理念が体現されていました。
本が集積された図書館や書店が醸し出す、権威と猥雑さが混在する独特の雰囲気、そして新たな発見への期待感が、ここには凝縮されています。

文字を言葉にするものは何か?

子どもたちが魅了されたインスタレーションを通じて、「文字を言葉にするのは一体何か?」という問いが浮かび上がりました。言葉を生業とする者として、この問いの重要性を痛感します。

本がつくる空間
文字が語りかけます
読んでくれる人をさがしています

知的冒険の始まり

思いがけない訪問が、私たち家族にとって夏最大の収穫となったかもしれません。角川武蔵野ミュージアムは、単なる展示施設ではなく、知的冒険の出発点です。皆様もぜひ訪れてみてください。きっと、新たな発見と知的刺激が待っていることでしょう。


このミュージアムの階段は家族にとっての新しい一歩でした

このミュージアムは、街から失われつつある本屋の持つ魅力—「ワクワク」と「ザワザワ」が共存する空間—を、新たな形で提供しています。個人的な懸念として、街の本屋の存続問題があります。

それは単に書籍販売の場が失われるということではなく、本が生み出す「ワクワク」と「ザワザワ」が街から消えゆくことへの危惧からきているのではないかと思います。

このワクワクとザワザワが、私たちの知的好奇心を刺激します。きっと刺激的な文化の継承と創造の場が街には必要なのです。
本は読むことだけではない何をを感じることができるミュージアム、ぜひ、足を運んでみてください。
きっと、あなただけの「発見」が待っているはずです。


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