人参のお食事パンが生まれるまで
まだ年末年始のお休み気分が抜けません。こんにちは、Threebread店主です。
さて、今回は当店初の減塩パン、人参のお食事パンができるまでのお話。健康志向ではなくいつもの店主の趣味だよ、という回です。ではどうぞ。
減塩のパン
他店のパン屋さんの、減塩のパンを作っているという情報を見かけて、安易に自分にも作れそうだと思ってしまったのがこのパンの始まりです。
塩は、味はもちろん、発酵のスピードなどを調整してくれるパンには欠かせない材料です。
塩の入っていないパンはイタリアにはあるそうですが、味の上でかなり食べづらいんですよ。(イタリアでは、特にしょっぱいご飯と一緒に食べるそうです)
食事もそうですが、減塩のものって美味しくないというざっくりしたイメージがあると思います。ですが、そこをなんとか美味しくしたい!と考え始めました。
味の物足りなさ、発酵の管理
問題なのは味と発酵なのですが…
味に関しては、仕込み水を水以外にしたらいいのではないかと思いました。
水は味がしないですが、例えば豆乳とかジュースとかはそのものに味があります。
水に塩を溶かしただけより、豆乳などに塩を溶かした方が美味しく感じますよね。その原理で、パンの味も複雑になって美味しくなるのではと思いました。
そこで選んだのは人参ジュース。比較的簡単に手に入る材料ですよね。
また、塩は発酵のスピードや、グルテンの生成を管理する働きもあります。
塩が少ないと、なかなか生地としてまとまらないんですよ。だから一生懸命こねる。ただそれだけが解決法だと思いました。
ソフト系でいく
ここまで考えて、このパンは、ハード系で作るよりも柔らかい方が向いているだろうなと思いました。なんとなく、の勘です。
そして半ば実験的に自宅で試作してみたら、すんなり美味しいものができたんですよ。びっくりしました。
理論って大事なんだなぁと思った瞬間でした。
少し温めて、ちぎりながらバターを塗って食べると本当に最高。人参香るふわふわ食感。
減塩なんて言われないと分からないほどの減塩パンができました。いや、言われても分からないと思います。自信あります。
販売にあたって、中にアーモンドを入れて、形のかわいさからブリオッシュ型で焼くことにしました。
減塩って謳う?
販売する時に、減塩を謳うかを迷いました。
それほどに気づかない美味しさなんです。
ただ、私の感動は減塩ということで伝わると思ったので、減塩パンを謳うことにしました。
どれくらい減塩したかというと、通常のパンの33%減です。そもそもパンに入っている塩は少ないので、健康志向の商品とはいえないと思います。そして健康志向から発想したパンでもないので、そこを売りにはしなくていいだろうと思っています。
ただただ、塩が減ってもおいしいのできたよ。っていう店主の嬉しさを共有したいパンです。
店主の知識が結果を結んだ『人参のお食事パン』食べてみたくなってませんか?
コロンとした形も、焼きあげて型から出すときにかわいいなと思っています。
店主の趣味に付き合わせるパン屋でお馴染みなスリブレですが、このパン美味しいですよ。
ポモドーロもそうですが、仕込み水が水以外のものって、それだけでもう美味しいのです。
これからも楽しく発想してパン作っていきますね。今週も作っちゃおうかな、お買い上げよろしくお願いいたしまーす!
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