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散文集

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日常的な散文集
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2020年12月の記事一覧

ツボミ (散文)

ツボミ (散文)

なんて美しい色してるんだろう。
これをを目にした多くの人が目にして呟いた言葉だ
この世で最も美しい色のつぼみ
幸運なことに僕は所有することができた

しかし、そのつぼみは花を咲かせなかった
いくら光や水を与えても

そして、ある日気づいた
このつぼみには心がないことを

人々の邪気を受け続けていくうちに、このつぼみは見栄と引き換えに心を失ったのだった

この世界の多くの住人と同じように。

晩秋 (かなり前に作成)

晩秋 (かなり前に作成)

暖かい部屋の空気も
ぽつんと置かれたこたつも
焙煎機で踊るコーヒー豆の姿を見るのも、もはや日常風景になりつつある

近所の公園の銀杏の葉も、黄色く彩り、鮮やかに去っていくようだった

もう今年も終わりかぁ、とふと思ってしまうのは退屈すぎたゆえか、それとも日常が麻痺してしまったからなのか、、、そこはあえて深入りしないでおこう

そんな感傷に浸り、消えつつあった我も焙煎機の停止音で立ち返る秋の暮れ