アルファベットも全部言えなかった私が英語で仕事ができるようになるまで③大学でペラペラになる

帰国後の高校生活

 帰国後、半年間残りの高校生活を過ごすのだが、それまでネイティブの中でやっていただけあって当然だが、周りのクラスメイトと比べて、英語の授業では圧倒的にできがよかった。学校での帰国性としての立ち位置を手に入れたのだった。しかしそれでも、本物のネイティブの人と比べるとやはり及ばず、会話の掛け合いやジョークを言って楽しむ様子はかっこよくて憧れた。私も頑張らなくてもペラペラと出てくるような、もっと自由に英語を使えるようになりたいと思ったのだった。

一定レベルまでできるようになると、今度は実際に使ってみたくなるものだ。新しい道具を手に入れたら、さっそく使ってみたいと思うような感覚である。もう言語として勉強をするための英語ではなく、英語を使って何かをやってみたいと思うようになっていた。せっかくなので大学でも英語の勉強を続けることにした。

大学での学び

しかし学部の選択は迷ったが、国際学部ではなく社会学部にした。社会学部は、そんなに忙しくも難しくもなく、かつ授業の内容が面白そうだったのだ。
英語は学部の授業とは別のコースの授業があったので、並行して受講することにした。

コースの授業は週2~3回、各1時間半、入学から2年時の春学期までの1年半の期間に受講した。授業はディスカッションやプレゼンなどアウトプットが中心で、先生への質問や周りのクラスメイトとの相談も含め、一切日本語が禁止、全て英語で行うというルールだった。先生からは毎回たくさん当てられて、発言を求められることも多かった。生活の中に英語で考えたり話したりする時間が組み込まれて、キープされている感じだった。

英語コースの独特な内容

私はこの英語コースで、講師にも授業内容にも(クラスメイトにも)大変恵まれた。
講師はネイティブスピーカーのアメリカ人で、ユーモラスで人柄もよく、教え方も上手だった。教科書通りの内容ではなく、さまざまな場面で先生のオリジナルの面白い企画を考えてくれた。

一番最初に、クラスメイト各自が自分のEnglish Nameを決め、それを使うことになった。英語の名前を持つことで、何気ない会話も英語で喋りやすい環境ができてきて、また、自分が別のキャラクターになった感じがして楽しかった。

授業の内容も進め方がレクリエーションのような感じで、勉強をしている感があまりなく、ゲーム感覚で楽しみながら自然と身につくような内容だった。映画を見て感想や考えを共有したり、そこからテーマが与えられてレポートを書いたり、本を読んでグループごとにプレゼンをしたり、自分が趣味や学外でやっている活動について、新聞形式で文章を書いて、みんなで合わせて新聞をつくったり、特定のテーマが与えられてグループで寸劇をつくって演じたりした。

アメリカ大統領選挙の時期には、選挙の活動を模したロールプレイング形式のチーム対抗ディベートのイベントがあり、チーム内で役割を割り振り、選挙の各場面が再現される形でイベントが進んでいった。実際にディベートをする人だけでなく、その前の段階で、ディベートの方向性や演説の文章内容を考える人や、チームごとのシンボルを決めたり、宣伝用に動画をつくる人、チームごとにインタビューを受ける際、それに受け答えする人などがいて、それぞれの見せ場があり、役割を果たして作り上げていった。

アウトプットを鍛える

もちろんこういったイベントやプロジェクトだけでなく、基本的な教科書に沿った授業もやるのだが、教科書の内容を読んだうえで、その内容についてどう思うか、どのような問題があるか、どうすべきだと考えるかなど、質問が与えられるのだ。質問に対して、まずは自分で考える時間がある。わからないことはこの時間に調べたり考えたりすることができる。

次にクラス内で、ローテーションのペアワークがあり、他のクラスメイトと意見を言い合う。席を離れて歩き回り、実際に自分の考えを話して伝えてみるのだ。また相手の考えも聞き、自分とは違った考えを知れるだけでなく、ちょっとした会話に慣れたり、相手が使う表現や単語を学ぶことができる。そのあとで席に戻ると、どのような意見が出たのか1人ずつ当てて喋らせるのだ。自分の考えや、周りの人から聞いて気づいたことなどをクラス全体に共有する。

何かのテーマについて、いきなりどう思うのか聞かれてもなかなかすぐに答えるのは難しいが、このように段階を踏んでやることで話せるようになっていくのだ。これを繰り返し行うことで慣れていき、聞かれたことに対して答えるスピードは上がり、バラエティに富んだ返答ができるようになっていった。

この英語コースを受け終えるころには、アウトプットがものすごく鍛えられ、大きく伸びていた。伝え方の表現やフレーズのバリエーションが格段に増えて、話したいことがスラスラ話せるようになったのだ。話すことが楽しくなり、もっといろんな場面で使ってみたくなっていった。

さらにいろんな授業を受けてみる

コースを終えた後も、学部の授業のほかにいろんな英語の授業を受けてみることにした。大学にはいろんな授業があり、単位は必ずしも必要な科目としてカウントされないが、コマ数の上限までであれば、いくらでも授業を取ることができた。海外で起こっている動きや問題となっていることについて学ぶ授業があったり、英語でキャリアについて考えるクラスでは、グローバルベースで働く環境を考えて英語の履歴書を書いたり
面接の体験をしたりした。また、Sociology in Englishという授業では、社会学を英語で学んだり議論したりした。

私は、もし社会人になってから勉強しようと思ったら習い事ではお金がかかるし、大学で授業を取るのは追加料金なども特にかかるわけではないので、授業は取っただけお得だと考えていたのだ。

効率的な勉強法

TOEICのスコアも上げたいと思った。高いスコアを持っていたら、自信を持って英語が得意だと自慢できるし、就活の時に役立てられそうだと思った。私は学部の授業の授業を聞きながら、同時に単語帳を作って勉強していた。単語帳を作って頭に入れると、「スタディサプリ」というケータイのアプリで単語テストをするというのを繰り返してやっていた。ゲーム感覚で楽しく学べるアプリである。
学部の授業はおじいちゃん教授が1時間半の間喋るのを永遠に聞いているようなものが多く、内容は面白いが、普通に聞いていたら暇をしたり飽きたりしそうだった。そのため、単語帳づくりなど手を動かす単純作業と、同時進行で取り組むと、授業がいい感じにBGMみたいになって、逆によく頭に入ってきていた。
効率が良いし、我ながら一石二鳥の方法だと思った。

このときにはあまり自覚はなかったが、振り返ってみるとかなり英語の勉強オタク感があると思う。しかし大学のあらゆる機会を利用しつくして、私の英語力はぐんぐんと伸びていったのだった。

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