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レタッチにおけるモノクロと緑の重要性

前提とゴール

前提:経験からの以下の仮定の話を調べてみました。
・質感の把握にはモノクロの方が認識しやすい気がする
・レタッチの置いて青と緑が他の色よりも繊細で鍵である
 (素敵な写真家さんの写真は緑色の出し方が繊細であると感じる為)

ゴール:
自分の理論が当てはまるか、実証というか調べてみた。


色が見える仕組み

そもそも 人間の眼ってどうなっているのかを調べてみました。
興味ない方は結論だけどうぞ。

私たちの眼の網膜の奥には、光を感じることができる視細胞があります。視細胞には、暗い光にも反応するが色を識別できない桿体細胞(杆体細胞)と、明るい光にしか反応しないが色を識別できる錐体細胞があります。錐体細胞は黄斑部を中心に分布しています。桿体細胞は錐体細胞よりも数が多く、主に網膜の周辺部にたくさん分布しています。眼はこの2種類の視細胞によって、網膜に結んだ物体の像の明暗や色や形をとらえます。

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大きく錐体細胞と桿体細胞とのこと。
要点だけまとめると

錐体細胞:
色を認識に使われる 650万個存在 (650万画素)
桿体細胞:
明暗を認識する為 約1億2000万個存在 (1億2000万画素相当)
錐体細胞よりも20倍高性能で評価眼が繊細


スクリーンショット 2020-06-09 21.57.12

つまり
桿体細胞(白黒)を使ってみればカラーより繊細に質感をみることができる


目が意識する色

色を司る錐体細胞をみてみると以下の3種類があります。

①赤錐体(R):長波長域に反応
②緑錐体(G):中波長域に反応
③青錐体(B):短波長域に反応

これがモニターなどのRGBの元になっています。

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そして、人間の眼では,主に感度領域の中央(緑色の光)で明るさを捉え, 感度領域の両端(青や赤)で色合いを決めている。
感度別に見ると。。。

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緑錐体の感度が高いのです。それに伴ってカラースペースも大体は以下のように緑の領域が広くなっています。


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そして、目のdpiは50万〜500万dpiであるとのこと(説明は割愛)

人間の目とレタッチの話のまとめ

 まとめると以下になります。

・モノクロでレタッチすると質感を20倍繊細に感知できる
・人間の目は色の中では青と緑の領域に敏感である。

上記を踏まえた上で。。。

実際にやっていることは

・モノクロで選別をする 
 質感を重視して撮影しているので選別の時にモノクロでやっています。
 色に情報を奪われず、判断力が上がるのでおすすめです。
・肌レタッチでわからなくなったらモノクロで比較検討
・世界観に合わせた緑の色の出し方のパターンを持ってレタッチする。

Thom Yoshidaがレタッチの時に
意識した方がいいと思っていること


●男性脳と女性脳による違い

note用資料 (1)

男性は細部などの輪郭を重視  
写真においては 輪郭、解像度やコントラストが高いものを好む傾向があります。元々は狩で細部の素早い動的な変化に敏感になる必要があった為です。なので、男性向け商品についての広告写真は輪郭や解像度が高いものが多いです。

女性は色やトーンを重視で、男性より認識している色数が多い
黄・緑・青の識別能力が特に優れており、寒色系の色をより細かく識別できます。木の実などの採集、子供の顔色や肌、排泄物の色の細かい違いを認識する必要があった為です。その為、女性向け商品の場合は 色彩にこだわった写真が多いです。

実は大切なことで、誰に向けた写真を撮るかということで上記を使い分けるのがポイントです。


●緑の色の出し方

以前から緑色の出し方がポイントということはなんとなく分っていたのでトーンを作る時に彩度と輝度は細かく調整していました。

スクリーンショット 2020-06-09 22.27.36

左→右の写真では 彩度を70程度あげただけです。
これだけで印象が違うかと思います。

元画像

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緑の彩度を70程度あげた場合

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自然の中での撮影の場合 緑はある程度の面積を占めます。お花などを使っても茎や葉っぱの部分は緑が多いです。例えばですが、緑の彩度を抜くということは生命力を奪いやドライフラワーなどに近い状態になります。クラシック・アンティーク・落ち着いた感じの時はこの表現が有効的にはなります。(他の部分との相互作用なので全てではありません。)緑の丁寧な色作りが鍵だと思っています。


それでも最低限必要なこと

●撮影素材の重要性
撮影を疎かとまではいかなくてもレタッチや加工で全て何とかしようとする考えの人がいます。写真は大体料理と同じです。素材の鮮度がよくないといい料理ができないと同じで撮影素材がよろしくないと最終的なクォリティは下がります。いい素材があった上で、最高の料理ができます。
●撮影日からの鮮度
撮影日から時間が経つと鮮度が失われる気がします。
撮ったその日に最低でもトーンは作るようにしています。
以前、アフリカで撮った写真を現地で現像した時と日本に帰ってから現像した時では印象が全く違いました。撮ったその日のエネルギーや感覚を生かして現像しておくことをお勧めします。時間が経つと、レタッチの為のセンサーが鈍ります。
●肌の綺麗なレタッチ
 人間が写っている写真の場合最初に目がいくのは
 「光(明るさ含む)、目、肌」だと思っております。
 肌の色味が特に綺麗に出ていると写真は完成度が上がります。
●キャリブレーションされたモニター
色を適切に見ることは大切です。基準となる色がわからないままレタッチをしても泥沼にハマるだけです。レンズを増やすよりも先にキャリブレーションされたモニターを用意する方が上達が早いと思います。


まとめ

気になっていたことを少し思考も交えて掘り下げてみました。
全ては感覚的にやってしまうのですが、原因と結果があると思っているので引き続き直感的にやっていることを理論的に解説できればと思っております。
ここまでご覧頂きありがとうございました。
Thom Yoshidaでした。


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