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英語のために勉強するなら、ドイツ語かフランス語か

「englisch besser? (英語のほうがいい?)」

ドイツに住んでてドイツ人にドイツ語で受け答えをしているとよく質問された内容だ。

その度に毎回、
(英語のほうがいいよ。てかドイツ語を学ぶほど英語能力が向上している気がするから、「ドイツ語がの方がいいよ!」って自信持って言える日なんて来るのか)
と思ってた。

このことから、逆に英語を上達させるために短期間だけでもドイツ語を学ぶメリットはあるのではないかと思い、前回考えてみた。

でもよく考えてみると、英語の能力向上が目的であるなら、ドイツ語に限らず他のヨーロッパ言語でも当てはまる気がする。今回はそんなことを調べてみた記事。この記事が、第二外国語でドイツ語やフランス語などを何らかの理由で学ばなければならなくなった人のためになれば。


英検1級をとるならフランス語を勉強したほうがいい?

言語学的に英語はドイツ語と同じくゲルマン語派に分類される。ただ、英語は他のゲルマン語と違い、イギリスがフランスに支配された過去が歴史的にあるため、ロマンス諸語であるフランス語の影響を色濃く受けている。

そのため以下のように、英語の上達にはフランス語が良いという記事がある。

[1]【急がば回れ】なぜフランス語を学ぶと「1.2倍速」で英語が上達するのか
[2] 英語との相乗効果が抜群! 第二外国語は「フランス語」一択で

これら記事によると、フランス語の初級単語がそのまま英語の上級単語として使われているとのことだ!確かに初級単語であれば、頻繁にフランス語の文章に登場することになるため、単語帳を使ってそれらを英語の上級単語として覚えるより楽であるかもしれない。納得の理由である。


ただ、ドイツ人のほうが英語が得意そうな気がするのはなぜだろう?

「フランス人って英語は話さない」って昔聞いたことある。これは、現在となってはもはやステレオタイプなのかもしれないが、実際に国別のTOEIC、TOEFL、EF 英語能力指数などのいわゆる英語ランキングではドイツの方がフランスより高いというデータがある。勿論サンプリングバイアスの影響があるのかもしれないが、他のゲルマン語派の国も多くがフランスやロマンス諸語の国よりも上位にランキングしているので、大雑把に言えばドイツ人のほうがきっと英語は喋れるのであろう。

そもそも、ゲルマン語派とロマンス諸語って何が違うのか。ざっくりいうと、

・発音の仕方
・動詞の時制、接続法
・形容詞などの修飾語の位置
・動詞の活用
・移動動詞の使い方。satellite-framed languages と verb-framed languagesの違い

などらしい[3]。こう考えると、英語の文法自体は、それぞれの難易度はさておき、フランス語よりもドイツ語に近いと言えそう。

また上記の記事[2]には併せて、よく頻出する英単語、言うならば基本単語は、ゲルマン語派由来の物が多いという調査も記載されている。すなわち、カジュアルな文脈では、フランス語由来の英単語はあまり使われなくなる。まあ、英検1級を取るために必要な英単語なんて、日常会話では使わないはずだろうしね。よって、英語の文法や基本単語がドイツ語に近いのであれば、ドイツ人の方が英語が得意であるという話は一応筋が通る。


このことから、
英語の基礎を固めるためにはドイツ語、表現力をあげるためにはフランス語を勉強する
というのも、可能性としてあるのかもしれない。


せっかくなので自分でもちょっと頻出単語について調べてみた。

フランス語は全く勉強しておらず、実際どれほど英語と似ているかということは自分では想像できないため、せっかくなのでフランス語とドイツ語の基本単語約700語がどれだけ英単語と似ているのかを調べてみた。似ている似ていないかの判定には、言語学的なアプローチや機械学習などが妥当だと思うが、今回は単語の音声を聞いて、独断と偏見で決めたので悪しからず。

結果は以下。

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驚いた。基本700語から既に、仏単語は結構英単語に近いのか。へー。ドイツ語を勉強し始めた際に、ほぼ英語じゃんって思った記憶があるのに。。
あとそれぞれの単語の特徴としては、仏単語には英単語に見えるが、多かれ少なかれ意味が違う単語(例: commandar=注文する)がちょこちょこあったりするし、独単語には一見すると独単語なのだが、それを分割した要素を知っていれば、意味が解読できる単語(例: Abendessen = Abend(夜)+Essen(ご飯)=夜ご飯)がちょこちょある。

さらに、似ていた英単語のレベルがどの程度なのかも、ざっくり分類してみた。そうすると、

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独単語は、基本的な英単語に近い単語が多いのに対し、仏単語は、難関レベルの単語もちょこちょこ出てくることを確認した。(facile=easyとかvisage=faceとか知らなかった。)
このことから、ドイツ語では文法や基本単語を重点的に復習でき、フランス語では上級レベルの単語をちょこちょこ覚えることができるようになろう。


最後に

ちなみにこの基本単語700語を知っていれば、単語量的には、仏検、独検ともに4級に受かるレベルであろう。この4級に受かるためには大体1コマ=1.5時間の授業を週2回で一年程度続けるペースが必要である。結構な時間を取られるなあ。このペースだともう一個上の級に合格するためには更に1年かかるので、単語を覚えることだけが目的なら、ドイツ語やフランス語なんか勉強せずに単語帳で英単語覚えたほうがきっと早いよね笑。




参考文献

[3] https://www.quora.com/What-are-some-particular-differences-between-Germanic-and-Romance-languages
https://forum.duolingo.com/comment/17898612/Romance-vs-Germanic-Verb-framing

https://www.nihongo-appliedlinguistics.net/wp/archives/3204

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