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『もの忘れ顛末記 #34』溝にはまってます

おじい77歳    今日もありがとうございます


【34話  溝にはまってますよ 】


本日のおじい

最近「ドカーン」「ドシーン」という大音響とともに家が揺れることがある1週間に1度くらいだったけれど 今は3日に1度くらいの間で起こる
おじいがこけている

なにかにつまづくわけでもなく  段差を踏み外すわけでもなく  おじいの場合は椅子に座ろうとして 椅子のないところに座るのでそのまま転げ落ちている

幸い今のところ  畳の上  カーペットの上で転ぶので 大けがにはなっていないと思いたい  でもあれだけの大音響  少なからず毎回頭は打っているはず
そこで部屋から 机  テーブル  動かせる硬いものを運び出す

動かせない硬い部分には スポンジを貼り  あとはガラス棚やガラス扉その他とがったものはないか


お風呂の時間に体をみると 日に日に体中になんと内出血の跡が増えていく


思い出した  おじいの相方(妻)さんが義父の介護をしてる時  同じく転びはじめた時に体中が内出血  定期健診に病院に連れて行くたびに 先生と看護士さんから「あなた虐待していませんか?」と疑われ涙をこぼしていたっけ


ニュースでみる高齢者がこけて骨を折る  <こける> というのは つまづくこととばかり決めつけていたけど こんなこけ方もあるのみたい  きちんと椅子を持ちながら座るときに全く椅子のないところに座ろうとして大転倒

24時間でこんなに人はかわるのね   新たな出会いの毎日です


とある夕方
日が沈み あたりは暗くなり始めたころ  玄関のチャイムが鳴る   こんな時間にめずらしい  相方さんは夕ご飯の支度中  「はーい」と玄関扉を開けると
若い女性が立っている

相方「どちら様ですか?」   女性「つかぬ事をお伺いしますが」   相方「なんでしょう」   女性「家の前のみぞに 男性がはまって身動き取れないようですがこちらの家の方じゃありませんか」

見渡すといつの間にかおじいの姿がない

相方さんと女性が外に出る なんと家の前でおじいがみぞにはまってる  暗がりで助けを呼んでいる 「おーい だれかいませんか だれか」 誰にも聞こえそうにない蚊の鳴くような音量で


通りすがりの女性の方  本当にありがとうございました。

女性に丁重にお礼を申し上げ おじいを無事救出

みぞ  高さ30cm  幅30cm ほどの みぞというか ドブというか いや隙間というか水も流れていない  なんというか

そうなんです 毎日がファンタジー

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