メキシコ旅行記③
▽前回のお話はこちら...
今回は、ピラミッドのあるテオティワカンに行った時のお話。
テオティワカンは、紀元前2世紀〜6世紀まで繁栄した「テオティワカン文明」の中心になった宗教都市遺産。
詳しくはこちらのサイトからどうぞ。
今回のツアーのメインとなる遺跡巡りのイベントだ。
私たちは現地の日本人ガイドのおじちゃんと一緒に、シティのホテルからバスでテオティワカンへ向かった。およそ1時間ほどで到着だ。
ちなみにこのガイドのおじちゃんは現地での生活が長いからか、いい意味で適当だしやる気もない。ミスも多い。
添乗員のスタッフは苦笑ものだっただろうけど、私は逆に現地の在住者らしさが出ていてとてもよかったと思う。
こちらがメインの「太陽のピラミッド」
いよいよ到着した私たちは、ついにピラミッドとご対面。その大きさに思わず驚いた。想像以上だ。
高さは65mもあるらしい。
ちなみにてっぺんめがけて登れるのだが、見よ。この急斜面。
思ったよりも角度があり、手すりも上の方はただのロープだ。なんとも心もとない。
高所恐怖症の私は後ろを振り向くことなくただ無心に頂上を目指した。全部で248段。なかなかある。
頂上からの眺めは素晴らしく、見晴らしも抜群だ。
小さな子供でも登れるらしく、私も観光で来ていたキュートな外国の女の子と一緒に写真を撮ってもらった。
日本人はあまり見かけなかったと思う。
そして何より、上に行くほど風が強いので、降りるときほど慎重に足元を見なければならない。本当に怖かった...。
ちなみにもう一つ、月のピラミッドというものがあって、そちらも登ってみた。
真ん中からまっすぐ伸びているのは「死者の道」と呼ばれているもので、全長4kmもあるという。(左手に見えるのは最初に登った太陽のピラミッド)
あまりにもインパクトのある名前なので、こればかりは覚えていた。
その後もバスで移動しながらいろんな遺跡を見に行った。
どこも山頂からの眺めは美しく、気持ちがよかったが、やはり降りるときが一番怖かった。
あまりにも急な斜面なため、他のメンバーはほとんど登るのを諦めていた気がする。笑
途中、チョルラという街にも寄ったのだが、とっても「映え」な街だった。
カラフルで可愛らしい建物が多い。ここは是非また行ってみたい街の一つである。
今回は、歴史的な博物館や世界遺産、教会にもたくさん行かせてもらった。
当時23歳だったので、正直こういう「歴史」に触れられる場所よりも「買い物」の方に熱が入ったものだが、大人になると感性は変わるものだ。もっとしっかり勉強した上で、是非また訪れたい。
そして、今回の旅では忘れられないある女性との出会いがあった。
それは何日目だったか分からないが、地方のマーケットに行った時のこと。
わたしとゾノちゃんは、2時間ほどの自由時間でたくさん「買い物」をしようと意気込んでいた。
お土産や民芸品が立ち並ぶ露店街で、じっくりと品定めし、すっかり身についた「ディスカウント交渉」でお目当の品をゲットしたりしていた。
なんやかんやでだいぶ時間も過ぎた頃、私たちは急に「トイレ」に行きたくなっていた。
が、困ったことにここはマーケット。公衆トイレなどあるはずもない。
しばらくキョロキョロと見渡してもそれらしき建物すらない。仕方なく、お店のおばちゃんに「トイレはない?」と尋ねるが、oh, my gosh...なんということか。英語が全く通じないのだ_!
そう、ここはシティから離れた地方街。
観光客に向けた商売をしているから、簡単な値段交渉くらいはできるのだが、それ以外に関しては全く英語はNGらしかった。
本当にビックリするほど通じないのだ。
まさかそんなことがあるとは思わなかった。思い返せば、この旅でわたしはホテル従業員以外の外国人とまともに話していなかった。当たり前に英語なら大丈夫だと思っていた自分が恥ずかしい。
わたしとゾノちゃんは、あらかじめツアー側が用意してくれていた「困った時のスペイン語メモ」で、「トイレはどこですか?」という言い方を調べ、実践してみることにした。
早速慣れないスペイン語で、たどたどしく聞いてみると、なんと!通じたではないか。
が、今度はスペイン語で返されて全く理解できない。これでは意味がない。
しかし、向こうもこういう状況は慣れているのかジェスチャーを使って、トイレがあるらしき方向を指さしてくれた。とりあえずそっちへ向かう私たち。
そんなことを20分くらい繰り返していたが一向に見当たらない。集合時間まで時間もあまりないし、だいぶ我慢もしている。そろそろ本気でまずい。
見渡せば民家もあるし、飲食店もあるのだが、なんせ英語が通じるか不明だし、ここはメキシコ。治安も良いとは聞かない。何かトラブルに巻き込まれてからでは遅い。
どうしようかとトボトボ歩いていた時、急にゾノちゃんが「あっ!」と声を出した。
顔を上げれば目の前にはただのビル。その街並みの割には綺麗すぎるほどセキュリティーもしっかりした真っ白な建物だった。何かのオフィスみたいだ。
「ここなら貸してもらえるかも!」
と、ゾノちゃん。
「オフィスなら絶対にあるはずだよ、トイレ。」と言うことで、恐る恐る中を覗いてみるが人気を感じない。
誰もいないのかと諦めかけていたその時、奥からブロンドヘアの白人のお姉さんがこちらに気づいて出てきた。
私たちはすぐさまトイレを借りたい旨を伝えると、彼女は笑顔で案内してくれたのだ。なんと英語が通じる方らしい!
ああ女神様___!
建物内はとても綺麗で、トイレもすごく清潔に保たれていた。感謝感謝だ。
私たちは、ここに来るまで30分以上探し回っていたこと、英語が通じなくて困ったこと、不安だったことを簡潔に彼女に話した。
彼女はその都度、笑って頷いてくれた。なんとも優しい。
そして私たちは心から「Thank you」を伝え、ゾノちゃんとチップをいっぱいあげようねと相談し、彼女に手渡したのだが
なんと、「いらないよ」と返されたのだ。
そんなことはこの旅で初めてのことだった。チップを返されるなんて。こんなに綺麗なトイレを貸してもらったのに_!
そして、こう言ったのだ。
『実はわたしも旅が好きで、世界中いろんなところに行くの。だからあなた達の気持ちはよく分かるわ。わたしも何かある度に現地の人に助けられて来たのよ。だからこれはお互い様なの。旅は助け合いが大切でしょ?』
と。 わたしとゾノちゃんは思わず顔を合わせて涙ぐんだ。
なんて素晴らしい人なんだ。
去り際も素敵な笑顔で『よい旅を送ってね』と見送ってくれた。感謝感謝である。
この出来事は、わたしに大きな影響を与えてくれた。
この時彼女が見知らぬ外国人の私たちに親切にしてくれたように、今度はわたしが助けてあげる番になろう。
そう心に誓ったのだ。
旅の一番の思い出は、どんな観光地やグルメでもなく、そこでしか出会えない人たちとの触れ合いだと思っている。
それを教えてくれたのは、この時出会った素敵な女性だ。
わたしはこの時の経験を一生忘れることはないだろう。
そんなこんなでメキシコ最後の夜は、疲れからの発熱で見事にダウンしたわたし。
ただホテルでじっとするしかない1日となったが、不思議と心は満たされていた。
そして最終日にはなんと、添乗員さんとスタッフが飛行機に置いてかれると言う重大な事件が発生し、最後まで話題に事欠かない旅となったのである。
成田には、今回の懸賞企画をしてくれたスタッフや社長が自らお迎えに来てくれて、お詫びまでしてくれた。
どうやら、預け荷物だけ到着してしまって、乗れなかった添乗員さんやスタッフ達は手持ちの荷物だけで数日メキシコに延泊しなければならないと言う。
なんでも、時間より早く搭乗ゲートを閉められてしまったと言うのだ。その後掛け合っても無理だったそうで。なんともメキシコらしい話だとわたしは思った。
その後も定期的に、主催者側から食事会の案内をくださったりと、ただでさえ全額無料の懸賞旅行なのにその後のケアまでしっかりしていただいて、スタッフの方々がオリジナルのアルバムを作ってプレゼントしてくれたりもした。
至れり尽くせりの、非常に満足なメキシコでの旅となったのだ。
これがきっかけで、この後わたしはまんまと「海外旅行」にハマりこの2013年はメキシコ、アメリカ、シンガポールと3各国も旅行に行ったのである。
そして、海外留学やワーキングホリデーへと繋がるのだが、それはまたいずれお話しできたらと思う。
これにて「Talking about Travel〜メキシコ篇〜」終了。
最後まで読んでくれた方、ありがとうございました。
それではまた。
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