平松 武|元外務官僚

外務省、在外公館、内閣官房に通算30年以上勤務し、21年10月退官。元内閣参事官。著書…

平松 武|元外務官僚

外務省、在外公館、内閣官房に通算30年以上勤務し、21年10月退官。元内閣参事官。著書に、『「自由」が「民主」を喰う~迷走するグローバリゼーションの深層』(時事通信社)。国際関係・政治についての私見を中心に、映画、旅行、デザインなど趣味についての投稿もしていきたいと思います。

最近の記事

『新宿野戦病院』~それな!

宮藤官九郎脚本のドラマ『新宿野戦病院』が最終回を迎えました。いつもながらのクドカンのユニークな構成とユーモアのセンスで、とても楽しませてもらいました。(見出し画像は公式HPより引用) おんぼろ病院が舞台 新宿歌舞伎町のどこかにある小さな病院が舞台。独立したビルだけれども、とにかく小さくてボロい。更地にして駐車場にした方が儲かるくらい経営はやばい。外科医は、半分アル中の院長(柄本明)のみ。そこに米国籍の元軍医のヨウコ(小池栄子)が迷い込んで、救命のヘルプをすることに。 色

    • +2

      世界の水辺から(7)~日本・南会津

      • 『アキラ』~人類の文明を発展させ崩壊させるものとは(3)

        難解なエンディング 『アキラ』のエンディングは、やや難解です。 ネオ東京の崩壊の後、生き残った金田がその友人に言います。 「(鉄雄は)行っちまった。あの三人も。アキラも」 (鉄雄は死んだのかと聞かれ、) 「どうかなあ。きっと・・・」 瓦礫の中をバイクで走る金田たち。 三人の老少年少女の声が聞こえます。 「でも、いつかは私たちにも」 「もう、始まっているからね。」 その後、画面は真っ白になり、その中心から、黒い小さな点が幾重にも円形に広がり、中心から手前に向かって何本も

        • 『アキラ』~人類の文明を発展させ崩壊させるものとは(2)

          偶然の一致~東京オリンピック ’88年の映画『アキラ』は2019年を舞台にしており、翌20年には東京オリンピック開催が予定されていることが描かれています。そして鉄雄と「アキラ」による破壊により、明らかに東京オリンピックは開催できなくなります。 現実世界において、東京オリンピックの20年開催が予定されていたのが、コロナ禍により延期されたことは、興味深い偶然の一致です。 コロナ禍による人間社会への打撃を、「アキラ」や鉄雄による破壊とパラレルにとらえ、映画『アキラ』がこれを予

        『新宿野戦病院』~それな!

          『アキラ』~人類の文明を発展させ崩壊させるものとは(1)

          大友克洋のアニメ映画『アキラ』を久しぶりに再見しました。第三次世界大戦後の東京の発展と退廃。それを切り裂くように走り抜けるバイクのテールランプが、最高にクールな印象を残す映画です。 (以下は、コミック版ではなく映画版についての記述です。結末まで言及しますので、ご注意ください。) ストーリー 2019年、第三次大戦後31年を経たネオ東京。高度に発展した都市社会で、反政府ゲリラと軍の衝突が続き、不良少年たちはバイクで夜の街を暴走しています。そんな不良少年の金田と鉄雄は、事故を

          『アキラ』~人類の文明を発展させ崩壊させるものとは(1)

          +2

          模様の世界(18)~ヨルダン・ペトラ遺跡

          模様の世界(18)~ヨルダン・ペトラ遺跡

          「ポピュリズム」とは何か?

          最近、各国政治の状況について、改めて「ポピュリズムの高まり」という言い方がされることが多くなりました。この「ポピュリズム」という言葉、「大衆迎合主義」と訳されることが多いようですが、「大衆に迎合する主義」と「民主主義」はどう違うのでしょうか? 「ポピュリズム」の起源と民主主義 「民主主義」というのは、民意に基づいて政治が行われる体制、ないしそうあるべしという考え方です。そうであれば、大衆の意見を政治に反映させていこうという「ポピュリズム」は、「民主主義」と同じ意味なのでは

          「ポピュリズム」とは何か?

          砂漠のブルーモーメント~アフリカ点描(5)

          砂漠のブルーモーメント~アフリカ点描(5)

          「作品」は誰のものか~「考え中」のこと(3)

          私たちは、いろいろな作品を作ります。そして、他の人が作った作品を見聞きし、鑑賞します。noteにもたくさんの作品が載っています。この、人が書いたり、描いたり、詠んだり、撮ったり、彫ったり、こねたり、焼いたりして出来上がった「作品」は、誰のものなのでしょう。 そんなの作った人のものに決まってるじゃないか。ということになりますよね。 それはそうなのですが、そういう、所有権とか著作権とかいうことではなくて、真の意味で、作品というものを通じた「表現そのもの」は誰のものなのか、とい

          「作品」は誰のものか~「考え中」のこと(3)

          いい感じの戸口(16)~フランス・パリ

          いい感じの戸口(16)~フランス・パリ

          『アンチヒーロー』~そこで引き返すことができるか?

          ようやくドラマ『アンチヒーロー』最終回までたどり着きました。検察による冤罪という、我が国司法に現実に存在する闇に切り込み、それを迫力あるエンターテインメントとして仕上げたドラマに感服しました。(以下、ネタバレご容赦ください。)(見出し画像は番組HPより引用。) あらすじ 主人公は、12年前の事件で無実の人間に自白を強要し、それによって死刑判決を受けさせてしまった元検察官・明墨(あきずみ)(長谷川博己)。それが冤罪であったことに気づいた彼は、その後弁護士に転身し、彼に再審を

          『アンチヒーロー』~そこで引き返すことができるか?

          World Signs 世界の標識・看板(15)~日本・北品川

          World Signs 世界の標識・看板(15)~日本・北品川

          『アンメット』とは何か?

          フジテレビ系ドラマ『アンメット~ある脳外科医の日記』が最終回を迎えました。重度の記憶障害をかかえる脳外科医とその周りの人たちのドラマで、医療系ドラマにありがちな派手さを追求せず、抑えた演出、脚本、演技がかえって心に迫り、非常に好感が持てました。 「アンメット」の意味 主人公の脳外科医川内ミヤビ(杉咲花)は、不慮の事故で脳に重大な損傷を受け、事故の半年前以降の記憶を全て失った上、新しい記憶も寝て覚めたらすべて忘れてしまうという記憶障害を負います。彼女には事故の前に婚約してい

          『アンメット』とは何か?

          +2

          世界の水辺から(6)/ 模様の世界(17)~モロッコ・マラケシュ

          世界の水辺から(6)/ 模様の世界(17)~モロッコ・マラケシュ

          ドラマ『季節のない街』~クドカン版『どですかでん』

          宮藤官九郎監督・脚本のドラマ『季節のない街』が最終回を迎えました。昨年Disney+で配信され、それが地上波で今回放送されました。これは、山本周五郎の同名小説をドラマ化したもので、同じ小説を黒澤明が映画化した『どですかでん』('70)が知られています。たまたま半年ほど前にこの映画を観たばかりでしたので、不可避的に両者を比較しながら観てしまいました。(見出し画像は、ドラマ公式HPより引用。) 1.人生スケッチを一つのストーリーに構成 もともとの内容は、バラックが集まったよう

          ドラマ『季節のない街』~クドカン版『どですかでん』

          +3

          World Signs 世界の標識・看板(14)/ いい感じの戸口(14)~フランス・パリ

          World Signs 世界の標識・看板(14)/ いい感じの戸口(14)~フランス・パリ

          +2